第6~4位
第6位『潰談』
あらすじ
大学生の杉男は南米を旅していた尾木の旅話を聞いていた。
尾木は南米のジャングルで出会った部族の集落で歓迎を受け、土産に蜜入りの壺をもらい帰国した。
その蜜は神がかった美味しさであったが、部族の人たち曰く「気づかれないように舐めないといけない」という。
その話を聞いた杉男も一口舐めたところ蜜のとりこになったが、蜜が残り少ないため尾木は「それ以上はあげない」と言った。
渋々帰った杉男だが蜜を舐めて以降、他の食べるものすべてがまずく感じてしまうようになってしまっていた。
なんとかもう一度蜜を味わいたい杉男は大学の仲間を引き連れて尾木のいない家に入り蜜入りの壺を見つけた。
そして部屋には何かがぺしゃんこに潰された跡が残っていた...
見どころ
蚊と麻薬をモチーフにした作品!
「蚊みたいな酷い目に人間も遭うことになったら」という発想に脱帽した作品。
すこしネタバレになるが、作中の蜜を食べているときに”何者”かに見つかるとその人は文字通りぺしゃんこにされる。(それゆえ尾木は部屋で)
このぺしゃんこにされる描写が凄まじく、ぺしゃんこにされた遺体は骨も内臓も残らずただ血しか残っていないため、想像もつかないほど強い圧力で潰されたように思える。
しかし先日行った伊藤潤二先生の個展『伊藤潤二展 誘惑』にこの作品の解説があったが、本当は内臓などをしっかり描写しようとしたが当時締め切りが近いため細かく描写しなかったらしい。
またこの『潰談』の怖いところは、ただ海外のお土産を食べたという普通の出来事が原因で恐怖に巻き込まれるということ。
普通にしていたことが恐怖の世界のカギとなると想像するとゾッとする。
第5位『グリセリド』
あらすじ
女の子唯は自分の家が嫌いだった。
なぜなら唯の父は実家の1階で焼き肉屋をしており、唯は2階に住んでいるのだが、常に換気が悪いため柱や壁が脂でべとべとになっていたからだ。
また2歳上の兄の五郎は父に隠れて唯をイジメるような陰湿な子供で、親に隠れて焼き肉屋のサラダ油を飲むという癖もあった。
数年後、兄の五郎は思春期になりニキビが目立つようになったが、あまりのニキビの多さから学校でいじめられるようになり遂に家に引きこもるようになる。
引きこもりだした五郎はさらに唯をイジメるようになるのだが...
見どころ
伊藤潤二先生の描く”不潔”でもトップクラスのおぞましさを感じる傑作。
第9位『うめく排水管』や第7位『なめくじ少女』が”ヌメり”の恐怖を描いている一方、この『グリセリド』では”ギトギト”の恐怖を描く。
人が想像しやすいレベルでなおかつ背中がぞわっとする不潔さを丁寧に表現しているため、人によってはトラウマになるかも...
作中で兄の五郎が自分のニキビの多さを利用して唯にとんでもない嫌がらせをするのだが...このシーンは人によっては嘔吐してしまうかも...
第4位『地縛者』
あらすじ
ある日突然、謎の奇病が流行っていた。
さまざまな場所でずっと同じ姿勢で立ち続ける人々。
日本中でその奇妙な光景が見られ始めるようになると、いつしか彼らは「地縛者」と呼ばれるようになった。
そんな「地縛者」を助けようとする民間ボランティアに所属する女子大生浅野は「地縛者」に話しかけ続けるが一向に解決の糸口が見つからない。
ある日、浅野が自宅に帰るとボランティアのリーダーが「地縛者」となって立ち固まっていた!
なぜ人は「地縛者」になってしまうのだろうか?
見どころ
世界観系のホラー。
ストーリーが進むにつれて「地縛者」がいる場所から「地縛者」の原因を追究していく。
はじめは「地縛者」という現象そのものの恐怖を描いており、「地縛者」は時間が進むと体が石のように凝固して死に至るという恐ろしいものであった。
それゆえ女子大生浅野は「地縛者」の謎を解き明かそうとするが、謎の答えがわかった瞬間別の恐怖が浅野と読者を襲う。
その巧みなプロットにゾッとしたのでこの順位!!
また2015年に世にも奇妙な物語でこの『地縛者』が実写化された!(主演:前田敦子)
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