アメリカでカルト的人気を誇る、エモーショナルでプログレッシブなポストハードコアバンド!!
ハードコア・パンクの進化は面白い!!
そう思わせてくれるバンドの一つが今回紹介するバンド
At The Drive-In(アット・ザ・ドライヴイン)
彼らはアメリカとメキシコの国境付近の街、テキサス州のエルパソで結成された。
彼らが影響を受けたのはワシントンD.C.周辺のハードコアシーン(Bad BrainsやFugaziなど)とエモと呼ばれる音楽ジャンル(Drive Like Jehuや Indian Summer, Swing Kids, Sunny Day Real Estateなど)
これらのジャンルが融合した結果、ハードコアの熱量とハイテンポを保ちつつ特殊なコード進行や複雑なギターフレーズが織り交ざった音楽が出来上がった!
彼らの音楽性は2000年代のポストハードコア・シーンに多大な影響を与えたが、2001年に解散してしまう!
メンバーは分裂し、それぞれがマーズ・ヴォルタとスパルタというバンドに分かれてしまう。
そして2011年に再結成、それ以降何度か活動を行っている。
そんな彼らの音楽を紹介!!
メンバー
セドリック・ビクスラー
ボーカル、見た目はごついアフロの人。
ファルセット気味のシャウトが特徴的で、ステージを縦横無尽に暴れまわり歌うパフォーマンスは圧巻そのもの。
楽曲のほとんどの作詞を担当しており、彼は英語だけでなくスペイン語やラテン語を歌詞に入れることがある。(これはフランク・ザッパからの影響だと思われる。)
At The Drive-In解散後は、オマーと共にMars Volta(マーズ・ヴォルタ)を結成。
オマー・ロドリゲス
ギタリスト、見た目は細いアフロの人。
珍しい左利きのギタリスト。
彼は変拍子を用いた特殊なリフや不協和音を用いたギタープレイが特徴的。
しかし一番の持ち味は何といっても膨大なエフェクターの量である。
常に40種類くらいのエフェクターを用いてライブを行うという非常識なスタイルが有名!
フランク・ザッパから影響を受けていることを公言している。
またプログレッシブロックやジャズ、ハードコア、サルサ、現代音楽など様々な音楽スタイルを内包している。
At The Drive-In解散後は、セドリックと共にMars Volta(マーズ・ヴォルタ)を結成。
またソロ活動も行っており、MVも自ら監督として製作している。
そのMVがユニークで「Running Away」という曲のMVではオマーがRed Hot Chili Peppersのジョン・フルシアンテやMelvinsのバズ・オズボーンに殴られるという内容!
ジム・ワード
リズムギタリスト、バックボーカル。
At The Drive-In解散後は、ポールとトニーと共にSparta(スパルタ)を結成。
2011年の再結成ライブに参加したものの、2016年にまたAt The Drive-Inを脱退。
その後2017年に新メンバーを揃えてSparta(スパルタ)を再結成した。
ポール・ヒノジョス
ベーシスト。
セドリックとは小さいときからの知り合いであり、13歳のときにオマーと友達になり彼をセドリックに紹介した。
At The Drive-In解散後は、ジムとトニーと共にSparta(スパルタ)を結成。
しかし2005年にSpartaを脱退し、Mars Volta(マーズ・ヴォルタ)に加入した。
トニー・ハジャー
ドラマー。
At The Drive-In解散後は、ポールとジムと共にSparta(スパルタ)を結成。
また2016年にはGone Is Goneというバンドを新たに始めた。
そのバンドにはマストドンやクイーン・オブ・ザ・ストーンエイジなどのメンバーがいる。
空耳アワーで得た謎の知名度
At The Drive-Inはおそらく本人たちも思いもよらない形で日本で知名度を上げることになった。
2001年に放送されたタモリ倶楽部の人気コーナー「空耳アワー」の投稿作品でAt the drive-inの楽曲「Sleepwalk Capsules」の中に空耳があるという。
この曲の「the fau fau fau fau faulty tower」というフレーズが「ど・ど・ど・ど・童貞ちゃうわ!」と聞こえる。
これがタモリさんや安齋さん、さらに視聴者のツボに入り、空耳アワード2001にてグランプリを獲得。
記念品として特製のゴールデン空耳ジャンパーがAt the drive-inに贈呈されたということになっている。
さらに知人に聞いた話によると、彼らが2016年のSUMMER SONICで来日した際にこの「Sleepwalk Capsules」を演奏したそうだが、多くの観客がこの空耳の部分を合唱したため、At the drive-inが怪訝な顔をしたそうだ。
そりゃ空耳のフレーズ部分はサビでも盛り上がる箇所でもないのに、観客が合唱を始めたら不思議でしかないだろう。
本人たちは空耳のことを知っているのだろうか・・・?
おすすめ楽曲
Proxima Centauri
EP『Vaya』収録曲。
特殊なドラムフレーズと歪み切ったベースから曲が始まり、その後かなりの疾走感を感じさせる楽曲。
少しサウンドが荒い(特にギターサウンド)がどのバンドにもある結成初期独特のライブ感あふれる演奏は見ものである。
Chanbara
2ndアルバム『In/Casino/Out』収録曲。
オマーの独特なギターリフとジムのカッティングギターが複雑に絡み合うクールな楽曲!
Napoleon Solo
2ndアルバム『In/Casino/Out』収録曲。
彼らのライブ定番曲!
4分の3拍子の怪しげなギターフレーズが流れて、悲しげな曲調で始める。
しかし広範囲かけて哀哭のような叫びと共に曲全体が盛り上がる。
ギタリストの2人がそれぞれ違うアルペジオフレーズを弾くことで不思議なハーモニーを奏でる。
One Armed Scissor
3rdアルバム『Relationship of Command』収録曲。
曲名はウォッカとレッドブルを混ぜたカクテルの名前から。
USオルタネイティブエアプレイにて26位にランクイン。
またピッチフォークが発表した「2000年代のベスト500曲」にて255位にランクイン!
Sleepwalk Capsules
3rdアルバム『Relationship of Command』収録曲。
上記にあるように日本では空耳で人気を博した曲。
しかし楽曲自体はかなりかっこよいので是非聞いてほしい!
あと曲自体は無能の権力者を皮肉るという内容。
Invalid Litter Dept.
3rdアルバム『Relationship of Command』収録曲。
叙情系ハードコアの名曲。
タイトルを直訳すると「無用なゴミ部門」
シウダー・フアレスというメキシコのチワワ州の都市で、1990年代に女性に対する暴行誘拐事件が多発し、これら事柄に対して警察が真面目に対応しないことを批判するという内容。
おすすめアルバム
『In/Casino/Out』(2ndアルバム/1998年)
ライブそのままのエネルギッシュさと荒削りさを再現した激情系アルバム!
インディーレーベルであった「Fearless Records」からリリースされる。
ローファイっぽいサウンドが敢えて彼らの激しさを強調しているように感じるアルバム。
ローリングストーン誌が選んだ『史上最高のエモ・アルバム40枚』にて20位にランクイン。
『Relationship of Command』(3rdアルバム/2000年)
メジャーデビューアルバムにして後のポストハードコアシーンに多大な影響を与えたアルバム!
ハードコアの激しさとメロディックさとドライブ感の完成度が凄まじい。
またあのイギーポップがゲストボーカルとして参加している。
USビルボードチャートで116位。
USヒートシーカーズで1位を記録した!
2000年代の最も影響力のあるポストハードコアアルバムの1つとして批評家たちから絶賛された。
NMEが発表した「2000年代の偉大なアルバム100」にて12位に選ばれる。
ガーディアンが発表した21世紀で最も偉大なアルバム100にて42位にランクインした!
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