ホラー漫画界で最も影響力がある鬼才”伊藤潤二”先生の凄さがわかる短編を10つ紹介!!
このブログではホラー映画をよく紹介していたが、ホラー映画くらいホラー漫画が好きなので今回は自分が大好きなホラー漫画家”伊藤潤二”先生のおすすめホラー短編作品を紹介!
伊藤潤二は1986年に処女作であり代表作の『富江』を発表以降、日本のホラー漫画界で活躍し続けるレジェンド的ホラー漫画家!!
”伊藤潤二”先生の描く斬新な設定と恐ろしい画力で世界中の人を恐怖の渦に巻き込んでいく!
彼の作品は日本のみならず、アジア・アメリカ・ヨーロッパなどで高く評価されており、アメリカで最も権威のある漫画賞”アイズナー賞”で最優秀コミカライズ作品賞・最優秀アジア作品・最優秀ライター/アーティストの3部門を受賞したことがある。
まさしく世界的なホラーの第一人者である。
そんな”伊藤潤二”先生の凄さがわかるおすすめの短編をランキング形式で紹介!!
第10~7位
第10位『道のない街』
あらすじ
女子校生の彩子は最近夢の中でクラスメイトの岸本君に会うようになった。
別に彩子は岸本君のこと意識したことがなかったのに、夢でよく見るうちに意識し始めるようになる。
このことを彩子は友達に相談すると友達は「岸本君は”アリストテレス”をしているかも?」という。
”アリストテレス”とは一種の催眠方法で、寝ている相手の耳元で起こさない程度の声で話しかけ続けると、寝ている相手の夢の中に出られるようになるというもの。
彩子はその晩の夢の中で再び岸本君に会い、「もしかして岸本君、”アリストテレス”をした?」と聞くと岸本君は頷き、「彩子さんが好きだけど告白する勇気がなくてこんなことをした」と白状した。
彩子は怒りながらも「本当に好きならこんなことせず明日直接会って話して」と諭すと、岸本君は「必ずやる」と約束して、彩子に指輪を渡した。
しかし突然2人の前に切り裂きジャックと名乗る男が現れて、ナイフで岸本君を惨殺する!
夢から覚めた彩子だが、手元になぜか夢の中でもらった指輪があり、その日岸本君は路上で惨殺された状態で見つかった。
そしてこの日以降彩子の家族がおかしくなる...
なんと両親と弟2人が彩子の部屋の壁や天井に穴をあけて執拗に覗き込むようになったのだ。
この状況に耐えられなくなった彩子は家出をして玉枝叔母さんの家に向かうのだが、玉枝叔母さんの住む街がなんだかおかしくなっていた。
各々の住宅の入り口が板でトンネルのように繋がっており、玉枝叔母さんの家に行くには見知らぬ人の家に入らないと行けない状況になっていた。つまり『道のない街』がなくなっていた。
歪な世界で彩子はどのような結末を迎えるのか...
見どころ
幽霊や怪物が出てくるわけではないホラー。
つまり人の常識が変わってしまった不条理ホラーの世界。
この『道のない街』ではプライバシーという概念の喪失がテーマになっている。
道という公共のスペースがなくなったことで、人々は住宅を道として使わざるをえない状況となった。
プライバシーがなくなったことで狂っていく住人たちの恐怖を描いている...
個人的に薄気味悪かったのは、彩子の家族が彩子を覗き始めるときに彩子は壁から出てきた兄の指をへし折ったり、父の目をドライバーで刺したりするのだが、兄も父も一切怒らないシーン。
第9位『うめく排水管』
あらすじ
美人姉妹の令奈(姉)・真理(妹)がおり、令奈は滑井という男にしつこく付きまとわれていた。
滑井は不潔で臭く汚らしいため令奈は忌み嫌ってるのだが、ある日滑井は令奈に「付き合ってくれ」と告白するだけにとどまらず、令奈の髪にまで触ってきた。
令奈は激怒して「二度と待ち伏せしないでちょうだい!」と言って走って家に帰る。
家に着いた令奈は妹の真理に滑井のことを話すと、真理は「一度、滑井を家に連れてきてお母さんに会わせたら」と、次の日勝手に滑井を連れてくるが……。
見どころ
伊藤潤二先生の描く恐怖の種類で”不潔”というのがある。
ホラーと”不潔”というのは関連深いもので醜悪なものを人は本能的に恐れる。
ただ伊藤潤二先生の描く”不潔”は現実世界であり得るラインをリアルに描くため、この作品の滑井の汚さは凄まじく、紙面が湿っているよう錯覚してしまう。
ラストシーンの衝撃は伊藤潤二先生の作品の中でもトップレベルもの!!
第8位『ファッションモデル』
あらすじ
その日大学生の岩崎はなんとなく嫌な予感がしていた。
岩崎は適当な喫茶店に入って、店にあった雑誌を開くとあまりにも不気味なファッションモデル”淵”を目にしてしまう。
岩崎はその不気味なファッションモデル”淵”の顔が忘れられず、毎晩うなされるほどであった。
そんなファッションモデルの恐怖から解消されつつあった頃に、岩崎の所属する映画サークルは作品のヒロインを公募で選ぼうとしていた。
応募があったのはたった2名で、一人は美人な女の子、そしてもう一人はファッションモデル”淵”であった...
見どころ
伊藤潤二先生は強烈なホラーキャラクターを生み出した。
その名もファッションモデルの”淵”!
背は2メートルほど高く、歯がサメくらいの多さと鋭利さをもっており、そのビジュアルの強烈さは読者のみならず漫画界にも影響を与えた。
なぜなら漫画『HUNTER×HUNTER』(ハンター×ハンター)にてヒソカというキャラが森の中で殺人衝動を抑えられず人を襲うシーンがあるのだが、そのヒソカの顔がまんま”淵”であった。
そして実際小さい文字で「フチか」と書かれていた。
一度見ると夢にできそうなビジュアルの”淵”を申し訳ないが是非見てほしい!!
第7位『なめくじ少女』
あらすじ
おしゃべりで有名だった友人・夕子が最近急に無口になった。
喋るのがおっくうになった様子で、たまに喋っても舌足らずな感じで呂律がうまくまわっていなかった。
そんな夕子の症状が日を追うごとに悪化していき、ついに学校に来なくなってしまう。
主人公の利恵は心配になって夕子の家まで行ったが、夕子の部屋に入ろうとすると夕子は何かに怯えた様子で「ひとりにして」と言って利恵を追い返してしまう。
夕子が怯えていたこととは・・・
見どころ
あらすじの続き...もうタイトルで察した人が多いと思うが、夕子の舌がナメクジになっていた。
伊藤潤二先生の描く得意な”不潔”描写に加えて、人体が意に反して変貌していく恐怖を描く。
その舌を自ら切り裂いても、またナメクジが出てくるという...
また2006年4月上旬にホラー漫画雑誌『月刊ホラーM』に掲載された「第19回ホラーM新人まんが大賞期待賞受賞作」がこの『なめくじ少女』に酷似しているため、受賞が取り消されたという事件もあった。
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