1960年代末イギリス暗黒時代を舞台にした微妙な関係な2人の男のコメディ!
皆さん腐れ縁で繋がっている友人や恋人はいますか?
腐れ縁とは辞書だと「離れようとしても離れられない関係。好ましくない関係を批判的・自嘲的にいう。」言葉らしい。
特別仲が良いわけでない、むしろ少しむかつくって思うほどだけど訳あって関係を持ち続けている相手がいるなんて体験は結構あると思う。
『ウィズネイルと僕』はそんな関係性に焦点を当てた陰鬱な青春コメディ。
知名度こそないもののあらゆる映画監督・アーティスト・映画評論家がこの映画を絶賛している。
『サウスパーク』の作者の一人であるマット・ストーンも「無人島に持っていきたい10本の映画・ビデオ」の一つにこの作品を選ぶほどだ。
いわゆる知る人ぞ知るカルト映画であるが、観てみるとやはり「コメディという枠を飛び越えたヒューマンドラマ」だと感じる。
正直、映画の題材で「真面目な優等生キャラとテキトーなおバカキャラのコンビが繰り広げるストーリー」なんてかなりありふれている。
『ウィズネイルと僕』もこの枠組みに入るが目新しさを感じる。
それは真面目な優等生キャラとテキトーなおバカキャラのコンビは大抵の映画だとなんだかんだで上手くいくが、『ウィズネイルと僕』では現実的に考えると絶妙に上手くいかないだろうという描写をリアルに描いているからだと思う。
そんなリアルを描いた『ウィズネイルと僕』を今回紹介!!
あらすじ
1969年のロンドンに2人の売れない役者、主人公”僕”とその同居人ウィズネイルがいた。
2人は役者としてうまくいかないことから、酒とドラッグに溺れる毎日。
そんな自堕落の日々嫌気がさした”僕”はウィズネイルの叔父モンティが所有する別荘に行く計画を立てる。
そして週末に2人は叔父モンティが所有する別荘に行くが、別荘には食べ物はおろか電気・ガス・水道、何にもなかった...
”僕”とウィズネイルは何もできず別荘近くのパブに入るが、ウィズネイルがパブの客に喧嘩を売ったので彼らから恨みを買うことに。
結局何にもない別荘に戻る2人。
その日の夜に叔父モンティが別荘にたくさんの物資を持ってきてくれたのだが...
登場人物
僕
写真右の人。
この映画の主人公であり、失業中の俳優。
演劇学校で一緒だったウィズネイルと卒業も一緒に暮らしている。
彼はまじめで神経質であり、テキトー人間なウィズネイルとは全く合わない人間。
それゆえ一緒に暮らしていても問題ばかりが起きる。
そんな状況で彼が提案したことが田舎の別荘に行くことだった!!
しかしその提案もむなしく・・・
ウィズネイル
写真左の人。
僕と同様に失業中の俳優。
性格は強気で喧嘩っ早いが、自分の敵わなさそうな相手ならすぐに逃げる狡猾さも持っている。
俳優の仕事の依頼が来ているのにもかかわらず、自信のプライドが邪魔して断り続けている。
またアルコール依存症気味。
またことを上手く運ぶために平気でうそをつく。(友達が名門学校出身だとか、自分は軍人だとか)
嘘つきと自分勝手さが目立って「僕」を苛立たせるのだが...
モンティ
ウィズネイルの叔父さんであり、別荘の所有者。
また彼は同性愛者であり、密かに「僕」のことを狙い始めていた・・・
モンティを演じるのはリチャード・グリフィス!!
彼はあの『ハリーポッター』シリーズに出てくるダーズリー一家の主人バーノン・ダーズリーを演じている。
『ウィズネイルと僕』は1987年、『ハリーポッター』は2001年に公開されているのにもかかわらず、リチャード・グリフィスの見た目がほとんど変わっていないのは少し恐怖に感じる...
見どころ
コメディ映画とは思えない湿っぽい空気感
コメディ映画って言えば陽気なイメージがある。
かといって『ジャッカス』シリーズや『ハングオーバー』シリーズみたいにバカさマックスみたいな奴ばかりではなく、『ホームアローン』のようにほのぼのしたものもあるが全部陽気な映画である。
しかしこの映画だけは陰鬱なコメディ!
シーンのほとんどが雨か曇り...真のロンドンの雰囲気を伝えているようにも思える。
でもなぜ陰気なのにコメディ映画として成り立っているか?
それは主人公”僕”とウィズネイルとのコミュニケーションのかみ合わなさゆえにトラブルが多発する構成が何ともおかしいのだ。
それを詳しく説明する。
絶妙にかみ合わない二人・・・
この映画における主人公”僕”の目的は「自堕落な生活を変えて、役者として頑張れる環境の再構築」でる。
”僕”は同居人のウィズネイルとは終始性格がかみ合っていなかった。
”僕”は真面目であるがウィズネイルは適当人間。
普通の映画なら僕は臆病者でなかなか行動がおこせない人間であるが、ウィズネイルという破天荒な人間が引っ張って一緒に行動するような話を作るだろう。
しかしウィズネイルはある意味破天荒であるが、色んな事に文句を言って中々行動しないタイプ。
”僕”が勇気を出して提案した「田舎で生活しよう」というのもウィズネイルは最初否定的であったが、仕方なしで”僕”と一緒に行動するようになる。
そして田舎でウィズネイルは勝手な行動や意味不明な嘘を積み重ねて、”僕”の神経をすり潰していく。
その様子を面白おかしく描いたのがこの映画。
イギリスらしい毒っ気の強い陰鬱コメディなのだ。
視聴するには?
残念ながらこの作品は現在配信は行われていない...
しかしDVD・BDは好評発売中!!
是非チェックしていほしい!
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