今年4月22日にリリースされた12thアルバム『Sweep It Into Space』を紹介!
過去に何度か紹介しているアメリカのインディーロックの大御所Dinosaur Jr.の新作『Sweep It Into Space』がようやくリリースされた!
スタジオアルバムとしては前回の『Give a Glimpse of What Yer Not 』(2016年リリース)から実に5年ぶりの作品となっている。
本当に楽しみにしていた・・・!
本当はコロナがなかったらもっと早くに聴けたのに・・・
はじめにアルバム各曲の印象を簡単に伝えます。
太字・・・佳曲
赤字・・・好み
赤太字・・・名曲
黄色マーカー・・・個人的ベストトラックです。
- I Ain’t
- I Met the Stones
- To Be Waiting
- I Ran Away
- Garden
- Hide Another Round
- And Me
- I Expect it Always
- Take it Back
- N Say
- Walking To You
- You Wonder
それでは一曲ずつ紹介していきます!
全曲解説
1.『I Ain’t』
本作のトップバッター!!
従来のDinosaur Jr.のような爆発的轟音ではない。
哀愁が入り混じった轟音ギターという雰囲気が感じられた。
近いものあげるなら小学校の終業のチャイム。
僕はまるで小学生が放課後を待ち望むように、Dinosaur Jr.の新作を待ち望んでいた。
待ちに待った一曲目を聞いたとき、感動とは裏腹に本当は考えたくもないことが曲の音色によって想起された。
「今後Dinosaur Jr.はあと何作くらい新作アルバムを出すのだろう?、年齢とか製作速度を考えればもしかしたら今作が最後かもしれない...」
って。
本心ではいつまでも新曲を出し続けてほしい!
でもこの世には永遠なんてものはない...
いきなり悲しい感想で申し訳ない。
次の曲へ行きます。
2.『I Met the Stones』
ミドルテンポで低音の強いファズギターによるバッキングギターから始まる。
このようなヘヴィーなギターを強調させるように力強いドラミングが呼応する。
タイトルのStonesというのはDinosaur Jr.のギターボーカル”J・マスキス”が敬愛する「Rolling Stones」のことだろう。
リズムギターが心なしかタイトなイメージがあるのも「Rolling Stones」に寄せた結果なのか?
また本アルバムのなかでも1,2位を争うくらいのクールなギターソロが味わえる!
3.『To Be Waiting』
少しスローなテンポで間を意識したような曲。
アルバムの中の曲に比べて、歌メロの比重が多い。
とはいっても当然ギターソロが入る!
前曲の『I Met the Stones』はヘヴィーさが強調されていたが、この曲はゆったりとさわやかなイメージが強い。
ギターの音色も曲調に合わせて”さわやかな歪み”となっている。
4.『I Ran Away』
この曲は先行でYouTubeにて発表された曲で、爽やかさとドライブ感のバランスが素晴らしい曲。
初めて聞くにはおすすめの曲!!
彼らの名曲「The Wagon」のようなイメージに近いが、『I Ran Away』の方がさわやか!
それはおそらく12弦アコースティックギターの音色がしっかりと曲の土台を支えているからだと思う。
PVもサイケデリックでおしゃれなのでぜひ見てほしい!
5.『Garden』
本作の轟音バラードナンバー。
この曲の作曲・歌はベースボーカルの”ルー・バーロウ”が担当している!
スローテンポで”J・マスキス”とはまた違う味を持つ”ルー・バーロウ”の歌声を味わえる。
コーラス(サビ)のところでは”J・マスキス”の轟音ギターの背景で、より”ルー・バーロウ”の歌声が映える。
またギターソロではかなりLo-Fiに寄ったファズギターの音色が力強さと儚さを同時に表現しているようで趣深い。
プレスリリースではこの曲『Garden』は「おそらくバーロウの最高のダイナソー作品」とアナウンスされていたが、僕は全くその通りだと思う。
6.『Hide Another Round』
前の曲とは一風変わって、アップテンポで轟音の曲。
しかし歌メロはポップでさわやか!
シングルやPVが作られていないのが不思議なくらいノリのいい曲!
また本アルバムのなかでも1,2位を争うくらいの爆音かつ疾走感あふれるギターソロが味わえる!
7.『And Me』
前の曲『Hide Another Round』と同じくらいの疾走感を維持したギターロックソング。
だが『Hide Another Round』の爆音を少し抑え、その隙間にアコースティックギターが重ねられているイメージ!
ドライブ感に哀愁が付随したような曲!
疾走感・爽快感・哀愁・喧騒を一つの曲にまとめられるのが、僕が長年Dinosaur Jr.を聞き続ける理由だと思う。
8.『I Expect it Always』
この曲では轟音・アップテンポの要素が強くなっていき、ポップの要素が反比例して抑え目になっている。
またポップを抑え目にした反面、音色が少し悲しげなように聞こえた。
ギターソロの激しさだけ言えば本アルバムの中でも随一ではないだろうか。
この激しさは号泣・咆哮というイメージが感じられた。
9.『Take it Back』
Dinosaur Jr.のキャリア全体で見ても珍しく、イントロがLo-Fiポップ感あふれるメロントロンから始まる!
メロントロンのパートはミドルテンポだが、サビに入るとスローテンポでファンキーなリズムになり轟音ギターが合流!!
PVも気味の悪い生物のストップモーションアニメになっていて面白い!
Dinosaur Jr.は以前にも(20年前)「The Wagon」のPVでストップモーションアニメを使っていたが、「The Wagon」のストップモーションアニメは一貫した物語がなかった。
しかし『Take it Back』のPVはカラフルなモンスターの物語になっているため、比較的とっつきやすい内容になっている。
10.『N Say』
『Take it Back』から雰囲気が一変。
轟音ギターリフがイントロから炸裂!!
この轟音ギターリフが印象的だった。
他は残念ながら特記することはなし...申し訳ない。
アップテンポのまま突っ走るため、実際の曲の長さより短く感じてしまった。
11.『Walking To You』
アルバムの中で一番リズミカルな楽曲!
歪んだベースラインとパワフルでリズミカルなドラムのグルーブ感が良かった!
この安定したグルーブ感を下敷きに轟音のギターが後半になるにつれて荒ぶっていく過程が癖になる。
また曲後半になると歪み切ったシンセサイザー?のようなものが聞こえるが正体は不明・・・
12.『You Wonder』
アルバムのラストを飾るのはDinosaur Jr.流のカントリーソング?!
作曲・歌はベースボーカルの”ルー・バーロウ”が担当している!
アコースティックギターとディストーションギターの伴奏とファズギターによるメロディによるギターアンサンブルがアンサンブルが特徴的。
曲全体の雰囲気は60年代のフォークやカントリーを想起させる。
ニール・ヤングの曲が一番近いかな?
ファズギターが曲をかき回すが如く暴れるが、フォークやカントリーの曲調を絶対崩さないのはある意味感動を覚えた。
ミドルテンポでしっとりして聞ける。
アルバムのラストにふさわしい曲だった。
アルバム全体の感想
気になったのは曲のコンパクト化であった。
Dinosaur Jr.はハードコアパンクバンドであるのにも関わらず長い尺でギターソロをすることで有名なバンドであり、曲の長さが5分を超えることが珍しくないバンドである。
長い曲だと8分を超えることもある。
しかし本作では曲の長さが5分を超えるものが一曲もない!
一番長い曲で4分41秒!
ほとんどの曲が3~4分台になっている。
しかし持ち味のギターソロを辞めたのかというとそうではない。
曲の中でのギターソロの比重は変わらず、本当に曲そのものを短くコンパクトにした!
そのためこのアルバム『Sweep It Into Space』は今までにDinosaur Jr.を来たことがないリスナーにとって聞きやすくなった。
古参のファンはこの傾向に対してどう思うかはわからないが、Dinosaur Jr.の魅力を損なわずに多くの方に知ってほしいと願う僕にとっては望んでいた変化であった。
あと一つアコースティック要素の比重が多くなったこと。
ただアコースティックの曲が多くなったのではない。
今までのDinosaur Jr.特有轟音ギターとアコースティックギターの兼ね合いがうまく機能していた。
音楽性を変えたりや新しい要素を入れる場合は、自ずと自分たちの持ち味が損なわれるもの。
しかしDinosaur Jr.は自分たちの個性を軸にどのような要素がうまく絡ませることが出来るかを検証し続けたのだろう。
そのため本作では自分たちの持ち味・個性を損なわず、新しい音楽性を表現できた。
次のアルバムはいつになるのだろうか...?
いやそれよりも来日ツアーが楽しみ!!
またほかのDinosaur Jr.のアルバムの紹介をしているので是非見てください!!
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