おすすめ曲
Big New Prinz
11thアルバム『I Am Kurious Oranj』、収録曲。
バンドを代表する曲であり、ダンスロックって感じでとっかかりやすい曲であり。
ベースの力強さと気だるさの緩急を感じる独特サウンドに注目してほしい。
Pulpのジャービス・コッカーやPixiesがこの曲をカバーしている。
ジャービス・コッカー(Pulp)
Pixies
Eat Y’self Fitter
『Perverted by Language』(6thアルバム/1983年)、収録曲。
マーク・E・スミス流のロカビリーの再構築ともいえる傑作曲。
タイトルの「Eat Y’self Fitter」とは当時イギリスで流れていたケロッグのオールブラン朝食用シリアルCMのキャッチフレーズである。
歌詞の内容はかなり日常的であり、とりとめのないような内容を次々と語っていくような歌詞である。
マーク・E・スミスもこの曲については「日記のようなもの」と語っており、あらゆるものに挑戦しようとする一般的なイギリス人男性の生活を表現しているそうだ。
だが淡々とした硬いメロディラインにのって紡がれるその歌詞はイギリス人の普遍的な生活をどこか皮肉っているように思えてくる。
Paintwork
『This Nation’s Saving Grace』(8thアルバム/1985年)、収録曲。
アルバム内、もしくはThe Fall史上最高の曲ともいわれている。
しかし曲自体は難解な内容、つまり玄人受けの楽曲。
最初は朗らかなセミアコースティックソングが流れているかと思えば急に曲調が変わったり、不可解な音が聞こえたりする。
言ってしまえば実験的なサイケデリックフォークソング。
曲の内容はあらゆる意識の移り変わりの激しさを表現しているようで、あらゆる録音音源をコラージュして脈絡なくもなく曲調が変わったりドキッとするギミックが多い。
良いメロディを求めている人にはハマらない曲だと思うが、新しさを求める人にはドンピシャの名曲であろう。
Hit The North
1987年に発表したシングル曲。その後『The Frenz Experiment』(10thアルバム/1987年)にも収録された。
作詞はマーク・E・スミス、作曲はブリックス・スミスとサイモン・ロジャースであった。
ブリックス・スミスはThe Fallがアンダーグラウンドな存在である一方でもっと多くの人に知ってほしいという願いからポップな曲としてこの曲を創作した。
バンドとしては珍しくサンプラーやドラムマシンなどを採用しており、当時のレイヴカルチャーから影響を受けた作風になっている。
スローテンポなディスコサウンドのような雰囲気である一方で、力強さも感じるロックでもある。
初心者におすすめの一曲となっている!
Bury
『Your Future Our Clutter』(27thアルバム/2010年)、収録曲。
2010年代でも彼らは自分たちのスタイルを変えずに、更なる進化を遂げていた!
インダストリアルな雰囲気と怖さを併せ持つThe Fallの新境地的楽曲!
何よりもヘッドフォンで聴いていただけるとわかるが、左耳ではハイファイな音質が流れており、右耳ではローファイな音質が流れるという奇妙な仕掛けがある。
おすすめアルバム
『Hex Enduction Hour』(4thアルバム/1982年)
原始的かつ攻撃的な初期の名盤!!
『Hex Enduction Hour』はキッチンシンク・リアリズムとマジックリアリズムの文化的影響が顕著に表れた作品。
※キッチンシンク・リアリズム・・・1950年代後半から1960年代前半にかけて起こったイギリスの文化的運動であり、労働者階級の日常風景や貧困に関する社会問題を探求したものを指す。
※マジックリアリズム・・・非日常的なものと日常的なものが共存している世界観が描かれる芸術的技法のこと。
マーク・E・スミスもこのアルバムに関しては「本当に良い本を読ん出来るような感覚を与えたい」と公言し、そのような作詞を心がけていたそうだ。
またアルバム自体は聞きやすく、ロックらしい激しさや粗削りさを求めるならこのアルバムはおすすめ!!
初心者におすすめの1枚だ!
『The Wonderful and Frightening World Of…』(7thアルバム/1984年)
クールな無機質さと遊び心が融合した彼らの新境地!!
『The Wonderful and Frightening World Of…』はバンドが比較的ポップ志向になった作品。
しかし改めて聞くとおどろおどろしいサウンドでまだまだ毒っ気たっぷり、そのため批評家たちからの評価も依然と高かった。
またこのアルバムではツインドラムと言う方式を取っており、堅実なプレイのドラムと荒々しい動きのあるドラムが同時に内在している。
そのためメロディがテクノのように同じ繰り返しのように見えて、実際に同じフレーズを繰り返していないというカオスな曲調を楽しめる。
『This Nation’s Saving Grace』(8thアルバム/1985年)
最高傑作と名高い抽象的ポストロパンクアルバムの金字塔!!
『This Nation’s Saving Grace』は最も批評家たちからの評価が高い曲。
このアルバムの特徴は「荒々しいリズム隊サウンドの重厚感」だと思う。
本来録音においてコーラスやギター・ピアノなどのメロディを奏でるパートが何重にも録音される技術は一般的であったが、このアルバムではドラムやベースなどのリズム隊のパートが幾重にも重ねて録音されている。
一般的な観点で見るとリズム隊が重ねて録音されていればリズムが取りづらく曲が不安定に聴こえると思われるが、このアルバムではリズム隊が「雷鳴」・「金属音の反響」のように聞こえて今までにない力強さを表現している。
LCD Soundsystemのジェームス・マーフィーはこのアルバムに強い衝撃を受けたことを公言している。
当時彼は抽象芸術に関して否定的であったが、このアルバムのローファイ感に感銘を受けて「何事も完璧にすることが美的目標の達成に繋がるとは限らない」という考えを持つようになったそうだ。
ピッチフォークが選ぶ『1980年代のベストアルバム』を第13位にランクイン。
NMEが発表した『史上最高のアルバム500枚』にて第400位にランクイン!!
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