ポストパンク・リバイバルとダンスパンク・ブームの立役者
ロック創成期、ロックというものは踊れる音楽であった。
エルヴィス・プレスリーやリトル・リチャード、ビル・ヘイリー・アンド・ヒズ・コメッツなどのロックを聴いてみんなが踊っていた。
しかし歴史が進むにつれてロックとダンスミュージックは分離する。
ただ1970年代後半にニューウェーブが流行し、ディスコ音楽とロックミュージックは融合を図るも、またすぐに分離してしまった。
しばらくロックとダンスミュージックが分離したまま、2000年代を迎えてしまった。
そしてついにこの両者を再び融合させた人たちがいた!
それはLCD Soundsystem(LCDサウンドシステム)!!
彼らは90年代から流行っているクラブミュージックであるエレクトロクラッシュやハウス、テクノとパンクロックを組み合わせたダンスパンクというジャンルを確立した。
それと同時に70年代後半に起きたポストパンクの再来、ポストパンク・リバイバルの貢献にも一役買った!
メンバー
※ほとんどの楽曲を制作している中心人物ジェームス・マーフィーのみ紹介。
ジェームス・マーフィー
ボーカル/マルチインストゥルメンタリスト。
1970年2月4日生まれ、ニュージャージー州で生まれ育つ。
幼いころから音楽に触れており、The B-52’sやThe Fall, The Smiths, Yes, Can, デヴィッド・ボウイを愛聴していた。
またエレクトロ系のミュージシャンだとOrchestral Manoeuvres in the Dark (OMD)に影響を受けていたという。
だが元々脚本家志望であったため、ニューヨーク大学の英文学部に在籍してたが2年時に中退。
その後1988~1989年にかけてFalling Man、1992~1994年にかけてPony、1995~1997年にかけてSpeedkingといったバンドで、ギターやドラムなどを演奏していたがどれもうまくはいかなかった。
バンド活動と並行しサウンドエンジニアとしてと修行を積んでおり、スティーブ・アルビニやボブ・ウェストンなどの有名エンジニアに従事していた。
その後ジェームスはイギリスで活躍する音楽プロデューサーのティム・ゴールズワージーと出会い意気投合。
2人でDFAレコーズ(DFA Records)というプロデュースチーム兼レコードレーベルを設立し、ロックとダンスミュージックの融合を目指す!
その後ジェームスはLCD Soundsystem(LCDサウンドシステム)を結成し、ロック史に名を残す存在へとなる。
またバンド活動だけにとどまらず、The RaptureやArcade Fire, Hot Chipなどのバンドのプロデュースを担当。
またプレイヤーとしてデヴィッド・ボウイのアルバム制作にも参加している。
おすすめ曲
Daft Punk Is Playing At My House
ファンキーでノりやすい!
初めて聴く人におすすめの1曲!
PVは曲名にあるDaft Punkの「Around the World」のパロディになっている。
UKダンスヒットチャートで1位。
またUKシングルヒットチャートでは29位にランクイン。
2006年に開催された第48回グラミー賞にて最優秀ダンス・レコーディング賞にノミネートされた。
Losing My Edge
実はアルバムが発表される前の2002年にリリースしたシングルでもある。
この曲こそがダンスパンク・ムーブメント、もしくはポストパンク・リバイバルの火付役になったという見方をされることが多い。
ローファイなビートとパット・マホーニーのドラムプレイが組み合わせることでレトロフューチャー的なファンクミュージックのような雰囲気を醸し出す。
曲の内容は「音楽オタクが自分の音楽趣味を他人に誇る一方で確実に自分が時代に取り残されていることと才能が衰えていることに気づく・・・」という内容。
音楽好きやバンドマンであればあるほど心に響く内容になっている・・・
しかしこれを歌っている本人ジェームス・マーフィーはマニアックで古い音楽を再開発して音楽シーンの第一線で活躍している事実を知れば、この曲のメッセージ自体が彼の謙遜風の皮肉であることがわかると思う。
2014年にNMEが選んだ「史上最高の500曲」で第26位に選ばれた。
ピッチフォークが選ぶ「2000年代のベストソング200」にて13位にランクイン。
All My Friends
個人的に今まで聞いてきた中でもトップクラスで胸に来るものがある曲。
この曲のテーマは「人生の苦悩・老化の悲しさを友達と受容する」と思う。
どれだけ仲良かった友達とも人生の荒波・愚かな選択によって長い間会えなくなってしまう。
久しぶりに会ったとしてもかつてのように楽しく話すことも出来ない...お互いに「つまらない大人になってしまった」と落胆してしまうだろう。
それでも人生に疲れて自分の価値も思い出も思い出せなくなったら、今夜会おう、会うことさえできれば!
そんなほろ苦い叙情的な感情を表現した名曲。
ジェームス・マーフィー曰く「自分の友達についての曲を書き続けたとしてもあれ以上の曲は作れないと思う」と認めるほどの傑作。
2014年にNMEが選んだ「史上最高の500曲」で第91位に選ばれた。
ピッチフォークが選ぶ「2000年代のベストソング200」にて2位にランクイン。
ローリング・ストーン誌が選ぶ『オールタイム・グレイテスト・ソング500』(2021年版)では87位にランクイン。
Someone Great
温かいシンセサウンドと可愛らしいシロフォンの組み合わせが特徴的な楽曲。
しかし曲の内容は悲しいもの...
自分にとって大切な人が急に亡くなる。
悲しんでいる一方で空は晴天、仕事も山積み...ゆっくり悲しむ余裕もない。
と暗い内容であるが、サウンドは皮肉にもポップで癒されるほどやさしいサウンド...
Drunk Girls
3rdアルバム『This Is Happening』、収録曲。
サイケデリックで騒がしくてポップな楽曲。
レトロゲームのようなサウンドを奏でるシンセポップのような要素も含んでおり、密度が高い曲だ!
スパイク・ジョーンズ監督が担当したこの曲のPVも騒がしくてキマッていて面白い!!
メンバーたちがパンダのコスプレをした謎の集団にいじめられながら曲を歌いきるというもので、消火器をかけられたり、卵を投げられたり、ワインをかけられたりやりたい放題される!
tonite
70年代ディスコを意識したような4つ打ちのビートとアシッドハウス風のベースラインが特徴的なレトロチューン。
ボーカルのエフェクトがオートチューン主流の時代に(それも少し時代遅れだが)、あえてボコーダーを使用しているのもレトロ趣味が見え隠れしてて楽しい。
2018年に開催された第60回グラミー賞にて最優秀ダンス・レコーディング賞を受賞した。
おすすめアルバム
『LCD Soundsystem』(1stアルバム/2005年)
長い下積み期間を経てついに発表した2枚組の超ボリューム感あふれるデビューアルバム!!
元々ジェームス・マーフィーはDFAレコーズでのプロデュース業務が忙しく、自身のプロジェクトに集中できていなかった。
しかし2004年に事務所の暖房器具が壊れたことで仕事が出来なくなり、実質2カ月の休暇を得ることになった。
その間にマサチューセッツ州にあるインターネット回線も敷いていないような田舎のスタジオで3週間アルバム制作を行った際にできたのがこの『LCD Soundsystem』。
このような環境、短い製作期間内で収録曲の合計時間が100分を超えるような大ボリュームの内容となった。
まさしくドンピシャなダンスとパンクの融合が楽しめるのはこのアルバム!
このボリュームであるのにもかかわらず、リスナーを飽きさせない豊富な展開とサウンドの移り変わり、クオリティが高いのにもほどがある・・・
UKアルバムチャートで20位を記録。
批評家・専門家たちからも高い評価を受ける。
2006年に開催された第48回グラミー賞にて最優秀エレクトリック/ダンス・アルバム賞にノミネートされた。
ピッチフォークが選んだ「2000年代のベストアルバム200」にも113位にランクインされた。
『Sound of Silver』(2ndアルバム/2007年)
彼らの最高傑作と名高い、ダンスパンクとクラウトロックの共通点を見出した歴史的名盤!
ダンスパンクというジャンルの先駆者の一人でもあるLCD Soundsystemであるが、この頃は同ジャンルのバンドがあふれかえっており、さらに大勢のバンドよりも上の次元に行く必要があった。
このアルバムでは大人向けの落ち着いたダンスパンクを楽しめる。
のりやすいリズムや激しいサウンドの追求だけでは面白くない。
ダンスミュージックだからと言っても必ずしも体を動かす必要もない。
椅子に座って聴いて心だけでも静かに踊ることが出来る音楽があれば最高だろう。
それがこの『Sound of Silver』!!
このアルバムは批評家・専門家たちに絶賛され、あらゆる音楽誌の名盤ランキングで必ず名を連ねるくらい評価の高いアルバムだ!!
UKアルバムチャートで28位を記録。
USビルボード・トップダンス/エレクトロニックアルバムにて1位にランクイン!
2008年に開催された第50回グラミー賞にて最優秀エレクトリック/ダンス・アルバム賞にノミネートされた。
NMEのThe 500 Greatest Albums of All Time(2013年版)では49位にランクインされた。
またピッチフォークが選んだ「2000年代のベストアルバム200」にも17位にランクインされた。
『American Dream』(4thアルバム/2017年)
再結成後に発表し、ついにUSビルボードチャートで1位を記録したアルバム!
LCD Soundsystemは2011年に一度解散したが、2015年に再結成する。
このアルバムはダンスパンクはもちろん、シンセポップ・アートロック・ポストパンクなどあらゆるジャンルを網羅した作品となっている。
しかしサウンドそのものはジェームス・マーフィーが尊敬してやまないデヴィッド・ボウイのベルリン3部作時代のものと類似している。
このアルバムはキャリア史上初の全米1位を記録!
UKアルバムチャートで3位を記録。
USビルボード・トップオルタナティブアルバムにて1位にランクイン!
USビルボード・トップロックアルバムにて1位にランクイン!
USビルボード200にて1位にランクイン!
各チャートを総なめした!
また2018年に開催された第60回グラミー賞にて最優秀オルタナティブミュージックアルバム賞にノミネートされた。















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