映画『ミッドナイト・ファミリー』不認可の救急隊という闇ビジネスに迫ったドキュメンタリー

伝記・ドキュメンタリー
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単純な倫理観では判断できないメキシコの医療事情

日本に住んでいる限りおそらく知りようがない職業はたくさんある。

そのうちの一つが今回紹介されるドキュメンタリー映画『ミッドナイト・ファミリー』で知ることになるだろう。

その職業とは民間救急隊員!

日本では119をすればほとんどすぐに救急車が来るが、メキシコは違う。

メキシコの首都メキシコシティの人口は900万人以上だがそれに対して救急車の数が45台にも満たない。

(ちなみに2019年度の東京都の人口は約1400万人に対して、救急車は267台

かなり少ない。

そのため民間人が認可も得ていない営利目的の救急隊を結成し、緊急搬送というサービスと引き換えにお金を請求する闇ビジネスが生まれている。

この映画ではその民間救急隊というビジネスを家族でやっているオチョア家族に密着で取材した記録である。

彼らのやっていることはもちろん非合法である。

しかし人命救助という善い行いをしている。

でも人命救助を引き換えにお金を請求するのは非倫理的?

そんなことを言ったら医者は儲けていないのか?

単純な物差しや倫理観では彼らを語れない。

あなたはオチョア家族の生き方を見て何を感じるのか?

映画『ミッドナイト・ファミリー』を見れば、日本にいる限りおそらく想像も出来なかった世界を目にすることになるだろう...

あらすじ

メキシコの首都メキシコシティ

人口は900万人以上だがそれに対して救急車の数が45台にも満たない。

そんな医療事情であるためメキシコシティではある闇ビジネスがはびこっているのであった。

その名も民間救急隊員!

この映画は民間救急隊を家族で営んでいるオチョア家族に密着取材を行った映像記録である。

オチョア家族は父フェルとその子供の兄ホアンと弟ホセの3人でこの民間救急隊のビジネスをやっている。

ホセはなんと小学生。

彼らは夜になると3人でメキシコシティの繁華街を救急車で走り回り、無線で得た事故情報をもとに現場へと駆けつける。

ケガ人を見つけ次第救急車に乗せて、近くの病院まで連れていきその後金銭を要求する。

彼らのビジネスは人助けとは言え違法行為。

しかし金銭を要求することに異議を唱えるなら、一般的な医者は無料で治療しているのか?

我々の価値観で彼らを判断することは出来ない...

あなたはこのビジネスを見て何を思う?

見どころ

臨場感のあるドキュメンタリー映像!

ドキュメンタリーであるがまるでアクション映画のような臨場感やサスペンス映画のような緊迫感がこの映画には散見される。

なぜなら民間救急隊というビジネスはスピードが命!

公営の救急車はもちろんのこと、他の同業者よりも早く現場に駆け付けないといけない。

そのため一度無線をキャッチすれば、台風の如く事故現場へと駆けつける。

その様子をまるで視聴者が救急車の中にいるような臨場感で感じることが出来るのだ。


またこの映画の特徴として印象的だったのが、「制作側の主張」が出来る限り排除されている点。

よくあるドキュメンタリー映画では製作側の意図や主張が表に出てしまっているようなテロップが出てしまっていたりする。

中にはドキュメンタリー映画なのに監督や制作スタッフが出演してしまっているものもある。

しかしこの映画にはそのような演出は一切ない。

制作側はオチョア家族に正義感・倫理観を押し付けるようなこともしない。

ただありのままのメキシコの医療事情を映すだけ。

世の事実をドキュメンタリー映像として我々が視聴し、今まで深く考えなかった倫理観、知らなかった価値観について考える。

まさにドキュメンタリー映画の役割を完璧に全うしている映画だと思う。

少なくともお金のためだけにやるビジネスではない!

ここまでレビューを見てくれた方の中には「民間救急隊はなんだかんだ儲かるからやっているのでは?」と思っている人もいると思う。

全く違う。

ネタバレしない程度に言うと、民間救急隊はあくまで闇ビジネス。

あらゆる法律の制約を受けるため、そのたびに必要な経費を要するため儲かるわけではない。

しかし儲からないならなぜこんなビジネスをするのだろうか?

オチョア家族の兄”ホアン”はこの問いに対して我々の理解に及ばないであろう答えを言うのであった。

視聴するには?

映画『ミッドナイト・ファミリー』MadeGood Films – Official Siteにて視聴可能!

是非見てください!!

外部リンク

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