B級ホラー映画の中に入ってシナリオを変えてしまおう!!
2010年代のホラー映画にはある潮流が生まれていた。
それは今までのホラー映画のお約束・パターンを皮肉って笑いをとるメタホラーコメディである。
2010年に公開された映画『タッカーとデイル』が発端となってこのジャンルの映画が結構作られた!
そこから『キャビン』や『ハッピー・デス・デイ』など同系統の映画が作られ始める。
今回紹介する映画『ファイナル・ガールズ 惨劇のシナリオ』は2015年に公開されたメタホラーコメディ。
このタイトルにあるファイナル・ガールズというのはホラー映画の専門用語。
ホラー映画では女性キャラがラストで敵のモンスターや殺人鬼をやっつけてしまうことが多く、映画ファンたちはそんな女性キャラを”ファイナル・ガールズ”と呼んでいる。
映画『ファイナル・ガールズ 惨劇のシナリオ』は若者5人がカルト的な人気を誇る80年代のスラッシャー映画『血まみれのキャンプ場』の中に何故か入ってしまうという話!
1980年代のホラー映画への愛(愚弄)に溢れたこの映画を今回紹介!!
あらすじ
主人公のマックス・カートライトは普通の女子学生。
彼女のお母さんはいまだカルト的な人気を誇るスラッシャー映画『血まみれのキャンプ場』に出演した女優アマンダ・カートライト。
そのアマンダはマックスが幼いころに交通事故でこの世を去ってしまった・・・
ある日マックスは親友ガーティの兄で映画館の副支配人のダンカンにある頼みをされた。
それは彼の映画館で『血まみれのキャンプ場』のリバイバル上映をするので、あの女優アマンダ・カートライトの娘であるマックスをゲストとして来場してほしいとのこと。
まだ完全に母親を亡くした悲しみを忘れ切れていないマックスは一度は断る。
だがダンカンからマックスが苦手な古典のレポート作成を一年分代わりにするという条件を提示され、渋々承諾する。
そして訪れた上映会当日。
会場となる劇場には親友ガーティのほかに、マックスに好意を抱く男友達クリスも訪れていた。
さらにクリスの元カノヴィッキーも現れ、上映が開始される。
ところが上映から少ししたころに、タバコを吸っていた客とアルコールを飲んでいた客の不始末から、劇場は火事となる。
パニックと化した観客たちは我先に劇場の外へ逃げ惑うが、マックスたちはスクリーン裏にも出口があるとダンカンから聞くと、スクリーンを破ってその裏側に避難しようと急ぐ。
マックスはなぜか落ちていた刃物でスクリーンを切り裂いて、マックスとガーティ、クリス、ヴィッキー、ダンカンの5人はスクリーンをまたいだ。
彼らは難を逃れたと思いきや、そのまま映画「血まみれのキャンプ場」の世界に入り込んでしまうのだった。
彼らは元の世界に戻れるのだろうか!?
見どころ
『13日の金曜日』の中に入れるならあなたはどうする!?
この作中に出てくる映画「血まみれのキャンプ場」の元ネタは名作ホラー映画『13日の金曜日』。
映画「血まみれのキャンプ場」は若者たちがキャンプ場で遊んでいると、その土地で伝説と化している殺人鬼ビリー・マーフィーが彼らを襲うという物語。
もう、ほとんど一緒である。
主人公たちはこの「血まみれのキャンプ場」の中に入るのだが、最初は状況が呑み込めていなかった。
映画の中に入ったことを理解できても、「映画はどうせ筋書き通りに進むから、大人しくしてればいいだろう?」と考えていた。
しかし殺人鬼ビリーはそんなこともお構いなく映画の登場人物でない主人公たちも襲っていく。
そこで主人公たちは作戦を思いつく。
それは殺人鬼ビリーの登場シーンに備えてあらゆる場所にトラップを仕掛けること!!
また男女がいやらしいことをし始めると殺人鬼ビリーが出てくるので、主人公たちは映画の登場人物たちに禁欲を命じる。
2015年と1986年のギャップを弄る!
2015年から来た主人公たちと1986年の中で生きる映画の登場人物たちとの会話が面白い。
30年というジェネレーションギャップにある種の感慨深さを感じてしまった。
映画の登場人物たちは80年代特有の大雑把で寒いジョークをよく飛ばすが、主人公たちはそのジョークに終始イライラしている。
また昔はLGBTに対する配慮が全くなかったため、そのことで主人公たちが映画の登場人物にキレることもあった!
またテクノロジーの差も面白い。
映画の登場人物たちはスマホを見て「穴のないカセットテープ」と呼んで不思議がった。
また映画の終盤に主人公マックスとその母が演じていた役ナンシーがもし助かってキャンプ場を出られたらどうするという話をしていた場面。
ナンシー「もしここを無事に出られたら...私と一緒にショッピング行きましょう?」 マックス「他のことにしない?ショッピングはネットで出来ることだし...」 ナンシー「ネットって何?」 マックス「うーん...今私が考えた言葉、気にしないで!」
時代の流れは恐ろしい・・・
映画の演出を利用しろ!!
この映画の面白いところ!
それは映画の演出にも主人公たちが巻き込まれてしまうところ!
例えば映画の登場人物の誰かが昔の話をすると、映画は回想シーンに入る。
すると主人公たちは回想シーンの空間に転送される。
またその空間では終始、昔の話をしている登場人物のナレーションが聞こえている。
しかし主人公たちはこの現象を利用して殺人鬼ビリーに対抗した!
ビリーが主人公たちと映画の登場人物たちを追い詰めたとき、主人公マックスはある秘策を思いつく!
マックス「今昔の話をして!ビリーの話を!」
映画の登場人物が慌てて昔話をすると、全員が回想シーンの空間に飛ばされて間一髪で難を逃れるのであった!
またビリーをコテージに閉じ込めコテージごとビリーを爆破するシーンで、画面がスローモーションになる!
そのときに主人公たちがゆっくりとなり「な~~に~~こ~~れ~~!」・「す~~ろ~~も~~~し~~よ~~ん~~よ~~~」という!
この映画で一番好きなシーンかもしれない!
今は亡き母と話す主人公の切なさ...
この映画はただのコメディ映画ではない。
映画の中ではずっと切なさがついてくる。
それは主人公マックスが今は亡き母が演じた役柄であるナンシーと出会うからだ。
ナンシーの見た目は若いときの母そのものであるが、あくまで映画のキャラであるため母とは別の人格である。
そのためナンシーはマックスのことを何とも思っていない。
また元々の映画の筋書きではナンシーは殺人鬼ビリーに殺されるのだ。
しかし主人公マックスはなんとかナンシーがビリーに殺されないように守り続ける。
理屈ではなく心で行動してしまうマックスの必死さ、切なさが堪らなかった。
視聴するには?
映画『ファイナル・ガールズ 惨劇のシナリオ』は現在NetflixとAmazon Primeで配信中!!
またDVDも絶賛発売中!!
是非見てください!!
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