Manic Street Preachers(マニック・ストリート・プリーチャーズ)入門編

UKオルタナティブ
画像出典:Jawbreaker HOME | Facebook
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ウェールズを代表するロックバンド、イギリスの退廃的風潮に抗った熱血火の玉ロックンロール!

イギリスはイングランド・北アイルランド・スコットランド・ウェールズの4つの国から成り立ち、Manic Street Preachersはメンバー全員ウェールズ出身のバンドだ。

彼らは1986年に結成されたが、売れ出したのはOasisBlurがいたブリットポップムーブメントがあった時期。

しかし音楽はポップではなく、左翼的思想を持ち「文化、疎外、退屈、絶望」をテーマに熱い音楽とメッセージを発信し続けるバンド。

このスタンスはデビューから今日にいたるまで変わっていない。

このような音楽を続け、今では売上を誇りウェールズを代表するバンドとなった。

彼らの音楽をピックアップ

バンドの歴史

トガりまくったデビュー時期

1991年にManic Street PreachersはEPアルバム「Motown Junk」をリリースし、注目を浴びた。

しかし注目されたのは「Motown Junk」の歌詞の内容がかなり尖っていたことだった。

元歌詞
Motown, motown junk
I laughed when Lennon got shot
21 years of living and nothing means anything to me

和訳
モータウン、モータウン・ジャンク
ジョン・レノンが撃たれた時は笑ってやった
21年間生きてきた俺に、何の意味もなかった

イギリス人の誰もが尊敬するロックスタージョン・レノンを侮辱するような内容であったため、イギリスのメディアはManic Street Preachers口がでかいだけのバンドのように扱った。

これだけでは収まらない。

なんとバンドは同時に「30曲入りの2枚組のデビューアルバムを発表し、世界中でナンバーワンにした後、解散する」といった内容の解散宣言をする。

しかしメディアはまだManic Street Preachersを馬鹿にしていた、「本気で言ってるのか?」って感じで。

しかし伝説的な事件が起きる...

上記の解散宣言この大げさな宣伝にNME誌のジャーナリストのスティーブ・マックManic Street Preachersとのインタビュー中に軽蔑した態度をとった。

これに対して、ギタリストのリッチー・ジェームスが、マニックスが本物であることを証明するために4 REAL (本気だ)」とカミソリの刃で自らの腕に切り刻み、17針の大怪我を負った。

この事件は現在では伝説となっており、その後まもなくソニーレコードと契約を結び、1stアルバムの製作にとりかかった。

しかしデビューアルバム『Generation Terrorists』をリリースするが、UKチャート13位で留まった。

それに加えてアメリカでは全くヒットしなかった。

また解散宣言をしたが、撤回し活動を継続。

大バッシングを受ける。

ギタリストのリッチーの失踪、起死回生の大ヒット

しかし幸か不幸かこの一連の出来事はManic Street Preachersの名をイギリス中に轟かせた。

1993年に2ndアルバム「Gold Against the Soul」をリリースし、UKチャートで8位にランクイン!

続いて3rdアルバム「The Holy Bible」をリリースし、UKチャートで6位になり徐々にイギリス国民を認めさせていった。

しかしが「4 REAL事件」を超えるような事件が起こる。

なんとギタリストのリッチー・ジェームスが失踪してしまう!

捜索は続けられたが見つからず、ついに2008年に死亡宣告が出された!

今もなお彼の姿を見た者はいない。

疾走後バンドは6か月間活動を停止していたが、リッチーの家族からの願いもありリッチーを除く3人で活動を再開する。

1996年、4thアルバム「Everything Must Go」をリリースし、UKチャートで2位を記録!

また名曲「A Design for Life」がこのアルバムから生まれる。

勢いは止まらず1998年、5thアルバム「This Is My Truth Tell Me Yours」をリリースし、UKチャートで1位を記録!

また同アルバムからシングルカットされた「If You Tolerate This Your Children Will Be Next」がUKチャートで1位を記録!

その後現在まで13枚もスタジオアルバムをリリースしているが、ほとんどのアルバムがUKチャートでトップ10以内にランクインしている。

メンバー

ジェームス・ディーン・ブラッドフィールド

ギターボーカル。

バンドのほとんどの楽曲を作曲している。

幼少期は陸上競技に打ち込んでおり障害競走の選手であったが、その後パンクロックにハマりその中でもThe Clashにハマった。

しかしギターを練習する際はGuns N’ Rosesの曲をコピーしていたという。

ウェールズのオークデール総合学校に通っており、そこで後にバンドメンバーとなるニッキーリッチーショーンと出会い仲良くなった。

またドラマーのショーン・ムーアとは従弟であり、彼の両親が離婚した際ショーンジェームスの家で暮らしていた。

ニッキー・ワイヤー

ベーシスト。

バンドの楽曲の作詞を担当。

元々はサッカー少年であり14歳の時にウェールズ男子生徒代表チームのキャプテンを務めるほどの腕前であった。

しかしプレミア・リーグアーセナルトッテナムのトライアルに挑んだものの、長年のケガの影響でチーム入りは叶わず自分のサッカー人生に終止符を打つ。

ただニッキーは学業が優秀であったためポートマス工科大学に入学、その後名門スウォンジー大学に編入後に政治学の学位を取得して卒業している。

またバンド活動は10代のころからしており、Queenと初期R.E.M.に影響を受けたと公言している。

また本名はニコラス・アレン・ジョーンズだが身長190センチで細長い体型であることから、ニッキー・ワイアーと名乗っている。

ショーン・ムーア

ドラマー。

ギターボーカルのジェームスとは従弟であり、彼の両親が離婚した際ショーンジェームスの家で暮らしていた。

デビュー当初は小柄な体格で綺麗な顔立ち、長髪であることから女性に間違われてたこともあった。

また彼は音楽活動以外にもモータースポーツサッカー好きであることで有名。

モータースポーツに関してはショーンは実際にレースに参加しており、ドイツのニュルブルクリンク(有名なサーキット場の名前)でアウディRS4に乗り、8分25秒という歴代で22番目に速いラップタイムを記録した。

また彼はF1にも関心があり、F1のレジェンド選手ミハエル・シューマッハの大ファンだという。

サッカーではプレミアリーグのリバプールFCのサポーターである。

リッチー・ジェームス

元ギタリスト。

ニッキー同様に主に作詞を担当していた。

元々は上記のバンドメンバーたちとは学生の頃から仲が良かったものの当初バンドには参加しておらず、主に彼らの運転手ローディーをしていたが1989年にギタリストとして加入した。

彼は音楽的役割よりも作詞やバンドのスポークスマンとして活躍した。

また彼は文学青年でありカミュドストエフスキー三島由紀夫などの作品を愛読していたという。

ベーシストのニッキーと同様にリッチーも成績優秀のため名門スウォンジー大学に入学し政治史の学位を取得して卒業している。

ただ生前からうつ病や不眠症、アルコール依存症に苦しんでおり、1995年2月1日に失踪する。

失踪後彼が見つかることは叶わず、2008年11月24日に死亡宣告された。

しかし今でもバンドの印税の25%をリッチーの遺族の口座に振り込んでいるという。

おすすめ曲

Motown Junk

EPアルバム「Motown Junk」からリリースされた曲。

イギリス中に物議を読んだ迷作であり、名作

エネルギッシュでポップな曲で聞きやすい。

ジョン・レノンを馬鹿にする詩は、若気の至りであり反省しているようで、現在ライブで演奏する際はジョン・レノンの下りは歌っていないそうだ...

Motorcycle Emptiness

1stアルバムGeneration Terrorists収録の曲でシングルカットされている。

個人的にManic Street Preachersの中で1,2位を争う名曲だと思う。

歌のテーマは「肥大化する資本主義による若者文化の空洞化への警鐘」であり、壮大で寂しげなメロディが特徴的。

PVが東京で撮られており、華やかな都市なのに住人は暗い顔で町を歩き、パチンコを打ってる様子が描かれている。

このPVと歌の相乗効果で僕は涙を流すほどエモーショナルな気分になる。

なんとPVが撮影された時期は1992年であり、バブル崩壊直後の日本であった。

驚くほど歌詞のテーマにマッチした日本をロケ地に選んだが、Manic Street Preachersのメンバーたちは意図して日本でPVを撮ったわけではないようだ。

偶然ってすごい。

UKシングルチャート17位

A Design for Life

4thアルバムEverything Must Go収録のシングル。

これもまた個人的にManic Street Preachersの中で1,2位を争う名曲だと思う。

イントロは穏やかなギターアルペジオから始まり、サビで荘厳な大音量ギターを爆発させる!

彼らのライヴを締めくくる曲として定着しており、地元ウェールズイギリスでは労働者階級のアンセムと呼ばれている。

タイトルの意味は人生設計だが、歌の内容は「生きていくためにたくさんのことを費やしてきたけど、結局酔っぱらっていたらそれで満足」というもの。

大学生の頃はこの歌詞に共感できなかったけど、悲しいことに年を重ねるうちに共感していった。

UKシングルチャート2位

Everything Must Go

4thアルバムEverything Must Go収録のシングル。

かなり前向きな歌で、不安や苦しみがある状況でも全ては過ぎ去っていくから前に進もうとする気持ちを歌っている。

まさにリッチーが失踪してしまった彼らの気持ちを代弁するかのような名曲である。

曲もエネルギッシュだが、どこか爽やかで勇気が湧いてくるようなナンバー。

UKシングルチャート5位

If You Tolerate This Your Children Will Be Next

5thアルバムThis Is My Truth Tell Me Yoursからシングルカットされた曲。

反戦歌であり、悪事や不条理に対して声を上げずに黙っていると、負の連鎖で子供達の世代が同じ苦しみを味わってしまう」というメッセージが込められている。

タイトルの「If You Tolerate This Your Children Will Be Next」というフレーズは、第二次世界大戦でのスペイン共和国政府が、反乱軍(ファシズム政権)とそれを援護するドイツ・イタリア軍の攻撃に非難を込めて掲げたポスターからとられている。

UKシングルチャート1位

おすすめアルバム

『Generation Terrorists』(1992年/1stアルバム)

1stアルバムGeneration Terroristsはデビューアルバムでありバンドの最高傑作と評される。

このアルバムをリリースするにあたって様々な事件が付随したが、アルバム自体は非常に聞きやすい。

ロンドンパンクのような精神性をアメリカンハードロックサウンドで表現したようなアルバム。

「Slash ‘n’ Burn」「Stay Beautiful」、「Motorcycle Emptiness」、「You Love Us」などの聞きやすい名曲がたくさんある。

必聴のアルバムだ。


『Everything Must Go』(1996年/4thアルバム)

4thアルバム「Everything Must Go」ギタリストのリッチーが失踪し始めて残り3人が制作したアルバム。

しかしこのリッチーの失踪にも負けず、彼らは名盤を作っている。

バスドラムの音の重さがピックアップされて曲の壮大な雰囲気が増し、ストリングスの導入によりロックを超えたような曲がたくさん生まれた

全英チャート2位を記録したアルバム。

2013年発表のNMEによる「史上最高の500アルバムのリスト」182位にランクイン。


外部リンク

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