過激な映像を追求しようとした主人公マックスに予想外の恐怖が襲う?!
芸術というのは何も目に優しく癒されるような美しさだけを求めるものではない。
目を覆いたくなるようなグロテスクなものや過激なものを描くのも芸術の一つだ。
そんな芸術を追い求める芸術家・映画監督の一人が今回紹介する映画『ヴィデオドローム』の監督”デヴィッド・クローネンバーグ”であろう。
同じく悪趣味な映像を作ってきた映画監督”ピーター・ジャクソン”を陽とするなら、”デヴィッド・クローネンバーグ”は陰の悪趣味であろう。
彼は無機質と生物の融合によるグロテスクな映像で何十年間も映画界でインパクトを与え続けている。
映画の話に戻る。
実はこの映画は1982年公開当時、商業的には大失敗を記録した。
なんと興行収入では製作費の半分ほどしか回収できなかった。
しかし批評家・専門家たちから絶賛されたため、後々ビデオでの売り上げは良好!
今でも80年代SFホラー映画の代表作としてもよく選ばれる作品となっている。
紹介しますがネタバレを少し含む内容です、ご注意ください!
あらすじ
主人公のマックス・レンはカナダのトロントにある小さなケーブルテレビ局『CIVIC-TV』の社長を務めていた。
テレビ局『CIVIC-TV』は過激でセンセーショナルな内容を放送していた。
社長マックスも日々過激な映像を求めて、エンジニアのハーランに無許可で放送している映像を探させていた。
しかしある日「ヴィデオドローム」というアンダーグラウンドの番組を知る。
「ヴィデオドローム」では拷問やレイプ・殺人の映像が流されていた。
マックスは「ヴィデオドローム」に興味が湧き調査を進めた結果、なんと「ヴィデオドローム」はアメリカのピッツバーグから映像が発信されていたことが判明!
しかし一緒に調査をしてくれていた老女”マーシャ”は「ヴィデオドロームのことは忘れろ、あれは政府がらみのものだ」とマックスに告げる。
しかし時はすでに遅し。
「ヴィデオドローム」を見てしまった者のみに訪れる恐怖がマックスを襲う。
映画の見どころ
当時は革新的だった「幻覚・洗脳の恐怖」を描いた映画
今でもSF映画好きの間では幻覚・洗脳系の映画の好き嫌いが激しいと思う。
なぜなら非常にストーリーが頭に入りずらいためだ。
現実の描写・幻覚の描写の差がわかりにくいため、観客は何を見ているのかわからなくなる。
現実か幻覚かを考察するのも楽しみの一つだが、複雑すぎると考察する気も失せてしまう。
あの評価が高いクリストファー・ノーラン監督の映画『インセプション』でもストーリーの難解さで賛否両論がなされる。
『インセプション』も夢と現実の狭間にいる人物たちを描いており、難解な内容になっている。
比較的新しい映画『インセプション』ですら内容が難しいと批判されるのなら、1982年に公開された本作『ヴィデオドローム』もっと批判されたのではないか?
幻覚のさらに先を行く要素
幻覚という要素だけでも難しいのに、この映画はさらに一歩進んでいる。
それは幻覚を見せることによる肉体の変貌!
「ヴィデオドローム」とはそもそもその映像を見たものに、映像プログラマーが望む幻覚を視聴者に見せられる装置であった。
だが効果は幻覚を見せるだけにとどまらない。
実験段階で「ヴィデオドローム」に視聴者が脳腫瘍を発症させる信号を送ったところ、視聴者は脳腫瘍は幻覚ではなく現実のものとして発症していたのだ。
つまり幻覚を見せるだけでなく、肉体の変貌・改造が可能であることが判明したのだ。
主人公マックスは徐々に肉体を変えられて腹部に女性器のような穴が開いたり、手と銃が細胞レベルで融合したりする。
「生物 X 無機物」のグロテスクな映像
”デヴィッド・クローネンバーグ”監督の最大の特徴!
それは無機質と生物の融合によるグロテスクな映像!!
本作にもそれは多数登場する。
主人公マックスは幻覚によりテレビがまるで生き物のように鼓動したり血管が浮き出てくる様を見る。
このシーンがかなりグロテスク!
それだけでなくマックスの手が銃と融合するシーンも見逃せない!
これはグロテスクかつスタイリッシュである!
是非見てほしい!
意外なキャストの登場!
この映画に登場する主人公マックスの恋人でありヒロインのニッキーを演じるのは、あのアメリカの大物ロックバンド”ブロンディ”のボーカル、デボラ・ハリーである!!
デボラ・ハリーをキャスティングしたのは”デヴィッド・クローネンバーグ”監督。
しかし彼女は女優の経験はなく、演技をしたのはこの映画が初であった!
この映画の出演を機にデボラ・ハリーの女優業が多くなり、『ヘアスプレー』・『ニューヨーク・ストーリー』など様々な映画に出演するようになった!
視聴するには?
現在U-Nextにて配信中!
DVD・BDも販売中!!
是非チェックしてください!
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