レゲエとスケーターパンクとヒップホップを結び付けた3人組!
正直Sublime (サブライム)をレッチリやRATMと同様にミクスチャーロックに分けるのには勇気が必要であった。
なぜならどの音楽ライターもWikipediaもSublimeをレゲエロック・スカパンクと呼び、ミクスチャーロックと呼んだことはなかった。
Sublimeは確かにレゲエ・スカ要素が強いパンクバンドとしてのイメージが強いが、彼らの音楽はレゲエやスカだけでなく、ロックステディやダブ、ヒップホップ、ハードコアなど様々な音楽を内包している。
だから個人的にSublimeの音楽をレゲエロック・スカパンクと呼ぶと、彼らの音楽性をより限定的にしているような気がしたので、より定義がふわっとしているミクスチャーロックに分別した。
Sublimeはカリフォルニア・ロングビーチで根付いていたスケーター・サーフィン文化とレゲエ・パンク・ヒップホップを結び付けた偉人的バンドであると同時に悲劇的なバンドでもあった。
彼らは1996年にメジャーデビューを果たし、メジャーデビューアルバムが完成、アルバムを発表する前のギター・ボーカルのブラッドリー・ノーウェルがヘロインの過剰摂取で亡くなった。
ブラッドリーは当時28歳という若さで逝去した。
メジャーデビューアルバムがラストアルバムとなるが、このアルバムが大ヒットした。
アメリカではいまだにSublimeの人気が根強く、同ジャンルのミュージシャンたちに影響を与え続けている。
そんな彼らの音楽を紹介します。
略歴
出会い~インディデビュー(1988年~1991年)
1988年にエリック・ウィルソン(ベース)とバド・ゴーグ(ドラム)の幼馴染コンビに、ブラッドリー・ノーウェル(ボーカル・ギター)加わって結成されたバンド。
Sublime (サブライム)を結成した。
- ブラッドリー・ノーウェル(ボーカル・ギター)
- エリック・ウィルソン(ベース)
- バド・ゴーグ(ドラム)
しかしメンバーの音楽の方向性は違っており、ブラッドリーはレゲエ音楽を好んだがエリックとバドはハードコアパンクを好んでいた。
結成当初はブラッドリーのレゲエ指向にエリックとバドは懐疑的であったが、ブラッドリーの熱心な説得によりレゲエとハードコアパンクが融合した音楽をすることとなった。
しかし地元の音楽ファンたちにとってはレゲエとハードコアパンクが合わさった音楽に対して懐疑的であったため、人気はあまり芳しくなかった。
そこでブラッドリーとエリックは自主インディーレーベル「Skunk Records」立ち上げ、自分たちのバンドを「Skunk Records専属バンド、Sublime」と宣伝することで地元で人気を博すようになった。
人間って単純なんだなぁ
その後地元カリフォルニア・ロングビーチ周辺のライブハウスに出演できるようになり、No DoubtやSkeletones等のスカバンドと対バンするようになる。
また1990年にブラッドリーが保健所で子犬のダルメシアンを500ドル払って引き取り、ダルメシアンにルイと名付ける。
ルイはその後Sublimeのマスコットキャラクターとして度々登場する。
1991年、Sublimeはデモテープの制作を開始。
エリックとバドの友達であり、後のマネージャーのマイケル・ハッポルトが当時レコーディング学ぶ学校に通っていたため、その学校でSublimeはレコーディングを行う。
そして完成したカセットテープ『Jah Won’t Pay the Bills』は南カリフォルニア中心に人気を博した。
『40oz. to Freedom』発表(1992年~1993年)
1992年に1stアルバム『40oz. to Freedom』を自主インディーレーベル「Skunk Records」からリリース。
インディーレーベルからのリリースであるのにも関わらず、売り上げは良好であった。
しかし批評家たちからはパンクとレゲエの融合は受け入れられるものではなかったため、批判的な評価を下す。
しかしこのアルバムからのシングル曲「Date Rape」はオルタナティブロックを中心に流す人気ラジオ局「KROQ-FM」に取り上げられ、ロサンゼルス周辺でも人気を得ることになる。
実験的レゲエパンク『Robbin’ the Hood』発表(1994年~1995年)
1994年には2ndアルバム『Robbin’ the Hood』をリリース!
このアルバムはかなり低予算で作成されたが、内容はかなり実験的なアルバム。
あまり売れなかったが、批評家たちからの評価は高いアルバムとなった。
またこのころ「KROQ-FM」に取り上げられたシングル曲「Date Rape」がロサンゼルスを超えて、アメリカ全国で知れ渡るようになる。
Sublimeはアメリカ最大の音楽ツアーフェス『ワープドツアー』のヘッドライナーに抜擢される。
しかしツアー途中ライブに連れてきたバンドのマスコットのダルメシアンルイが複数の観客を噛むなどのハプニングもあった、1週間謹慎処分を下される。
しかし彼らの人気は衰えることはなく、別のツアーフェス「SnoCoreツアー」でもヘッドライナーに抜擢されるなど、勢いは止まることはなかった。
メジャーデビュー、そして悲劇(1996年~1997年)
1996年に彼らはメジャーレーベル「MCA Records」からアルバムを制作することになる。
しかし1996年5月25日、ブラッドリーがヘロインの過剰摂取により逝去。
バンドは解散してしまう。
メジャーデビューアルバム発表前の出来事であった。
彼の死後から2か月後、1996年7月30日にメジャーデビューアルバム『Sublime』をリリース。
USビルボードチャートで13位を記録、現在このアルバムはアメリカ国内で600万枚も売り上げる大ヒット作となった。
またシングル曲「What I Got」はビルボードモダンロックチャートで1位を記録!
他にも「Santeria」同チャートで3位を記録。
「Wrong Way」も同チャートで3位を記録。
大成功を収めた。
2009年に残されたメンバーエリックとバドは新メンバーのでありSublimeのファンであったローマ・ラミレスを加入させて、Sublime with Romeとしてライブ活動を再開したがアルバムの制作は行っていない。
だがSublimeは今後もアメリカのオルタナティブロックの歴史に名を残したバンドとして、人々の記憶に残り続ける。
メンバー
ブラッドリー・ノーウェル(ボーカル・ギター)
バンドのフロントマン!
ブラッドリーは幼いころから音楽に触れていたが、彼が10歳の時に両親は離婚。
はじめは母と暮らしていたが、あまりにも問題児すぎたため父親と過ごすことになる。
彼が11歳のとき、父と一緒にカリブ海の島々バージン諸島に旅行へ行き、レゲエ音楽に触れる。
この経験が彼の音楽人生のターニングポイントとなった。
彼はレゲエだけでなくレゲエのサブジャンルに属するロックステディやダブ、ダンスホール、ルーツレゲエに対する造詣も深かったため、Sublimeの音楽性をさらに広めたといっても過言ではない。
ブラッドリーは歌唱力がかなり高く、アップテンポなスカ音楽、しっとりしたバラード、ソウルフルなレゲエナンバーなど曲ごとに歌唱スタイルを器用に変えていた。
あとギターもかなりうまい!
しかし1996年5月25日、ブラッドリーがヘロインの過剰摂取により逝去。
28歳でこの世を去った。
エリック・ウィルソン(ベース)
エリックは元々バド・ゴーグ(ドラム)と幼馴染であり、バドにライブで知り合ったブラッドリーを紹介したのも彼であった。
元々はパンク・ハードコア指向であり、あこがれのベーシストも伝説的ポストハードコアバンド「Minutemen」や「firehose」のベーシストマイク・ワットに影響を受けていた。
しかしSublime では、レゲエやスカのリズムを基調としてアグレッシブなベースラインというポストパンク的アプローチでSublimeの音楽を高めた。
バド・ゴーグ(ドラム)
エリックの幼馴染であり、ドラムはエリックのお父さんに教わった。
Sublime 解散後、2003年にNirvanaのベーシストクリス・ノヴォセリックと、MeatPuppetsのギターボーカルのカート・カークウッドという豪華メンツと一緒にEyes Adriftというパンクバンドを結成した。
おすすめの曲
Date Rape
1stアルバム『40oz. to Freedom』からシングルカットされた曲。
人気ラジオ局「KROQ-FM」がこの曲を何度も流したことで、バンドの人気に火をつけた曲である!
アップテンポでノリのいいスカパンクの曲。
Sublimeが敬愛する大御所ミクスチャーロックバンドFishboneのカバーバージョンも素晴らしい!
Saw Red
2ndアルバム『Robbin’ the Hood』収録曲。
かなり短い曲だが展開は激しい。
はじめはメロウなレゲエの曲なのに、すぐにエネルギッシュなスカパンクサウンドに変貌!
またゲストボーカルとして、グウェン姉さんことNo Doubtのグウェン・ステファニーが参加している。
What I Got
3rdアルバム『Sublime』収録曲。
ビートルズの曲「Lady Madonna」のレゲエ風オマージュソング。
ビルボードオルタナティブエアプレイで1位を記録!
ビルボードモダンロックチャートで11位を記録!
またローリングストーン誌が選ぶ「史上最高のギターソング100曲」に83位にランクイン。
Santeria
3rdアルバム『Sublime』収録曲。
一番大好きな曲!
メロウでスローテンポな曲だが、ベースラインが複雑で面白い。
ギターソロが本当に渋くてかっこいい!
ザック・エフロン主演の青春映画『We Are Your Friends』(2015年公開)で主人公たちがこの曲を酔っぱらいながら合唱している。
ビルボードオルタナティブエアプレイで3位を記録!
Wrong Way
3rdアルバム『Sublime』収録曲。
ミドルテンポでノリが良いベースラインが特徴的。
曲の陽気な雰囲気はカリフォルニアの風土を感じさせる。
(ちなみに僕はカリフォルニアに行ったことは一度もない。)
曲の合間に、ジョージ・ガーシュウィンの「ラプソディ・イン・ブルー」のテーマが挿入されている。
Doin’ Time
3rdアルバム『Sublime』収録曲。
ジョージ・ガーシュウィンの「サマータイム」をサンプリングとして利用したトリップホップ・ヒップホップの曲。
この曲は2019年にラナ・デル・レイがカバーして再び人気を集めた曲となった。
おすすめのアルバム
『40oz. to Freedom』(1stアルバム/1992年)
彼らのインディーデビューアルバムであり、発売当初は批評家からの評価はイマイチであった。
しかしブラッドリーの死後、評価は一転し高評価を博す。
今では200万枚以上の売り上げを記録している。
大ヒットシングル「Date Rape」が収録されている他、カバー曲が多数収録されている。
BB.KingやBad Religion、Greatful Dead、Descendents、Toots & the Maytals、 The Melodiansなど様々なジャンルの音楽をカバーしている。
『Robbin’ the Hood』(2ndアルバム/1994年)
実験アルバム。
このアルバムはダブステップやヒップホップからの影響が強いアルバムであり、サンプラーやターンテーブルなどが導入されている。
曲も悪く言えば一貫性がないものばかりであるが、同じ曲の中でダブステップの曲調からいきなりスカになったりなどアグレッシブが過ぎる展開が多い。
一般的な売り上げは良いものではないが、批評家たちからは絶賛された。
『Sublime』(3rdアルバム/1996年)
メジャーデビューアルバムであり、ラストアルバム...
バンドの集大成的アルバム。
初めて聴くにはこのアルバムがおススメ。
これまでの実験性や音楽性を維持しながら、「What I Got」や「Santeria」などのシンガロングできる曲が含まれているアルバム。
USビルボードチャートで13位を記録、現在このアルバムはアメリカ国内で600万枚も売り上げる大ヒット作となった。
ローリングストーン誌が選ぶ『90年代のベストアルバム100枚』(2011年版)に於いて、25位にランクインしている。
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