叙情詩のメロディと壮大でエモーショナルなUSインディーロック
2019年、僕が『Death Cab for Cutie』のパリでの公演を見に行った話
僕は海外バンドのライブには何度も足を運んでいるとは言えない。
偉そうに色んなバンドの紹介や感想を書いているのにも関わらず。
ただ唯一自慢できるのは2019年の2月にパリへ旅行に行き、Death Cab for Cutieのライブを見たことだ。
ただDeath Cab for Cutieを見るためにパリへ行ったわけでなく、元々パリに旅行へ行く予定が決まっていて、滞在中にDeath Cab for Cutieがパリでライブをすることを知ってライブへ行ったのだ。
ライブチケットが35ユーロであり、当時1ユーロが約130円なので約4550円。
日本でDeath Cab for Cutieがライブするとチケットが7000円近くするため、かなりお得だった。
またDeath Cab for Cutieは5,6年ペースでしか来日しないから、僕はなんて恵まれているんだろうと悦に入っていたが、その年のフジロックに彼らが来日したためすこーし特別感が薄れてしまった。
ライブ会場は『LE TRIANON』というところで、まるでオペラや演劇をするような歴史を感じるようなライブハウスだった。
最高のライブだった...!
...と自慢はここまでにしてDeath Cab for Cutieの紹介をします。
概要
1997年にDeath Cab for Cutieはバンドのリーダーベン・ギバード(Ben Gibbard)を中心にアメリカ・ワシントン州で結成された。
もともとはベン・ギバードのソロプロジェクトのようなバンドであったが、バンドとして初めて作ったデモアルバム『You Can Play These Songs with Chords』が好評だったためメンバーを固定。
- ベン・ギバード(ボーカル・ギター・キーボード)
- クリス・ウォラ(ギター・コーラス)
- ニック・ハーマー(ベース)
- ネイサン・グッド(ドラム)
の4人でメンバー固定する。
またクリス・ウォラはバンドのプロデューサー・ミキシング・共同作曲等を担当し、ベンに次いでバンドサウンドの中核を担うことになる。
1stアルバムから4thアルバムまではインディーレーベル「Barsuk Records」からリリースしていたが、2003年リリースの4thアルバム『Transatlanticism』が商業的成功を収め、批評家たちからも高い評価を得た。
その後2004年11月にメジャーレーベルの「アトランティック・レコード」と契約し、2005年にメジャーデビューアルバムである5thアルバム『Plans』を発表。
『Plans』も大ヒットし第48回グラミー賞のベストオルタナティブアルバム賞にノミネート!
以後コンスタントに楽曲・アルバムを発表し、インディーでもメジャーでも成功を収めた稀有なバンドとしてアメリカのオルタナティブロックシーンで活躍し続けている。
彼らの音楽性
Death Cab for Cutieの音楽の印象は「インディーロック出身なのにサウンド・メロディがメジャーっぽい」というのが一番強い。
彼らは今ではメジャーシーンで活躍しているが、インディー時代からもメジャーっぽいサウンドのように感じた。
音作りもインディーロック特有のローファイ感もないし、音が全体的にクリアでスッキリしている。
歌メロも通常のインディーロックに比べてメロディを重視しているし、何といっても歌唱力が高いためPavementやDinosaur Jr.特有の気だるい感じの歌い方はしないのが、メジャー感を際立たせていると思う。
影響を受けた音楽
彼らはThe Smithsからも影響を受けており、The Smithsの代表曲「This Charming Man」のカバーをデモアルバム『You Can Play These Songs with Chords』内で発表している。
ベン・ギバードはBuilt to Spillを敬愛しているとも語っている。
しかし全てを尊敬しているわけでなく、Built to Spillのライブについては苦言を称している。
彼が若かりし頃見に行った『Built to Spill』のライブのセットリストがダグ・マーシュのソロ作品であったり、彼の好きなバンドのマイナー曲のカバーがほとんどを占めており、バンドの代表曲をほとんどやらなかったそうだ。
この経験からベンは新アルバムのリリースツアーであっても半分くらいは過去の名作を披露しようと心がけているそうです。
おすすめの曲
I Was a Kaleidoscope
3rdアルバム『The Photo Album』収録曲でシングルカットされた曲。
バンドの中で特別人気がある曲ではないが、イントロのギターリフがインディーロックらしさ全開かつ耳に残るものなので、個人的にはトップクラスで好きな曲。
The New Year
名盤4thアルバム『Transatlanticism』収録曲。
アルバムの1曲目で、オーケストラのように壮大なギターとそんなギターを更に盛り上げるようなドラムが特徴的。
未知の大きな変化が今にも自分に訪れることを予感させるような曲で、アルバムの一曲目の役割を十二分に発揮している。
The Sound of Settling
名盤4thアルバム『Transatlanticism』収録曲。
曲の長さは2分30秒ほどの短い曲だが、かなりポップでアップテンポな曲でライブで全員が合唱するような曲。
サビで「パッパー♪」とシンガロングするフレーズがあり、パリでのライブでも本当に楽しかった!
初めて聴くのにおすすめ!
しかしベン自身は元々ポップでアップテンポな曲は好みでなくこの曲をアルバムに入れることに対して消極的だったが、クリス・ウォラの説得でアルバムに収録することとなったという経緯がある。
Soul Meets Body
5thアルバム『Plans』に収録の曲。
アコースティックな雰囲気の明るい曲で、バンドのギタリストクリス・ウォラも大好きな曲だと語っている。
アメリカのビルボード・モダンロックチャートで5位にランクインした。
ファンの間でも人気の高い曲なので、この曲も初めて聴く方におすすめ。
I Will Follow You Into the Dark
5thアルバム『Plans』に収録の曲。
ベンのソロアコースティックギターバラードの曲、当時のヒットチャートであまり上位には位置していないが、アメリカ国内では最も人気の高い曲。
死や死後の世界、自分と世界との関係にフォーカスを当てた作詞になっており、多くのアーティストがこの曲をカバーしている。
Crooked Teeth
5thアルバム『Plans』に収録の曲。
比較的ポップな曲で、アメリカのビルボード・モダンロックチャートで10位にランクインしたことがある。
PVもユニークなので、すぐにはまる曲だと思う!
おすすめのアルバム
『Transatlanticism』(2003/4thアルバム)
バンドの中で1番の名盤であると名高いアルバム。ベン自身もこのアルバムをお気に入りのアルバムであると語っている。
本アルバムは『孤立』『悲しみ』『遠距離恋愛』というテーマを追求したコンセプトアルバムになっている。
このアルバム発表以前はギター・ベース・ドラムのシンプルな楽器構成に拘っていたが、本アルバムではサウンドスケープを重視してサンプラーを導入している。
結果批評家たちから絶賛されて、インディーロックバンドでは珍しくアメリカ・カナダでゴールドディスクを獲得している。
『Plans』(2005/5thアルバム)
メジャー進出後一発目のアルバム。
メジャーに進出しても彼らは自分たちのスタイルを一切変えなかった。
4thアルバムのように明確なテーマが決まっているわけではなく、「もし神様を笑わせたいなら、自分の将来の計画を話すといいよ」というブラックジョークに触発された内容となっている。
このアルバムは前作よりも商業的成功を収めており、アメリカ・カナダでプラチナディスクを獲得している。
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