長い年月を経て再びハードコア・パンクをメジャーな音楽として認知させたバンドの一角!
パンクロック、及びハードコア・パンクが生まれたのは1970年代。
このジャンルはかつてはマイナーであった。
しかしパンクロック、及びハードコア・パンクがメジャーなものになったのは1990年代にGreen Day、The Offspringを中心に流行したメロコア・ブームのとき。
その後2000年代も上記2バンドの活躍とblink-182やSUM41などの人気でパンクがメジャーシーンを盛り上げた。
だがブームには必ず終わりがあり、2010年代にはパンクロック、及びハードコア・パンクは再び冬の時代を迎えた。
かといってパンクロック、及びハードコア・パンクは死んでいない!
2010年代ではオンラインやサブスクの普及に伴い、ハードコア・パンクは色んなジャンルを飲み込み進化を続けてきた。
結果2020年代に入ってようやくハードコア・パンクをメジャーシーンに普及させたが登場!
そのバンドこそ今回紹介するTurnstile(ターンスタイル)!!
Turnstileは2010年にメリーランド州ボルチモアで結成されたハードコア・パンクバンド。
2000年代後半以降ボルチモアではハードコア・パンクが盛んであり、その中でもTrapped Under Ice(トラップド・アンダー・アイス)が一番勢いがあった。
このTrapped Under Iceのドラマーであったブレンダン・イェーツが自身をボーカルに据えて2010年に始めたバンドがTurnstile!
彼らのスタイルはハードコア・パンクを土台にメタルやグランジ、R&B、エレクトロ、シューゲイザー、ヒップホップなどあらゆる音楽を吸収した誰もが楽しみやすいハードコア!
それゆえポップ・ハードコアと呼ばれることもある。
ただ様々なバックボーンの人々が会場に集まり、Turnstileの演奏を聴いて従来のハードコアパンクのファンのように盛り上がる様子はハードコア・パンクの歴史から見ても稀有なことだ。
さらに去年彼らがリリースした『Never Enough』(4thアルバム/2025年)はUSビルボードチャートで9位にランクイン!
ただでさえロック全体が下火だと言われている現代において、メジャーなチャートのトップ10入りはかなりの偉業だと思う。
そんなハードコア・パンクを再びメジャーシーンに押し上げた彼らの名曲・名盤を紹介!
おすすめ曲
Real Thing
『Time & Space』(2ndアルバム/2018年)、収録曲。
鋭いギターリフが癖になる代表曲!
アルバムのオープニングトラックであり、彼らの中では正統派ハードコアソング!
イントロはミドルテンポでヘヴィなグルーヴを感じさせて、歌メロが始まるとドライブ感溢れるアンサンブルに変わる。
ただしYouTube版では1分ほどの穏やかでサイケっぽいイントロがある。
Mystery
アルバムのオープニングトラック、彼らのアルバムのオープニングトラックは毎回名曲がある!
ミドルテンポを基調としたエモ系の楽曲。
アナログシンセのハーモニーを重視したサウンドと激しいシャウトで気分を高揚させてくれる。
ハードコア・パンクでは珍しいギターソロがあるが、そのギターソロが素晴らしい!
ギターソロのサウンドがディストーションとコーラス系のエフェクトが混ざったThe Smashing Pumpkins(スマッシング・パンプキンズ)を彷彿させるサウンド。
Blackout
バンドの中でもかなり激しい曲!
ドラムが激しいプレイからラテンなビートになったり、スローでモダン・ヘヴィネス風なプレイになったり、とにかく曲調が良く変わる!
乗りやすいリズム感を重視したポスト・ハードコア的アプローチを感じる楽曲!
2023年に開催された第65回グラミー賞の最優秀メタル・パフォーマンス部門にノミネートされた。
また最優秀ロックソング部門にもノミネートしている。
Holiday
穏やかなベースラインから始まるシンガロングできる活力溢れるハードコアソング!
癖になるコーラスとギターリフは必聴!
フェスでは一番盛り上がる曲なのではないかと思う。
イントロの感じがDead Kennedys(デッド・ケネディーズ)の代表曲「Holiday in Cambodia」を彷彿させる。
2023年に開催された第65回グラミー賞の最優秀ロック・パフォーマンス部門にノミネートされた。
Never Enough
『Never Enough』(4thアルバム/2025年)、収録曲。
イントロは優しいシンセサイザーから始まり、シューゲイザーポップな感じ。
しかし途中でミドルテンポで激しいギター・ベース・ドラムが加わり、ハードコアソングに変わる。
この曲の凄いところはシューゲイザーを土台にしてハードコア・パンクをやっていること!
シューゲイザーとハードコアの融合という試みはTitle Fight(タイトル・ファイト)というバンドが先にやっている。
しかしTitle Fight(タイトル・ファイト)はギターサウンドをシューゲイザー風にアレンジするというアプローチのため、ハードコア風のギターサウンドを損なってしまう。
一方Turnstileはシンセサイザーでシューゲイザー風の音像を下敷きにすることで、他のサウンドをハードコアのまま演奏することができるという画期的な試みをした。
USビルボード・オルタナティブエアプレイにて1位を記録!
2026年に開催された第68回グラミー賞の最優秀ロック・ソング部門にノミネートされた。
Birds
『Never Enough』(4thアルバム/2025年)、収録曲。
ハードコア・パンクというジャンルに対して様々なアレンジをした彼らが、原点回帰的に超正統派ハードコア・パンクソングをリリースした。
ライブで演奏しているところを想像すると観客がモッシュする様子が容易に思い浮かぶくらい純粋なハードコア・パンク!
しかし曲後半ではファンクを思わせるようなギターリフとドラムに変化する!
2026年に開催された第68回グラミー賞の最優秀メタル・パフォーマンス部門を受賞した。
しかしリスナーの間ではこの曲をメタル部門で受賞することに懐疑的な意見も見受けられる。
おすすめアルバム
『Glow On』(3rdアルバム/2021年)
『Glow On』(3rdアルバム/2021年)はハードコア・パンクというジャンルがどれだけ流動的かつ革新的なサウンドになりうるかを示したアルバム。
Turnstile以前にもハードコア・パンクにそれ以外の要素を融合した楽曲をしたバンドはある。
しかしポップやグランジ、シューゲイザー、ラップ、R&B、ソウル、ポストパンクなどTurnstileほどカラフルに融合させたハードコアのバンドはいないのではないか。
このように様々なジャンルを融合させて一つのアルバムにまとめていることから、Turnstileを「ハードコア・パンク界のJane’s Addiction(ジェーンズ・アディクション)」と呼ぶ専門家もいるくらい。
アルバムの最後の曲「LONELY DEZIRES」はハードコア・パンクを基調としてドリームポップのようなボーカルがのる実験的曲であり、ゲストとしてインディーR&B界隈のスターであるBLOOD ORANGE(ブラッド・オレンジ)が参加している。
USビルボードチャートで30位にランクイン!
バンドがリリースしてきたアルバムで初めてチャートインしたアルバム。
『Never Enough』(4thアルバム/2025年)
『Never Enough』(4thアルバム/2025年)はアルバムジャケットは淡く虹が映っている青空。
ジャケットのデザイン的にシューゲイザーっぽい感じがするがちゃんとハードコア・パンク!
でももちろんシューゲイザー的アプローチというか収録曲の「Light Design」や「I Care」などアナログシンセサイザーが目立つ楽曲が多い。
アルバム全体的にハードコア・パンクの伝統的なサウンドを踏襲しつつ、80年代的ポップ音楽風のアプローチがあるように感じる。
特に「I Care」はサウンドから歌い方まで完全にThe Police(ポリス)っぽい楽曲でびっくりした。
「SEEIN’ STARS」ではネオアコースティック風なギターサウンドとリフが目立つ。
様々なアプローチが散りばめられているが、全体を通して聴くと雑多な感じはなく一つの映画を観たような一貫したハードコア・パンクの壮大さを感じさせてくれる。
USビルボードチャートで9位にランクイン!
2026年に開催された第68回グラミー賞の最優秀ロック・アルバム部門を受賞した。












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