アメコミ実写映画のレベルを底上げした快作!
バットマンの映画の話をしようとしたら世代的にクリストファー・ノーラン監督作の『ダークナイト』三部作の話になることが多い。
そのため残念なことに昔の『バットマン』(1989年)から始まるシリーズのことを語る機会が少ない。
なので今回は『バットマン』(1989年)について存分に語りたい!!
『バットマン』(1989年)の偉業は大きく分けると三つ!
- ヒーロー映画として初めて巨額の製作費が投じられたこと。
- 当時子供向けだったコンテンツを大人向けにアレンジしたこと。
- なおかつ興行的に大成功を収めて、批評家たちからも絶賛されたこと。
アメコミヒーロー映画が大人と子供両方にも受け入れられることを証明したのが、映画史にとってかなり大切な役割を担った。
また本作の監督を務めたのはあの奇才”ティム・バートン”!!
『バットマン』(1989年)は彼にとって初めてA級映画の監督を務め、大成功を収めた。
ティム・バートンお得意のダークファンタジーの世界観と『バットマン』はミラクルマッチしたのだ!
そろそろ映画の詳細について語ろうと思う。
2作目の『バットマン リターンズ』の紹介も投稿しました。
あらすじ
犯罪と暴力がはびこる治安最悪の街、『ゴッサムシティ』!!
警察・司法がまともに機能しない秩序が失われたこの町にある噂が流れていた。
”巨大なコウモリが現れた”と。
コウモリのような漆黒のボディスーツを身にまとった男は『バットマン』と名乗り、ゴッサムシティの犯罪者たちに制裁を加えていた。
この正体不明の男『バットマン』の正体を追っていたのが新聞記者ノックスと女性カメラマン・ヴィッキー。
取材の過程でヴィッキーは青年実業家のブルース・ウェインと知り合う。
このブルース・ウェインこそ『バットマン』の正体だったのだ!
一方ゴッサムを牛耳るマフィアのボス”グリソム”の右腕”ジャック・ネイピア”はグリソムの愛人に手を出したことで怒りを買う。
グリソムの罠によりジャック・ネイピアは化学工場で警官隊と応戦することに!
またその現場にバットマンが出没!!
ジャックはバットマンを銃で撃つが、跳ね返された弾丸が近くの機械に当たり、破片を顔面に浴びたジャックは化学薬品の液槽に転落する。
何とか一命をとりとめたジャック。
しかし化学薬品の作用で肌は真っ白に漂白、顔面の神経が麻痺したことで引きつった笑い顔に表情が固定されてしまう。
ジャックはショックのあまり精神に異常をきたす。
そしてジャックは自らを”ジョーカー”と名乗り、自分をはめたボス”グリソム”を始め裏社会の有力者たちを殺し始める。
そしてバットマンは史上最悪の敵”ジョーカー”と対決することになるのだ!
見どころ
史上最高のバットマン役”マイケル・キートン”
以下は実写でバットマンを演じてきた俳優の一覧である。
- アダム・ウェスト・・・『怪鳥人間バットマン』(1966年)
- マイケル・キートン・・・『バットマン』・『バットマン・リターンズ』
- ヴァン・キルマー・・・『バットマン・フォーエバー』
- ジョージ・クルーニー・・・『バットマン&ロビン』
- クリスチャン・ベール・・・『バットマンビギンズ』・『ダークナイト』等
- ベン・アフレック・・・『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』等
- イアン・グレン・・・『タイタンズ』(ドラマ)
- ロバート・パティンソン・・・『ザ・バットマン』(2022年・公開予定)
この中ではマイケル・キートンが一番うまく「ダークヒーローとしてのバットマン」を演じていると思う。
どのように上手く演じられているかを説明するには、バットマン/ブルース・ウェインとはどのような人物なのかを説明する必要がある。
ブルース・ウェインは「ウェイン・エンタープライズ」のオーナーである若き青年実業家。
幼いころに眼前で両親を強盗に殺害され、以来執事のアルフレッドに育てられる。
このトラウマからブルースは両親の命を奪った犯人への復讐として「犯罪者たちの恐怖の象徴」ないしは「ゴッサムシティの新たな秩序」になること誓う。
ブルースは上記の目標に向けて血のにじむような努力をして、あらゆる武道・格闘術はもちろんのこと犯罪心理学・化学・法医学の知識を修める。
このような苦労の果てにブルースは青年実業家としての表の顔とは別に、「バットマン」としてゴッサムシティに暗躍することになった。
バットマンを演じるうえで大切なことは、”彼の強靭な精神をどう表現するか”だと思う。
バットマンはみんなから愛されるスーパーヒーローなんかではないし、そんなものを目指しているわけではない。
あくまで「犯罪者たちの恐怖の象徴」を目指している。
政府や警察・世間の大多数に嫌われながらも、「ゴッサムシティの新たな秩序」を築くためにバットマンであり続ける強靭な精神こそがバットマンがバットマンであるゆえんである。
このようなバットマンを演じきったのは…
マイケル・キートンただ一人!
彼はどんな苦難に陥っても感情を表に出さない。そして迷いや隙を見せない。
極めつけは敵に見せる笑顔の怖さ!
これこそ「犯罪者たちの恐怖の象徴」と言える。
アメコミ映画の格を上げたのジョーカー役”ジャック・ニコルソン”
さきほどと同じくジョーカーを演じてきた俳優一覧である。
- シーザー・ロメロ・・・『怪鳥人間バットマン』(1966年)
- ジャック・ニコルソン・・・『バットマン』
- ヒース・レジャー・・・『ダークナイト』
- ジャレット・レト・・・『スーサイド・スクワッド』
- ホアキン・フェニックス・・・『ジョーカー』
- キャメロン・モナハン・・・『GOTHAM/ゴッサム』
正直どのジョーカーも大好き!
ジャレット・レトは除くが...
おそらくヒース・レジャーがとびぬけて凄いが、ジャック・ニコルソンも負けていないと思う。
ジョーカーという人物は映画によって設定が異なる。
- 元マフィアであったが薬液によって体が異常変化したジョーカー
- 身元も正体も不明でただ白塗りのメイクをして暴れまわるジョーカー
- 元コメディアンであったが精神に異常をきたして覚醒したジョーカー
など色々あるがジャック・ニコルソンが演じたのは1番目のジョーカー!
素がジョーカーのような俳優ではあるが、本作品ではマフィア、アウトローとしての怖さとコミカルで得体のしれない怖さを巧みに演じ分けた!
そして凶悪さと知的な雰囲気を兼ね備えた演技。
この高度な演技がアメコミ映画の格を上げたと思う!
ゴシックな雰囲気で描かれたクールなゴッサムシティ!
この映画は第62回アカデミー美術賞を受賞している!
それはおそらく舞台美術や衣装に至るまで、コミックテイストと現実のちょうどいい狭間を表現していたからだと思う。
映画の舞台である”ゴッサムシティ”は犯罪と暴力がはびこる治安最悪の街。
リアルに描きすぎると汚すぎて、画面を見るのも不快になる映像となるだろう。
反対にコミカルすぎると大人の視聴者は映画に没入できない。
そのため本作ではゴッサムシティをゴシックな雰囲気の治安の悪い工業都市として描いた。
この表現が視聴者を不快にせず、大人でも没入出来る世界観の形成に大いに貢献した。
またほかにもバットマンの愛機”バットモービル”のデザインである!
漫画通りの見た目かつ現実味のある優れたデザイン。
非の打ち所がないとはまさにこういうことなのかと思う。
優れた映画音楽・挿入歌”ダニー・エルフマン”/”プリンス”
ダニー・エルフマン
本作の映画音楽を担当したのは映画音楽界の巨匠”ダニー・エルフマン”
ゴシックなダークファンタジーの世界観を際立たす音楽を作るとなれば、彼の右に出る者はいない!
また彼はティム・バートン監督作品常連の映画音楽家!
ティム・バートンはジョニー・デップよりも多く彼とコンビを組んでいる。
また「スパイダーマン」・「ハルク」・「アベンジャーズ」・「ジャスティスリーグ」などMarvel、DC問わず多くのアメコミ映画の音楽を担当している。
また本作のサウンドトラックも発売中!
プリンス
またこの映画はゴシックなシーン以外にも派手でファンキーなシーンも度々登場する!
そんなシーンにはうってつけの音楽・歌を作ってくれたのがプリンス!
彼は元々コミック版『バットマン』の愛読者!
当時大人気で多忙な身であったのにも関わらず、プリンスは本作の劇中歌を担当してくれた。
挿入歌の中でも「Batdance」は有名!
特に日本だと曲中にある空耳「農協牛乳!」(実際は”Don’t Stop Dancing!”)で知られている名曲だ!
他にも「Electric Chair」や「Trust」・「Partyman」などいい曲がたくさんあるから是非聞いてほしい!
↓サウンドトラックも発売中!
視聴するには
現在U-Next、Amazon Primeにて配信中!
またDVD・BDも好評発売中!
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