第2次ブリティッシュ・インヴェイジョンを代表するシンセポップデュオ!!
皆さんはブリティッシュ・インヴェイジョンという言葉を知っているか?
ブリティッシュ・インヴェイジョンとはイギリスで培われたロック・ポップミュージックがアメリカだけでなく世界を席巻するほどの流行になる現象のことを指す。
このブリティッシュ・インヴェイジョンは過去に2度起こった。
第一次ブリティッシュ・インヴェイジョンは1962年~1966年。
ビートルズを筆頭にローリングストーンズ、キンクス、デイヴ・クラーク・ファイヴ、アニマルズ、ハーマンズ・ハーミッツなどのバンドが世界的に大ヒットした!
そして第ニ次ブリティッシュ・インヴェイジョンは1982年~1986年。
きっかけはバグルスの「ラジオ・スターの悲劇」のミュージックビデオがアメリカのMTVで放映されたことで始まった!
これによりDuran DuranやThe Human League、カルチャー・クラブやユーリズミックスなどのニューウェーブ/シンセポップバンドがミュージックビデオをきっかけにアメリカ及び全世界で大ヒットするようになったのだ!
今回紹介するTears for Fears(ティアーズ・フォー・フィアーズ)はまさしくこの第ニ次ブリティッシュ・インヴェイジョンを代表するグループである。
Tears for Fearsは ローランド・オーザバル と カート・スミス によるシンセポップデュオ。
このグループ名のTears for Fearsは心理学者アーサー・ヤノフの著書『Prisoners of Pain』に登場する章題からそのまま取られている。
2人とも幼いときに両親が離婚しており、残された子供たちの心の痛みと悲嘆というテーマは初期の活動に重要な影響を及ぼしていく。
そんな彼らの名曲・名盤を紹介していく!!
メンバー
ローランド・オーザバル
ギター、ボーカル、キーボードを担当!
母親はイギリス人、父はバスク系スペイン人でありイギリスのポーツマスで生まれる。
両親が離婚後、ローランドはバースに移住。
13歳のときにカート・スミスと出会い、音楽の道に進む!
2人はGraduate、Neonなどのバンドを経た後、1981年に Tears for Fears(ティアーズ・フォー・フィアーズ) を結成。
1981年にデビューした後、破竹の勢いで世界的なバンドへと成長する!
そして『Songs from the Big Chair』(2ndアルバム/1985年)をリリース後、イギリスでは2位、アメリカで1位となった。
しかし人気絶頂の中、相棒カート・スミスは脱退!
その後もローランドはTears for Fears名義で活動を続けることとなった。
その後の2人の運命は「カート・スミス」の項目で説明!!
カート・スミス
ベース、ギター、ボーカル、キーボードを担当!
1991年に相棒ローランドとの軋轢により、カートはバンドを脱退する!
しかしローランドはこのことを事前に知らされていなかったため大きなショックを受けた。
その後はソロ活動を始め4枚のスタジオアルバムを発表した。
だが解散してから13年後の2004年にカートはローランドと和解。
同年にアルバム『Everybody Loves A Happy Ending』を発表し正式に再結成した!
2人とも今現在も活動している!
おすすめ曲
Mad World
1stアルバム『The Hurting』収録曲、シングルカット曲。
映画『ドニーダーコ』のエンディングでこの曲が採用されて再評価された!
(※しかしマイケル・アンドリュースとゲイリー・ジュールスのカバー)
UKシングルチャートで3位にランクインした!
Shout
2ndアルバム『Songs from the Big Chair』収録曲、シングルカット曲。
Tears For Fears史上最高のヒットシングル!!
歌詞の意味はジョン・レノンが受けたことで有名な原初療法(叫ぶことで治療する精神療法)のことを言っていると多くの人は考えていた。
しかし本人たちは「抗議する」ことの大切さを歌った曲だと公言している。
歌詞も
In violent times, you shouldn’t have to sell your soul In black and white, they really, really ought to know Those one-track minds that took you for a working boy Kiss them goodbye, you shouldn’t have to jump for joy たとえ辛いときでも 君は魂を売るべきじゃない 黒か白か 彼らは本当のことを知るべきなんだ 頭の固いヤツらは 君をただの労働力としか思っていない そんなヤツらとは おさらばするんだ 楽しむために無理しなくてもいいんだ
とロックなメッセージが込められている。
1985年に発表されたポップソングの中で最も有名な曲の一つ!
UKシングルチャートでは4位を記録!
しかし本国イギリスを上回りアメリカのUSビルボードチャートでは1位を記録!!
またカナダやドイツ、オーストラリア、ニュージーランド、スイス、ベルギーのシングルチャートで1位を記録した!
Everybody Wants to Rule the World
2ndアルバム『Songs from the Big Chair』収録曲、シングルカット曲。
権力の探求とそれが引き起こす悲劇がテーマになっており、元々の曲名も「Everybody Wants To Go To War」だった。
この曲がリリースされた当時が冷戦の真っ只中だったことが影響されてか、この曲も大ヒットを記録した!
UKシングルチャートで2位を記録!
USビルボードホットチャートで1位を記録!
また批評家からの評価も高く、1986年のブリットアワードにてベストシングル賞に輝いた!
またこの曲の別アレンジバージョンである『Everybody Wants to Run the World』(世界を動かしたい)は1986年に行われた世界的チャリティーコンサート『ライブエイド』のテーマソングになった!
Weezer Cover
あの大人気バンドのWeezerもこの楽曲をカバーしている。
Head over Heels
2ndアルバム『Songs from the Big Chair』収録曲、シングルカット曲。
タイトルを直訳すると「かかとが頭の上」、つまり真っ逆さまという状態。
英語圏では慣用句として「すっかり恋に夢中になっている状態」であることを表す。
歌詞の内容もラブソングであるが、好きすぎるが故の不安な感情も描いた複雑なものになっている。
「最後に少しひねくれたロマンスソング」だとローランドは公言している。
またこの曲も「Mad World」と同様に映画『ドニーダーコ』の劇中歌に採用されている!
UKシングルチャートで12位を記録!
USビルボードチャートで3位を記録!
Sowing the Seeds of Love
3rdアルバム『The Seeds of Love』収録曲、シングルカット曲。
後期ビートルズの『マジカル・ミステリーツアー』や『サージェントペッパーズロンリーハーツクラブバンド』等の音楽スタイルを引用した曲。
また歌いだしが空耳で「母ちゃん、許して~」と聞こえるのでも有名だ。
曲の内容は政治色の強いものであり、主に当時のサッチャー政権の批判が歌詞に書かれている。
UKシングルチャートでは5位を記録。
USビルボードホットチャートでは2位、USモダンロックチャートでは1位を記録した!
またこの曲のMVは非常に評価が高く、1990年のMTVビデオミュージックアワードにてブレイクスルービデオ部門とベストヴィジュアルエフェクト部門の2部門を受賞した!!
Woman in Chains
3rdアルバム『The Seeds of Love』収録曲、シングルカット曲。
フェミニズムについて描いた楽曲!
Tears For Fearsのバラードソングの中でも特に人気の高い曲。
レコーディングではアメリカのソウル・ジャズシンガーであるオリータ・アダムスが参加しており、彼女の歌声によって楽曲がより美しく洗練されたものとなっている。
またドラムはあのフィル・コリンズが担当している。
UKシングルチャートでは26位を記録!
USビルボードホットチャートでは36位を記録した!
おすすめアルバム
『Songs from the Big Chair』(2ndアルバム/1985年)
英米の両方で大成功を収め専門家からも絶賛された名盤!!
U2のような社会意識、エコー&ザ・バニーメンのような反響するギター、XTCのような歪んだポップセンスが融合した傑作アルバム!
1stアルバム『The Hurting』ではシンセサイザーが主軸の曲が多かったが、今回はよりギターやベースなどバンドサウンドを意識して作られている。
アルバムのタイトルは1976年に放送されたテレビ映画『シビル』から引用されており、劇中の16の人格を持つ女性が大きな椅子に座っていたことから名づけられた!
UKアルバムチャートでは2位を記録。
USビルボードチャートでは1位を記録した!!
またカナダとオランダのアルバムチャートでも1位を記録しており、全世界で1500万枚以上の売り上げを記録した!
『The Seeds of Love』(3rdアルバム/1989年)
前作の大ヒットアルバムから4年後に発表、大きな期待を裏切らない傑作アルバム!!
新しいアルバム制作のための経費は100万ポンド(約1.5億円)近いと噂され、さらに途中でセッションを中止したり、クリエティヴ面での不安定さ、大きな遅れなどの悪い噂がたちまち増えていった。
ジャズやソウル、サイケデリック、または60年代のブリティッシュロック(主にビートルズ)が内包され、さらにクオリティがあがったアルバム。
UKアルバムチャートでは1位を記録。
USビルボードチャートでは8位を記録した!!
またアイルランドのアルバムチャートでも1位を記録しており、全世界で1500万枚以上の売り上げを記録した!
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