ホラー映画界の新星、アリ・アスター監督による新世代ホラー
『ヘレディタリー/継承』は2018年にアメリカで製作されたホラー映画。
本作はサンダンス映画祭で上映された後絶賛され、「直近50年のホラー映画の中の最高傑作」・「21世紀最高のホラー映画」と評されたホラー映画。
「エクソシスト」や「悪魔のいけにえ」、「リング」、「サスペリア」などのホラーの猛者を抑えて一位?
上記の評価が正しいかどうか語るのはナンセンスだから語るつもりはない。
だが当時この映画を鑑賞後に「新しいホラー映画が出来た」と強く感じた。
一体どう新しいのか?
ざっくり言えば今までに見たことがない「絶望」を描いていた。
またこの映画は信じられない量の伏線が張り巡らされている映画なので、詳しくは語ることが出来ない。
そこら辺を注意してこの映画の魅力を紹介したいと思います!
あらすじ
舞台はアメリカの田舎町。
ミニチュア模型アーティストのアニー・グラハムと精神科医の夫スティーブ、高校生の息子ピーター、娘のチャーリーの4人で一軒家に住んでいた。
アニーは長年疎遠であった母エレンの死をきっかけにグループ・カウンセリングに参加するようになる。
アニーはカウンセリングの席で身内に起こった悲劇を淡々と話す。
アニーの母が解離性同一性障害を発症していたこと。
父が精神分裂病で餓死したこと。
兄が極度な被害妄想が原因で自殺したこと。
そしてアニー自身も夢遊病に悩まされていることを語る。
彼女は先天性遺伝による精神疾患がいずれは息子ピーター、娘のチャーリー達にも発現することを心配していた。
そんな心配の矢先。
アニーたち家族に想像を超えた悲劇が待っていた。
本当の絶望って何?
ホラー映画の永遠のテーマ。
絶望をどう描くか?
ほとんどのホラー映画での絶望の表現とは誰がどう見ても救われる道が残されていない状況を提示し、主人公たちが試行錯誤して助かる道を探すのが基本である。
大抵この場合は映画の序盤で観客にこれら絶望がわかりやすく伝えられている。
しかし『ヘレディタリー/継承』はこれらとは一線を画す。
この映画における絶望とは「助かる手段がいくつも持っているように思えるが、最期まで救われることのない状況であることに気づけない」ことである。
これは作中でスラっと言及される。
『ヘレディタリー/継承』では最初は何ともない状況から物語が始まる。
その後と主人公家族たちの不注意や精神的弱さから状況が悪化の一途をたどっているように見える。
観客からすると「可哀そうだけど・・・あそこで注意していればこんなことにはならなかったよね?」という感想が生まれる。
しかしこの映画の細部に注目すると、そんな考えは完全な間違いであったと気づく。
もっと言えば主人公たちが最初から救いようのない絶望の淵に立たされていたことに気づくだろう。
今ブログを読んでいるあなたに尋ねます。
もし自分が既に最悪な運命を辿ることが決まっているのに、そんなこともつゆ知らず幸せになろうとしていたとしたらゾッとしませんか?
このような恐怖を『ヘレディタリー/継承』で味わうことが出来ます。
今までにない演技・演出!!
怖い目にあったり悲劇に遭遇した時にいちいち悲鳴を上げる演技・演出をしていたらうんざりしませんか?
ホラー映画にありがちだから逆にもう気にしない人もいるでしょう。
でも『ヘレディタリー/継承』は違う!
悲劇・恐怖に遭遇した登場人物たちを沈黙させる。
もちろんただ黙らせているわけでない。
受け入れられない現実に対して平常心を保とうとするが、涙が止まらなかったり手汗が凄く出たりなど細かい描写で心情を表現する。
他にも一味違う演出がある。
「怖い体験をした登場人物が体験していない他の登場人物に超常的な恐怖体験を説明する」シーンというのはホラー映画にありがちだ。
大抵泣きじゃくって話したりして、大体は感情のゴリ押しで説明しようとするが相手にされないというパターンが多い。
でもここも『ヘレディタリー/継承』は違う!
まずは落ち着いて超常的な恐怖体験を説明しようとする。
そこで相手の信じていない表情を察知した途端、まくしたてるように早口で説明するようになる。
すると相手に信じてほしいあまり、段々落ち着きがなくなって会話が支離滅裂になっていく。
このような描写がかなりリアルに表現されている!
他にももっと面白い演出・演技があるがネタバレになるのでここらへんでストップ!
また今後一度視聴した人向けに『ヘレディタリー/継承』の感想を投稿しようと思います。
視聴するには?
現在Netflix、dTV、U-NEXT、Amazon Primeで視聴可能!
人気作のため配信終了予定は今のところなし。
気になった方はぜひ見てください!
また2回見てください!!
2回目を見ていると1回目では気づかなかった、または気づくはずがなかった伏線やシーン、カメラワークに気づくので1回目に見るより楽しめるかも?
またDVD・BDも好評販売中!
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