映画『ブレインデッド』感想

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ピーター・ジャクソン監督による「悪趣味三部作」の集大成!

『ブレインデッド』(1992)はあの『ロード・オブ・ザ・リング』のピーター・ジャクソンが監督・脚本を担当した3作目の映画。

前回紹介した『バッド・テイスト』『ミート・ザ・フィーブルズ/怒りのヒポポタマス』の次に制作された悪趣味三部作の一つでもある。

本作は興行的には大失敗ではあったが、批評家たちから絶賛され世界にピーター・ジャクソンの名を轟かせた傑作だ!

「興行的には大失敗ということはそんなに面白くないのでは?」っと思う人もいるが全く違う!

むしろ悪趣味描写に磨きがかかり、そのストロングポイントで人々を魅了した!

この映画ではピータージャクソン監督による悪趣味の神髄を目にすることになる。

※なお今回の感想はネタバレを含みます。

ストーリー

舞台は1957年、ニュージーランドの住宅街。

主人公の気弱な青年ライオネルは過保護な母ベラと二人で大きい屋敷で暮らしていた。

ある日ライオネルは雑貨屋の娘パキータに一方的に好かれて、二人は動物園でデートをすることに。

しかし過保護な母ベラは息子のデートをストーキングしていた!

だがベラはストーキング中に飼育されていた謎の生物「スマトラ・ラット・モンキー」に嚙まれてしまう!

ベラはその場で「スマトラ・ラット・モンキー」を踏み殺し、息子ライオネルに家まで送らせる。

帰宅後ベラ「パキータとは付き合うな!」と激怒!

ライオネルは怖くて言い返せず母の言いなりに。

だがスマトラ・ラット・モンキーに噛まれた後の母親の様子がおかしい・・・

皮膚がただれ落ちて犬を生きたまま食べ始めた!なんとゾンビになっていた!

ライオネルは母ベラを死んだことにして、家の地下室に閉じ込めてしまう。

しかし彼に関わってしまった人たちは次々とゾンビになってしまう。

のんきなライオネルはゾンビ化してしまった人たちを次々に地下室へと閉じ込めてしまう。

一方、ゾンビの存在を知らない狡猾な叔父レスが母ベラの遺産と家を奪い取って盛大なパーティを開いてしまった。

物語は最悪の事態を迎える!!

見どころ

愚直すぎる主人公ライオネル

この映画を面白くしているのはゾンビではなく主人公ライオネル

彼の愚直すぎる行動は、事態を悪化させ物語を面白い方向へと導いてきた。

まずライオネルはベラがゾンビであることを隠し通そうとしたのが元凶であった。

これによって事情を知らない看護師や神父、町の不良がゾンビ化してしまった。

しかしここからがライオネルの不可解とも呼べる愚直さが加速する!

なんと彼はベラだけでなくゾンビ化した全員を家の地下室に入れて隠そうとしたのだ!

また彼はずっと地下室に閉じ込めておくのでなく、ゾンビたちを食卓に座らせてご飯を食べさせていた!

しかし予想外の出来事が...

なんと看護師のゾンビが赤ちゃんを産んだ!

もちろん赤ちゃんもゾンビ!

ライオネルは赤ちゃんをどうしたのかというと...

まさかの公園に赤ちゃんゾンビを連れていき遊ばせたのだ!

ライオネルはゾンビを舐めているのか、違う。

ゾンビを犬や猫のような生物の一つとして考えていたのだ。

愚直すぎる...

唐突すぎるカンフー神父!?

この映画の視聴者たちが一番印象に残ったキャラを挙げると、おそらくこのカンフー神父が一番になると思う。

このカンフー神父というのは、最初はモブのように母ベラ葬儀を担当していただけのキャラだった。

だがカンフー神父は想像を絶する活躍をする!

葬儀後の夜、主人公ライオネルは埋葬された母を家に戻そうと墓を暴く!

しかしライオネルは墓場にいた町の不良3人に絡まれてしまう。

そのとき町の不良3人は母ベラに噛まれてゾンビ化!

ライオネルなんとか母をおとなしくさせたが、ゾンビの不良3人に囲まれてしまう!

そのときに・・・

颯爽とカンフー神父が登場!

ゾンビの不良相手にカンフーで撃退してしまう!

この映画がホラーコメディであることを決定づけたシーンであった!

物語のテーマは厳格な母からの独立?

この映画は大げさなグロい描写とコミカルな演出ばかり注目されるが、本筋はそこではない。

テーマは「母からの独立」だと思う。

なぜライオネルはゾンビを死者としてではなく生き物として扱ったのか?

おそらくライオネルは母の死を受け入れられなかったためだった。

ライオネルは母に厳しく育てられてきたが、一度も母を憎んではおらずそんな母を愛していたのだ。

しかし愛する母には知られざる黒い過去があった。

それを知ったライオネルは母への愛を捨て、自分らしく生きるため母の呪縛から逃れる!

評価・受賞歴

この映画は映画関係者から絶賛されている。

名作サイコスリラー映画『羊たちの沈黙』ジョナサン・デミ監督

「エネルギッシュかつ高度なストーリーテリング、さらには常軌を逸したユーモアのセンスに心躍らされた」本作を大絶賛している。

またイギリスを代表するコメディ俳優兼脚本家のサイモン・ペッグ『ショーン・オブ・ザ・デッド』を製作するにあたり本作を参考にしたといっている。


また本国ニュージーランドのみならず、各国の映画賞をたくさん受賞している。

  • ファンタフェスティバル
    • 主演男優賞 受賞
    • ベスト特殊効果 受賞
  • シッチェス映画祭
    • 最優秀映画賞 ノミネート
    • ベスト特殊効果 受賞
  • アムステルダムファンタスティック映画祭
    • ゴールデンスクリーム賞 受賞
  • ファンタスポルト
    • 最優秀映画賞 受賞
    • ベスト特殊効果 受賞
  • ニュージーランド映画/テレビ賞
    • 最優秀映画賞 受賞
    • 最優秀監督賞 受賞
    • 最優秀脚本賞 受賞
    • 最優秀男優賞 受賞
  • サターン賞
    • 最優秀ホラー映画賞 ノミネート
    • ベスト特殊効果 ノミネート

視聴方法

現在『ブレインデッド』の配信は行われていない・・・

そのためDVDを購入する方法しかないが、廃盤商品のためDVDはかなり高価だ。

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