『サウスパーク』の製作陣を苦しめた『ザ・シンプソンズ』の先進的ギャグを解説!
2026年
『サウスパーク』は今年で29周年を迎えるアメリカの人気カートゥーンである。
しかし先輩の『ザ・シンプソンズ』は今年で37周年を迎える。
ゆえにたまに『サウスパーク』の中には先に『ザ・シンプソンズ』でやっていたのがいくつか存在する。
『サウスパーク』の作者であるトレイ・パーカーとマット・ストーンはこの状況を認めている。
そんな『ザ・シンプソンズ』の凄さエピソード「沈没!カートマン帝国」(S06E07)の中で称賛した。
このエピソードではバターズが「たとえいいことを思いついても大体先にシンプソンズがやっている」と愚痴ってる。
だが実際にどんなギャグが被っていたのか疑問に思い今回調べてみた。
クリスチャン音楽界隈を弄ったギャグ
サウスパーク『イカす!? バンド成金 やりー』(S07E09/2003年)
サウスパーク『イカす!? バンド成金 やりー』(S07E09/2003年)のエピソード。
スタン、カイル、カートマン、ケニーがロックバンドMoopを組んで一攫千金を目指す。
そのときカートマンは「今クリスチャン・ロックが流行っているからやりたい!」と言うが他の3人が反対。
すると拗ねたカートマンはバンドを脱退し、バターズとトークンを誘ってクリスチャンロックバンドのFaith∔1を結成する。
しかし他のメンバーにクリスチャンロックの曲を作られるのかと言われたカートマンはこう答えた。
カートマン「昔のヒットソングをパクって、ベイビーとかダーリンとかの歌詞をジーザスにする」
この浅知恵がなんとうまくいってFaith∔1は大ヒットしてしまうのだが・・・
シンプソンズ『バイ・バイ・プレイズランド』(S12E19/2001年)
しかしこのギャグは先にシンプソンズの『バイ・バイ・プレイズランド』(S12E19/2001年)に出ていた!
奥さんに先立たれてシングルファーザーとなったシンプソンズ家の隣人フランダース。
シンプソンズ家は気を使ってフランダースをクリスチャンカントリー歌手レイチェル・ジョーダンとデートできるように仕向けた。
2人の会話でフランダースが「前にいたバンドのメンバーは?」と聞く。
するとレイチェルは「みんなポップミュージックの方に行っちゃった。歌詞をジーザスからベイビーに変えて!」と答えた。
サウスパークは「ポップからクリスチャンロック」
シンプソンズは「クリスチャンカントリーからポップ」
だがギャグの本質はほぼ一緒である。
自己満足の具現化ギャグ
サウスパーク『自己満警報』(S10E01/2006年)
サウスパーク『自己満警報』(S10E01/2006年)のエピソード。
カイルの父ジェラルドがハイブリットカーを買ったことで「自分は環境に配慮している特別な人間」として調子に乗って振る舞い、みんなの怒りを買った。
しかしジェラルドはサウスパークは意識の低い人間しかいないと言い放ち、家族全員でサンフランシスコに移住する。
カイルの親友スタンは「サウスパークが意識の高い街になれば、カイルの家族が戻ってくる」と考え、ハイブリットカーの歌を作って布教開始!
結果サウスパークの住人はほとんどハイブリッドカーに乗るようになったが、別の問題が発生した。
それはスモッグ(Smog)ならぬスマッグ(Smug)の発生!
住人たちが全員「環境に配慮した特別な人間」と自惚れることで、その自己満足の精神がガスとなって具現化して大気汚染が発生!
※「よくこんなエピソードを思いつくな~」と思う。
シンプソンズ『刑事ホーマー俺がへなちょこ』(S10E13/2000年)
しかしこんな奇天烈なギャグに類似するものを先にシンプソンズの『刑事ホーマー俺がへなちょこ』(S10E13/2000年)でやっていた。
エピソード内でホーマーは自分の名前をマックスパワーに変えることで有名になった。
そしてセレブが集まるパーティーに招待されたが、それは環境保護を目的としたパーティーだった。
ホーマーは環境保護に全く関心がないのに成り行きで森林保護活動のためのバスに無理やり乗せられる。
そのときパーティーにいたエド・ベグリー・ジュニア(※実在のゲスト俳優)が別の乗り物に乗っていた。
それは自分の脳内で発生する自己満足(Smug)をエネルギーに変えて動く自動車だった。
正直無理やり類似点を見つけた感じであるが、自己満足(Smug)を具現化するというギャグもシンプソンズが先にやっていたのであった。
友達を助けるために有名ゲストを招いてイベント実施
サウスパーク『シェフ救済ライブ』(S02E14/1998年)
サウスパークの『シェフ救済ライブ』(S02E14/1998年)のエピソード。
主人公たちが慕っている学校の給食係兼教師シェフ。
彼は以前ミュージシャンとして活動しており、その時作った曲がアラニス・モリセットが歌っていたことを知る。
カイルは「シェフが作ったのなら印税をもらうべき」と言われ、はじめは乗り気じゃなかったシェフだが主人公たちと一緒にレコード会社へ言って直談判する。
だがレコード会社はしらばっくれた挙句、シェフを名誉棄損で訴える。
さらにレコード会社は有能弁護士のジョニー・コクランを雇い勝訴、シェフは多額の賠償金を求められてしまった。
主人公たちはシェフを助けるために、シェフが音楽業界にいた頃の友人ミュージシャン達を訪ねて寄付金を募る。
友人ミュージシャン達が集まってシェフを救うための寄付金を募る「シェフ救済ライブ」を開催!
シンプソンズ『クラスティ絶体絶命!!』(S04E22/1993年)
しかしこのストーリーと似たものがシンプソンズの『クラスティ絶体絶命!!』(S04E22/1993年)で既にやっていた。
バートが愛してやまないコメディアン、ピエロのクラスティ!
そんなクラスティにライバルが出現・・・
その名は腹話術人形のギャボ!
ギャボの人気は凄まじくクラスティの番組を打ち切りまでに追い込む。
どん底まで落ちたクラスティは引退を決意するが、バートはクラスティを助けようとする。
バートはクラスティと関わりのある有名人たちを尋ねて、「クラスティの復活特番をするからゲスト出演してほしい」と交渉!
はたしてクラスティは芸能界にカムバックできるのか?
これも似たようなエピソード
しかしそれぞれのゲストのメンツであるが・・・
サウスパークのシェフ救済ライブのゲストは
- エルトン・ジョン
- オジー・オズボーン
- ジョーストラマー(The Clash)
- ミートローフ
- リック・ジェームス
- Primus(プライマス)(サウスパークのオープニング曲のバンド)
- Rancid(ランシド)
- Ween(ウィーン)
など
一方シンプソンズのクラスティ復活番組のゲストは
- Red Hot Chili Peppers(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)
- エリザベス・テイラー
- ベット・ミドラー
- バリー・ホワイト
- ジョニー・カーソン
- ルーク・ペリー(ビバリーヒルズのディラン・マッケイ役の人)
皆さんはどっちがいい?
自分を冷凍保存して未来に行こうとする
サウスパーク『神と無神論』(S10E12/2006年)
サウスパークの『神と無神論』(S10E12/2006年)のエピソード。
カートマンは任天堂のゲーム機Wiiの発売日が待ち遠しい過ぎて頭がおかしくなっていた。
※普段から頭がおかしいが
そこでカートマンは自身を雪山で野ざらしにすることでコールドスリープさせ、Wiiの発売日になったあと誰かに解凍してもらうという作戦を考えた。
カートマンは自身を雪に埋める作業とWiiの発売日に解凍する仕事をバターズに頼む。
バターズはカートマンを雪の中に埋めた後、年下の友人ダギーと遊んでおりコールドスリープの話をした。
しかし賢いダギーは「そんなものでコールドスリープなんてできない!普通に凍死する!」と言い、バターズはパニックとなる!
だがダギーはバターズにコールドスリープの件は誰にも話していないことを確認し、「黙っていれば事故で済む」と諭した。
バターズはWiiの発売日を過ぎてもカートマンを雪山に放置した。
そして時は過ぎてカートマンは目覚める、そこは西暦2546年の世界だった!
シンプソンズ『リサは天才?!凡人?!』(S09E17/1998年)
しかしこのストーリーと似たものがシンプソンズの『リサは天才?!凡人?!』(S09E17/1998年)で既にやっていた。
このエピソードではリサが自分の知能がだんだん下がっていることに対して何とかしようとするというメインストーリーがあるが・・・
サブストーリーとして老人のジャスパーの話が出てくる。
コンビニのクイック・E・マートの店主アープーが店の冷凍食品BOXを見て驚く!
なんど冷凍食品BOXの中に老人ジャスパーが入って氷漬けになっていたからだ。
氷漬けになったジャスパーの手には紙のメモがあり、そこには
「進歩した未来を見たいので自分を冷凍することにする。安いロボットワイフが出来たら溶かせ。追伸、流行遅れになったらズボンを変えろ。」
と書いてあった。
アープーは当然警察と医者を呼んだが、医者は「危ないからこのままにしておこう」と言い出す。
その様子を見た町の不良少年たちは氷漬けのジャスパーを見たがるが、アープーは見世物じゃないと断った。
しかし不良たちは「お金を払うから見たい」と言い出す・・・
そしてアープーは「冷凍人間」という見世物ビジネスを始めた!
2つとも「より良い未来に行くために自身を冷凍保存する」というギャグ。
しかしシンプソンズの方は2013年のバカッター(コンビニのアイスボックスに入って写真を取り出した若者たち)の出現を預言しているのでもっとすごいか?
総括
今更だがこの記事で言いたいことは「サウスパークのギャグは大体シンプソンズのパクリ」だということでは断じてない!!
いちばん伝えたかったのはこの2作品の特性の違い!
まずはシンプソンズ。
シンプソンズの特徴は『強くて新しい大喜利ボケの羅列を自然なストーリーの上で成り立たせている』こと。
漫才で例えるなら令和ロマンや真空ジェシカ
シンプソンズは大勢の高学歴脚本家たちがアイディアを持ち寄って時間をかけて作っているため、我々は上質な作品を楽しむことができる。
しかしギャグによって「そのギャグは単体でも面白いが、もっと深く掘っていけばもっと面白くなりそうなのに」と思う瞬間が度々ある。
一方、サウスパーク
サウスパークの特徴は『一つの既存のボケをストーリーの起点として展開し、そのボケを手を変え品を変えて何度も繰り返す』ところ。
漫才で例えるなら千鳥やトム・ブラウン
サウスパークはシンプソンズが数秒ほどで処理しているギャグを20分ほどこねくり回して、放映当時の政治や社会を皮肉る。
人によっては冗長に感じることはあるが、磨きあがった一つのボケが大爆笑を引き起こすこともある!
ザ・シンプソンズとサウスパーク
両方ともモンティ・パイソンから影響を受けたアメリカを代表するカートゥーン。
しかしこの2作品は全く別のタイプの素晴らしい作品で現在もアメリカのカートゥーンの第一線で活躍している!
みんな両方とも見てほしい!!
ただザ・シンプソンズはDisney Plusで視聴できるが、サウスパークは日本語版の配信は現在終了しており、公式(英語のみ)でしか見れない・・・
















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