USインディー界でも異彩を放つ奇人集団!!
ロックミュージックで有名になる人は大体周りからは変わり者だとか変人だとか呼ばれることが多い。
また実際にロックスターの変人エピソードは後を絶たない。
それゆえロックファンはロックスターの変人エピソードを探すことを好む。
そんな変人・奇人だらけのロック界隈で異彩を放つバンド...
それが今回紹介するWeenである。
具体的にどんな奴らなのか?
Weenというのはジーン・ウィーンとディーン・ウィーンによるロックデュオ。
兄弟?
いいえ、他人です!
ジーン・ウィーンの本名はアーロン・フリーマン。
ディーン・ウィーンはマイケル・メルキオンド・ジュニア。
2人は地元中学のタイピングの授業で出会い、音楽の趣味が合いロックデュオを結成する。
バンド名のWeenとはWuss(臆病)とPenis (男性器) を混ぜた造語。
彼らには型がない!!
様々な音楽を吸収しているバンドはたくさんいるものの、大体のバンドはロックやメタルなどメインのジャンルを持って外部の音楽を取り入れる。
しかしWeenには全くない、メインのジャンルが。
彼らの根幹にあるもの、強いて言うなら”ローファイポップ”。
Weenはあらゆる音楽を吸収し自分たちなりのユーモアを加えることで、形容しがたい音楽を世に送ってきた。
そんな怪しさ満載のバンドWeenを今回は紹介!!
メンバー
ジーン・ウィーン
ボーカル、ギター。
本名はアーロン・フリーマン。
音楽的ルーツはPrinceであり、その後ニューウェーブに没頭する。
中学時代にディーン・ウィーン(マイケル・メルキオンド・ジュニア)とタイピングの授業で出会い、音楽の趣味が合いロックデュオを結成する。
初期はずっと二人でギターボーカルをしながらライブをしており、ドラムマシンを使っていた。
しかし2012年にバンドを脱退!
理由は彼が長年ドラッグ・アルコール中毒で苦しんでいて、そのリハビリに専念するためであった。
ジーンはリハビリと短期間で行っていたソロ活動を経て、2015年秋に無事にバンドへと復帰した。
ディーン・ウィーン
ボーカル、ギター。
本名はマイケル・メルキオンド・ジュニア 。
彼もPrinceから多大な影響を受けており、その後パンクロックに没頭した。
音楽以外には釣りに没頭しており、2009年に船舶免許を取得して以来定期的に釣りツアーを主催している。
この趣味を通じてPrimusのフロントマンであるレス・クレイプールと仲が良い。
アンドリュー・ワイス
ベーシスト兼プロデューサー、エンジニア。
元々はRegressive Aidというバンドで活動していたが、当時2人組で活動していたWeenと出会い意気投合。
Weenのベーシストとして参加する。
その後Bird’o’PrayRecordsという自主レーベルを設立し、自身のバンドの曲とWeenの楽曲をリリースするようになる。
またWeenの活動以外にもロリンズバンドのベーシストとしても活動している。
おすすめ曲
You Fucked Up
1stアルバム『GodWeenSatan:The Oneness』収録曲、オープニングトラック。
歪みまくったファズギターから奏でられるリフに乗せて「You Fucked Up(お前はめちゃくちゃだ!)」と叫びまくる曲、アルバム1発目からかましていくスタイル!
この曲はたった1分30秒しかない!
彼らの名刺代わりともいえる曲であり、ライブでも頻繁に演奏される。
初めて聞く方におすすめ!!
Birthday Boy
1stアルバム『GodWeenSatan:The Oneness』収録曲。
アルバムで唯一真面目な楽曲!?
ノイズ満載のギターに乗せてじっくり聞かせるような歌メロで淡くて青臭い心情を歌う。
彼らにしては異質な曲。
エリオット・スミスとメアリー・ルー・リードのデュエットがこの曲をライブでカバーした。
Freedom of ’76
4thアルバム『Chocolate and Cheese』収録曲。
かなりオシャレでメロウな曲!
夜の静けさに合うしんみりしたギターが気持ちが良い。
曲の中にはアメリカのペンシルバニア州にある都市フィラデルフィアに関するものが散りばめられている。
- 自由の鐘(観光名所)
- ベーコンステーキ(フィラデルフィアの名産料理)
- ボーイズⅡメン(フィラデルフィア出身のボーカルグループ)
- フェアマウントパーク(フィラデルフィアの公園)
- 映画『マネキン』(フィラデルフィアが舞台の映画)
PVはWeenのメンバーがフィラデルフィアの観光名所の自由の鐘を盗もうとするが警察に捕まるという内容!
PV監督はなんとスパイク・ジョーンズ監督!
Voodoo Lady
4thアルバム『Chocolate and Cheese』収録曲。
ローファイファンクと呼べるWeen流ファンクソング!!
エスニックな打楽器から始まり、そのリズムに乗せて軽快なカッティングギターを奏でる!
しかしそれだけにはとどまらず後半にはギターの音とは言えないようなえげつないノイズサウンドが出てきてリスナーを不安にさせる。
だが不安定さ、不可解さがWeenの良さである!
Piss Up a Rope
5thアルバム『12 Golden Country Greats』収録曲。
お気楽なカントリーポップソング!
ディーン・ウィーンが妻のために書いた曲。
オリヴァー・ストーン監督作品のサスペンス映画『Uターン』の劇中歌として採用されている。
The Mollusk
6thアルバム『The Mollusk』収録曲。
4分の3拍子の穏やかな楽曲。
後半になっていくたびに壮大なオーケストラになっていく構成。
PVはレゴを使ったストップモーションアニメになっており、かなり可愛らしい映像!
Ocean Man
6thアルバム『The Mollusk』収録曲、シングルカット曲。
非常に穏やかでユニークなポップソング。
たった2分ほどの曲であるが遊び心満載な構成で割と密度の高い曲。
初めて聞く方におすすめ!
PVはなぜか半魚人と戦う映像。
『スポンジボブ』の映画『スポンジ・ボブ/スクエアパンツ ザ・ムービー』のエンドクレジットソングとして採用されている。
Even If You Don’t
7thアルバム『White Pepper』収録曲、シングルカット曲。
後期ビートルズを彷彿させるようなサイケデリックポップ。
たった2分ほどの曲であるが遊び心満載な構成で割と密度の高い曲。
初めて聞く方におすすめ!
PVは大人の社交界的なバーがモデル。
少しセクシーだが、急にロバが出てきたりカオスな演出がなされる。
PV監督はなんと『サウスパーク』の作者であるトレイ・パーカーとマット・ストーン!!
実はWeenはサウスパークに出演している!!
S02E14『シェフ救済ライブ』に出演し、サウスパークのためだけに「Rainbow」という楽曲を提供した!
この「Rainbow」という曲はサウスパークのオリジナルサウンドトラックCD『Chef Aid: The South Park Album (Television Compilation) [Edited Version]』でしか聞くことが出来ない。
興味のある方は是非聞いてほしい!
おすすめアルバム
『GodWeenSatan: The Oneness』(1stアルバム/1989年)
全部で26曲、総曲時間1時間11分の大ボリュームアルバム!遊び心で溢れたおもちゃ箱!!
カオスとしか形容できないジャンルレスアルバム!
収録されている楽曲のほとんどが2分以下の長さであり、彼らのやりたいことの詰め合わせ感を注目していほしい!
また楽曲の6割くらいが歌とは呼び難い奇声や笑い声で溢れかえっている。
だが批評家からの評価は高く、辛口批評サイトであるピッチフォークはこのアルバムを10点中9.6点点をつけた!
個人的に好きな曲は
『Chocolate and Cheese』(4thアルバム/1994年)
若くして亡くなったカナダの名コメディ俳優”ジョン・キャンディ”に捧げたアルバム!
アルバム全体の雰囲気はファンクまたはサイケデリックロック。
中でも収録曲の「A Tear For Eddie」はインストゥルメンタル曲であるがカッコよいのでおすすめ!(この曲はファンカデリック/Pファンクのリードギタリスト”エディ・ヘイゼル”への追悼曲)
また「Roses are Free」はインダストリアル風のリズムに乗せて彼らのユーモアたっぷりなポップを聴けるので是非聞いてほしい!
『The Mollusk』(6thアルバム/1997年)
『深海への航海』をテーマにしたコンセプトアルバムかつ、自他ともに認める最高傑作!!
ジーン・ウィーンもディーン・ウィーンの2人ともがこのアルバムを最高傑作であると公言している。
一言で言えばサイケデリックロックとシーシャンティ(船乗りが船で作業する際に歌う労働賛歌)の融合。
とはいってもオーケストラを使った壮大な曲もあれば、下ネタ満載のふざけた曲もあるバラエティ豊かなアルバム。
しかし『深海への航海』というテーマは曲全般に見受けられる、きっちりとしてコンセプトアルバム。
またこのアルバムのカバーアートを担当したのはピンクフロイドの大名盤『狂気』のアルバムアートを手掛けていたストーム・ソーガソン。
USビルボードチャートで159位を記録。
USヒートシーカーズでは5位を記録した。
批評家たちからの評価が高く、辛口批評サイトであるピッチフォークはこのアルバムを10点中9.7点点をつけた!
またアニメ『スポンジボブ』の作者スティーブン・ヒレンバーグはこのアルバムに感銘を受け、すぐバンドと連絡を取る。
その後このアルバムに収録されている曲『Ocean Man』が映画『スポンジ・ボブ/スクエアパンツ ザ・ムービー』の劇中歌として採用されることになった。
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