音楽ジャンルの人種の壁を超えた数少ないハードコアバンド!
「音楽に人種は関係ない!」
僕はそう信じているが、昔はそんな風にはいかなかった。
ジミ・ヘンドリックスは黒人で天才ギタリスト。
人種関係なく誰もが認めるロックスターだが、当時白人にも受け入れられていたため、黒人から「裏切者」と呼ばれることがあった。
他にも人種混合の伝説的ファンクバンドであるスライ&ザ・ファミリー・ストーンは人気絶頂時にブラックパンサー党から「白人のメンバーをバンドから追い出せ!」と圧力をかけられていた。
このように人気バンドが人種問題で悩まされることになれば、多くの人は揉めないように自分の人種に合った音楽やメンバーで一元化される。
しかし1970年代後半のワシントンD.C.のライブハウスにて、メンバー全員黒人のパンクバンドによる迫真のパフォーマンスでほとんど白人の観客たちが熱狂するという信じられない光景があった。
そのバンドの名前はBad Brains(バッド・ブレインズ)。
彼らは当初「マインド・パワー」という名のバンドでフュージョンやR&Bなどの音楽をしていたが、イギリスの音楽番組でセックス・ピストルズとザ・ダムドを見てパンクに目覚めた。
彼らはラモーンズの楽曲「Bad Brain」から引用し、バンド名をBad Brainsと改めてパンクを始めた。
彼らは単に黒人だけが集まったパンクバンドではない!
彼らの類まれなる演奏技術とハイテンポの楽曲の数々、暴動寸前になるほど観客たちを熱狂させるエネルギッシュなライブパフォーマンスで後のハードコアパンクバンドやその他ジャンルのバンドたちに多大な影響を与えた。
- Black Flag
- Fugazi
- Nirvana
- Red Hot Chili Peppers
- Beastie Boys
- Sublime
- Foo Fighters
など彼らからの影響を公言しているバンドが後を絶たない...
そんなハードコアパンクのレジェンドバンドを今回は紹介する。
メンバー
H.R.
ボーカル。
本名はポール・D・ハドソン。
野性的なシャウトからレゲエ的な歌い方を自由自在に操る卓越したボーカル技術を持っている。
運動神経抜群で元々高校生の頃は水泳と棒高跳びの選手として有名であったが、後にバンド活動に専念するようになった。
その持ち前の運動神経でステージ上でバク転をするパフォーマンスがある。
芸名のH.R.は元々”Hunting Rod(釣り竿)”からとっていたが、後に意味を”Human Right(人権)”に変えている。
というのもH.R.はBad Brains在籍時にレゲエやラスタファリ運動(1930年代にジャマイカの労働者階級と農民を中心にして発生した宗教的思想運動)に強い関心を示したためである。
彼はレゲエに出会ったことで、ハードコアパンクにPMA(Positive Mind Attitude)という概念を導入した。
当時世の中を否定的・悲観的に捉える歌詞が多かったパンク界隈にとってPMAはかなり斬新な概念であった。
Black Flagの元ボーカルであるヘンリー・ロリンズは「H.R.とイギー・ポップは俺が最も憧れたフロントマンだ。」と評した。(映画『バッド・ブレインズ/バンド・イン・D.C.』より)
Dr. Know
リードギタリスト。
本名はゲイリー・ミラー。
元々はベーシストであり、Bad Brains結成前はストレスというバンドでアースウィンド&ファイアーのコピーをしていた。
ドラマーのアール・ハドソンとは中学校時代の同級生。
Bad Brains結成前のH.R.に誘われた際に彼から「ギターは弾けるのか?」と聞かれてDr. Knowは「もちろん!」と答えてその場でジャズやR&Bのフレーズを弾いたという。
2015年彼は心臓発作による多機能不全により生死を彷徨う...
生存確率5%ともいわれていたが、3カ月間の治療とリハビリを経て復活した。
今でも音楽活動を続けている。
ダリル・ジェニファー
ベーシスト。
バンドの中で一番若い。
H.R.からベースを譲られたことでベーシストとなる。
当初はスタンリー・クラークやチック・コリアなどのフュージョン系の音楽をしていた。
そのため演奏技術は高い。
また楽曲制作の要はこのダリル・ジェニファーだという。
アール・ハドソン
ドラマー。
ボーカルのH.R.の実の弟。
基本的にドラムの演奏技術は高い、また特徴的なのはかなり激しいハイテンポの曲でも姿勢をまっすぐにして涼しい顔で叩き上げる!
このプレイスタイルはNirvanaやFoo Fightersで活躍しているデイヴ・グロールに影響を与えた。
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