沈美的な歌唱とギターサウンドで奏でられたセクシャルな世界観
REMINDER: Those coming to either of the two in-store shows on Thursday (Kingston), you MUST bring valid, original photo ID to Pryzm otherwise you will not be allowed entry.
— Suede HQ (@suedeHQ) September 17, 2018
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概要
ブリットポップの知名度ツートップがOasisとBlurだと勝手に思っている。
ただレディオヘッドをブリットポップ界隈に無理矢理入れるとなると話は変わってくるが。
しかしブリットポップの創世期に1番はじめに人気が出たバンドは間違いなくSuede!
80年代後期からブリットポップが出てくるまでのイギリスの音楽シーンはマッドチェスターやアシッドハウス、シューゲイザーなどさまざまな新しい音楽が生まれていため退屈することはなかった。
しかし無理矢理文句を言うなら、それは全部インディーシーンだけで起こっていた話。
別にメインストリームに媚びてでもメジャーになって欲しいとは思わない。
でもかつてのThe Smithsのようにあるインディーバンドが独自の音楽でメジャーのチャートで1位を取る姿を見たかった人が多かったはず。
そんな細やかな望みを叶えたバンドがSuedeだった。
略歴
結成からNTR・・・そして覚醒(1989年~1991年)
Finland! Suede are happy to reveal that they will be performing at @Qstock in Oulu this July!
— Suede HQ (@suedeHQ) March 11, 2020
See you there!
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1989年、ロンドン大学ユニバーシティカレッジに在学していたブレット・アンダーソン(ボーカル・ギター)を中心にSuedeを結成。
他のメンバーはブレットの同級生であり当時の恋人ジャスティン・フリッシュマン(ギタリスト、後のElasticaのボーカル)、とブレットの幼馴染のマット・オスマン(ベース)
当時ドラマーがいないためドラムマシンを使用していた。
リードギタリストのがいないためブレットがイギリスの有名な音楽雑誌NMEにギタリスト募集の広告を掲載した。
募集条件は「若いギタリストで The Smiths, Commotions, David Bowie, Pet Shop Boys.が好きな人、能力以外も重視します。」
募集の結果、バーナード・バトラー(リードギタリスト)の加入。
1990年にドラマーを募集し、ジャスティン・ウェルチ(後のElasticaのドラマー)やマイク・ジョイス(元The Smithsのドラマー)が加入したこともあったが、正規メンバーにはならなかった。
そして遂にサイモン・ギルバート(ドラマー)正規メンバーとして加入。
1991年ブレットとジャスティンが別れるが、ジャスティンはバンドには留まっていた。
しかしジャスティンはBlurのデーモン・アルバーン(ボーカル)と付き合っていた!
今はやりのNTRでもあった。
ある日バンドの練習に遅れてきたジャスティンは「Blurのビデオを撮っていたから遅れた」と言い訳し、ブレットが大ショックを受ける。
ブレットはジャスティンをクビにする。
しかしこれはバンドを良い方向へと導く結果となった。
ブレットはバーナードと仲良くなり、曲作りが捗るようになったという。
超新星(1992年~1993年)
1992年に無名のインディーレーベルの「ヌード・レコーズ」と契約する。
同年シングル「The Drowners」でデビューを飾り、UKチャートで49位とまずまず、しかし各メディアが大絶賛。
イギリスのメロディー・メーカーは彼らを「イギリス最高のニューバンド」と賞賛した。
さらに勢いは増し、2ndシングルに「Metal Mickey」をリリース、UKチャートで17位を記録!
同シングルはUSモダンロックチャートで7位を記録。
イギリスのインディーロックバンドがアメリカのチャートでトップ10入りする事態は非常に稀な出来事であった。
翌年1993年にシングル「Animal Nitrale」をリリースしUKチャートで7位を記録!
バンド初のUKチャートトップ10入りを達成。
また満を持して1stアルバム『Suede』をリリース。
Suede’s debut album was released 27 years ago today on Nude Records. Recorded at Master Rock Studios and produced by the extremely long suffering Ed Buller.
— Suede HQ (@suedeHQ) March 29, 2020
Who’s going to join us in listening to it today? pic.twitter.com/oK3h7JXXeE
アルバムジャケットは男性同士がキスしている写真のアップというかなり卑猥で挑戦的なものであったが、UKアルバムチャート初登場1位を記録。
またこのアルバムは当時の最速売り上げ記録を更新した。(しかし1994年にOasisに破られることとなった。)
当時アメリカのグランジムーブメントの渦中にあるのにも関わらず、Suedeが記録的大ヒットを飛ばしたためイギリス国民を国内のバンドに注目させるきっかけを作ることになった。
これを「ブリットポップムーブメントの始まり」と捉える人もいる。
バーナードの脱退(1994年~1995年)
1994年にシングル『Stay Together』をリリース。超スローテンポで8分越えの曲であったがUKチャートで3位を記録した。
バンドは順調のように見えるが、メンバー間に徐々に亀裂が生じていた。
既にバンドは大成功を収めており、ブレットはロックスターとしての立ち位置を意識するようになり、彼のセクシャリティであるバイセクシャルを公言するようになる。
バーナードはこのような音楽面以外で目立とうとする姿勢に嫌気がさしていった。
またイギリスの音楽シーンはOasisやBlurの台頭によりブリットポップ全盛を迎えようとしていたが、ブレットは2ndアルバムの方向性をブリットポップとは別の方向性を模索した。
2ndアルバムのレコーディングでバーナードはプロデューサーと対立しさらにバンドの雰囲気は険悪になる。
そしてバーナードはついに脱退を表明する。
2ndアルバムは完成途中であったため、残された3人で完成させたのが2ndアルバム『Dog Man Star』。
アルバムはかなり内向的で実験的なアルバムであったにも関わらず、UKチャートで3位を記録。
批評家たちからも高い評価を受けたが、商業的には望んでいたものよりもよくないものであり、他のライバルバンドであるOasisやBlurとは完全に差が開いてしまったことは明らかであった。
バンドはリードギタリストとして新たに弱冠17歳のリチャード・オークスを加入させる。
再生!~そして迷走・・・(1996年~1999年)
1996年、ドラマーのサイモンの従兄弟であるニール・コドリングがキーボーディストとして加入。バンドは5人体制となる。
同年の10月に3rdアルバム『Coming Up』をリリース。
見事全英チャート1位に返り咲く!
それだけでなくシングルカットされた『Trash』は3位、『Beautiful One』は8位、『Saturday Night』は6位、『Lazy』は8位、『Filmstar』は8位と同アルバムのシングル5つがトップ10入りを果たす。
また1997年にバンドのシングルB面集『Sci-Fi Lullabies』をリリースし、全英チャート8位を記録する。
しかしこの時期はもうブリットポップブームは終わりに近づいており、バンドは新たな方向性に進まざるを得ない状況となっていた。
1999年、4thアルバム『Head Music』をリリース。
このアルバムはダンスミュージックにヒューチャーされているアルバムで、キーボードサウンドが全面に押し出されている。
全英チャートは1位を記録したが、従来のSuedeファンの求めていた音楽性から大分離れてしまったことから評価は賛否両論であった。
またブレットが以前から抱えていたドラッグ問題がさらに悪化していた。
バンドは窮地に立たされる。
商業的失敗と解散(2000年~2003年)
2000年に次のアルバム制作が始まるが、2001年にはキーボードのニールが慢性疲労症候群という難病によりバンドを脱退することが発表された。
新たにキーボードを加えてアルバム制作を再び始めるが、制作は難航する。
結果レコード会社の出費がかさんだことが一因で、長年在籍していた「ヌード・レコーズ」が倒産してしまう。
バンドは新たにメジャーレーベルの「ソニー」と契約。
新天地にて2002年に5thアルバム「New Morning」をリリース。
アコースティックな音楽性がテーマのこのアルバムは全英チャート24位と商業的失敗に終わる。
勢いを失ったバンドは2003年ベストアルバム『シングルズ』をリリースし、同年の末に解散した。
再結成(2010年~)
2010年1月15日、Suedeは再結成することを公式発表した。
再結成の舞台はロンドンのロバートロイヤルホールにて、2010年3月24日の「2010ティーンエイジキャンサートラストショー」の一部で演奏することとなった。
この再結成ライブはブレットにとってキャリア20年の中で最高のライブであったと語っている。
その後同年の秋にベストアルバム『The Best of Suede』をリリースし、その後ヨーロッパツアーを敢行!
スペイン、フランス、ベルギー、スウェーデン、オランダ、ドイツでライブを行い、最終日はイギリスのO2アリーナでフィナーレを飾る。
その後も精力的に活動を続ける。
翌年2011年はコーチェラフェスに出演し、バンドとして初めてアメリカでライブを行う。
またサマーソニック2011に出演し、来日する。
また翌年からは新作アルバムのレコーディングを発表。
2013年に6thアルバム『Blood Sports』をワーナーミュージックからリリース。
2ndアルバム『Dog Man Star』と3rdアルバム『Coming Up』の良さが混じったような良作であり、UKチャートで10位を記録し、批評家たちからも高い評価を受ける。
2016年に7thアルバム『Night Thoughts』をワーナーミュージックからリリース。
2ndアルバム『Dog Man Star』の方向性をそのままにしてさらに進化させたアルバムでUKチャートで6位を記録!
シングルカットされた「Outsiders」は過去の名作と遜色がないほどの名曲!
さらに2018年に『The Blue Hour』をリリース。
オーケストラを導入するなど荘厳な楽曲が増えたアルバムで、UKチャートで5位を記録!
Suedeは今後も進化し活動を続けていく。
メンバー
ブレット・アンダーソン(ボーカル)
Happy birthday to the man they call, Brett Anderson. pic.twitter.com/tyFkgoLBXS
— Suede HQ (@suedeHQ) September 29, 2018
端麗な容姿とスタイルでどこかナルシストっぽい見た目。
妖艶でネッとりしたした歌唱法とセクシャルな歌詞が特徴的。
労働者階級ではあったが学習意欲が高く、ロンドン大学ユニバーシティカレッジに在学し、ヨーロッパでも有数のバートレット(建築学部)で学んでいた。
初期のSuedeはロキシーミュージックや、デヴィッド・ボウイ、The Cureなどのコピーをしていた。
バーナード・バトラー(ギター)
サウンドメイクからフレーズづくりまでかなり独創的なギタリスト。
ギタープレイは The Smithsのジョニー・マーからの影響を受けており、彼は The Smithsの曲を全て耳コピしたと発言している。
Suede脱退後はレコードプロデューサーとしても活躍。
ブレットと1994年に喧嘩別れしたが、10年後の2004年に和解。
2004年に2人でThe Tearsというユニットを結成している。
マット・オスマン(ベース)
ブレットの幼馴染であり、Suedeを結成する前までにもブレットと一緒にいくつかのバンドを組んでいた。
ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(ロンドン大学の経済学部のようなもの)に在学しており、1989年に経済学の学士号を取得している。
サイモン・ギルバート(ドラム)
Suedeに加入する前はパンクバンドのドラマーであり、ブレットやマットの通う大学の職員でもあった。
後に彼がドラマー不在のSuedeに声を掛けて、正式なドラマーとなっている。
ニール・コドリング(キーボード)
Happy birthday to the wonder that is… Neil Codling.
— Suede HQ (@suedeHQ) December 5, 2018
Photo Credit: Adrian Green Photography pic.twitter.com/MQaX9LKzfY
サイモンの従兄弟であり、1995年にSuedeに加入。
2001年に慢性疲労症候群という難病にかかり、バンドを脱退することが発表された。
だが2010年のSuede再結成のときに復帰している。
リチャード・オークス(ギター)
バーナード・バトラーの後釜として1994年に加入。
500人の候補者の中から選ばれたギタリストであり、当時弱冠17歳であった。
加入した後は積極的に作曲に加入し、ヒットシングル「New Generation」はブレットととの共作である。
おすすめの曲
The Drowners
1stアルバム『Suede』に収録された曲。シングル。
彼らのデビューシングルで当時のイギリスの音楽シーンに衝撃を与えた作品でもある。
沈美的でねっとりとした歌唱方法のブレット、そのブレットの魅力を最大限に際立たせるようなギターリフと伴奏を奏でるバーナード。
この二人の登場はかつてのThe Smithsのモリッシーとジョニー・マーの二人を想起させた。
またこの曲は2014年発表のNMEによる「史上最高の500曲のリスト」で104位にランクイン。
Metal Mickey
1stアルバム『Suede』に収録された曲。シングル。
ギターサウンドがかなりディストーション系に偏っており、グランジ感があるがフレーズはキンクスのようなブリティッシュロック風のフレーズであり、曲自体はイギリスのロックそのもの。
この曲はイギリスだけでなく、アメリカでもヒットしたバンドを代表する1曲である。
Animal Nitrale
1stアルバム『Suede』に収録された曲。シングル。
個人的にバンドの中で1,2位を争うくらいギターフレーズが好きな曲。
ギター一つで凄く艶美な雰囲気を表現していることに驚愕した。
この曲は2014年発表のNMEによる「史上最高の500曲のリスト」で33位にランクイン。
PVがかなり変態的だ。
Stay Together
2ndアルバム『Dog Man Star』に収録された曲でシングルカットもされている。
バージョンが複数存在する曲で、最長のものだと8分を超える大作シングルである。
専門家からの評価が特に高い曲で、2012年発表のNMEの「90年代のベストトラック100曲」で3位にランクイン!
Beautiful Ones
3rdアルバム『Coming Up』に収録された曲でシングルカットもされている。
僕が初めてSuedeにハマるきっかけになった曲。
イントロのローファイ風だが美しく思えるギターフレーズを聞いて、いきなり心を奪われた。
このギターの音を再現しようとアンプのツマミをいじったり、エフェクターを研究したりと熱中したのを昨日のことのように思い出す。
Trash
3rdアルバム『Coming Up』に収録された曲でシングルカットもされている。
バンドの中でも非常にポップで明るい曲。
明るい曲ではあるがサビで「俺たちはゴミ、君も僕も、風で飛ばされる塵、ありふれた恋人同士、俺たちはゴミ、やることなすこと全部が」とかなりネガティブな内容となっている。
でも聞きやすい曲なのでおすすめ。
おすすめのアルバム
『Suede』(1stアルバム/1993年)
1993年に発表したデビューアルバム。
UKチャートで初登場1位を記録し、当時の最速売り上げ記録を更新した。
このアルバムの大ヒットにより、イギリス国民を国内のバンドに注目させるきっかけを作ることになった。
2013年発表のNMEによる『史上最高のアルバム500枚』で78位にランクイン。
『Coming Up』(3rdアルバム/1996年)
1996年に発表した3rdアルバム。
Suedeが5人の新体制になって初めて制作されたアルバムであり全英チャート1位を記録。
またこのアルバムから5曲がシングルカットされて、その5曲全てが全英チャートトップ10入りを果たす。
バンドの中でも非常にポップな仕上がりになっているので、初めてSuedeを聴く方にとっておすすめです。
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