My Bloody Valentine(マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン)入門編【おすすめ曲・アルバム】

UKオルタナティブ
画像出典:My Bloody Valentine HOME | Facebook
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シューゲイザーというジャンルを世に広めた開拓者

シューゲイザー...それは1980年代後半イギリス・アイルランドで産声をあげた新たなロックのジャンル。

フィードバック・ノイズモジュレーション系エフェクターなどを複雑に用いた深いディストーションをかけたギターサウンドを下敷きに、囁くような歌声でメロディを歌う音楽ジャンル。

このジャンルは現代でもインディー界隈で根強く人気のある音楽ジャンルである。

このジャンルにおいて一際輝いていたバンド。

それがMy Bloody Valentine(通称:マイブラ)

彼らは他のシューゲイザーバンドに比べて、サウンドの完成度が段違いであった。

特に彼らの代名詞とも呼べる名盤『Loveless』全音域を埋め尽くすような膨大なギターノイズサウンド浮遊感のある美しいメロディーは全世界に衝撃を与えた。

このアルバムを発表されて以来、他のシューゲイザーバンドが皆この『Loveless』 の方法論でアルバムを作り出そうとした。

まさにシューゲイザーというジャンルを代表するバンドであった。

そんなMy Bloody Valentineを紹介する。

メンバー

ケヴィン・シールズ

ギタリストでありボーカル、バンドのフロントマン

ケヴィン・シールズ鮮やかなサウンドエスケープをギターで表現することで有名。

多種多様なエフェクターを使用し、夢心地の良いノイズを奏でる。

しかしかなりの轟音のため130デシベル以上に達している言われており、ライブでは観客に耳栓が配布される。

(※120デシベル飛行機のエンジン音落雷の音レベルなので常軌を逸した爆音である。)

またそんな爆音でギターを弾いているためケヴィンは重度の耳鳴りに罹ったが、本人は「耳鳴りのおかげで、不要な音を自然とフィルタリングしてくれている」とポジティブすぎるコメントを残している。

そんな彼のギターサウンドメイクの革新性は後の世代に大きな影響を与えた。

音楽的影響としては、ビートルズラモーンズであった。

バンドを始めた頃はスージー&バンシーズJoy Divisionの影響を受けていた。

80年代なるとアメリカのUSハードコアパンクのバンドに影響を受けるようになり、Sonic YouthHusker DuDinosaur Jr.から影響を受けたことを公言している。

「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100人のギタリスト」2003年版において第95位に選ばれている。

またイギリスのギター雑誌Total Guitarが読者投票で選んだ「The best alternative and indie guitarists of all time」にて第14位にランクイン。

ベリンダ・ブッチャー

ギタリストでありボーカル

ベリンダの歌声は美しく官能的、轟音の中で彼女の歌声を聞くとなんだか女神が子守唄を歌ってくれているような感覚になる。

音楽的影響はバウハウスのようなゴシックロックや、バースデーパーティのようなポストパンクから受けている。

デビー・グッギ

女性ベーシスト

彼女はレズビアンである。

1995年にマイ・ブラッディ・ヴァレンタインを脱退した後、一時期タクシーの運転手になっていたが、元ステレオラブキャサリン・ギフォードと一緒にスノーポニーというバンドを結成した。

またPrimal ScreamSonic Youthサーストン・ムーアと共演したこともある。

その後2007年に彼女はマイ・ブラッディ・ヴァレンタインに再加入。

コルム・オキーソーグ

ドラマー。

1978年にコルムアイルランドダブリンで開かれた空手大会でケヴィン・シールズと知り合い意気投合。

スネアドラムを多用したエネルギッシュなドラムプレイが持ち味。

彼もまた元ステレオラブのサイモン・ジョンズと一緒にクリアスポットというバンドを一時期結成していた。

おすすめ曲

You Made Me Realise

バンドが3番目に発売したEP。

ドライブ感あふれるパンキッシュな楽曲。

この頃はまだUSインディーシーンの影響が色濃いものであるが、ギターサウンドにおいては後のシューゲイザー的方向性が決定された楽曲。

ケヴィン・シールズもギターサウンドにおいて、Sonic YouthDinosaur Jr.から影響を受けたことを公言している。

UKインディーチャート2位を獲得した。

Q誌が選ぶ「最高のギタートラック100」にて35位にランクイン。

2007年5月に発表されたNME「グレイテスト・インディー・アンセムズ・エヴァー50」50位に選ばれた。

2014年にNMEが選んだ「史上最高の500曲」第368位に選ばれた。

Feed Me with Your Kiss

1stアルバムIsn’t Anything収録曲であり、リードシングル。

疾走感のあるゴシックロック、またこのころはシューゲイザーまであと一歩って感じのもどかしさがある。

UKインディーチャート2位を獲得した。

Only Shallow

2ndアルバム『Loveless』収録曲であり、シングルカット曲。

アルバムのトップを飾る曲であり、多くの人々の度肝を抜いた名作。

想像を絶する轟音はもちろん、ケヴィン・シールズが編み出した新たなギター奏法「グライドギター」(ギターサウンドをビブラートさせるバーを持ちながら弦をかき鳴らす奏法)を聴くことが出来る。

この奏法により単なる轟音ではなくサイケデリックかつ不思議な浮遊感を持ったサウンドを実現した。

初心者におすすめの楽曲!

USビルボードオルタナティブエアプレイにおいて27位を記録!

To Here Knows When

2ndアルバム『Loveless』収録曲であり、シングルカット曲。

打ち込みドラムループを使用した穏やかな気分になるドリームポップソング。

でも実際ライブ聞いてみたらかなりの轟音なんだろうな...

UKシングルチャートにて28位にランクイン。

When You Sleep

2ndアルバム『Loveless』収録曲であり、シングルカット曲。

おそらくバンドの中で最もポップなシューゲイザーソング。

初心者におすすめ!

ケヴィンメリンダがデュエットしているように聞こえるが、実はケヴィンが一人で重ね録りして歌っている。

あの日本が誇るパンクバンド、少年ナイフがカバーしている。

Soon

2ndアルバム『Loveless』収録曲であり、シングルカット曲。

打ち込みドラムループを使用したマッドチェスター的なダンスロック要素がある楽曲。

ダンサブルなビートに浮遊感のあるノイズが乗っかっており、なんだか幻想的なクラブにいるようなイメージが想起させられる。

UKシングルチャートにて41位にランクイン。

2014年にNMEが選んだ「史上最高の500曲」第146位に選ばれた。

おすすめアルバム

『Isn’t Anything』(1stアルバム/1988年)

透明感あふれる甘くてノイジーなサウンドで空前のデビューを飾ったアルバム!

このアルバムはイギリスの名門インディレーベル「クリエーション・レコード」からリリースされた。

The Jesus and Mary ChainSonic Youthのようなギターノイズに乗せて囁くような甘い歌声が乗っているというスタイルにロック界で衝撃が走る。

当時はインディーアルバムチャートでは1位を獲得したものの、イギリスのメジャーのヒットチャートに乗ることはなかった...

しかし批評家たちからは絶賛された。

辛口評価で有名なピッチフォークがこのアルバムを10点満点中10点をつける!

同じくピッチフォークが2002年に選出した「1980年代のトップ100アルバム」では22位にランクイン!

さらにピッチフォークが2016年に選出した『史上最高のシューゲイザーアルバム50枚』にて第4位に輝く。

またNMEが発表した『史上最高のアルバム500枚』にて第187位にランクイン!!


また2012年にこのアルバムのリマスター版が出されて、このときにUKアルバムチャート61位を記録した。

『Loveless』(2ndアルバム/1991年)

シューゲイザーの金字塔!後の世代に多大な影響を与えた大名盤!!

世界にシューゲイザーというジャンルの名を轟かせるきっかけとなったアルバムであり、当時のシューゲイザーバンドたちはこのアルバムのサウンドを目指すようになった。

常識外れの轟音を何重にも録音し、まるでノイズで出来た分厚い壁を建てているかのよう・・・

またこのアルバムの製作自体も常識はずれなものであった!

このアルバムのレコーディングに2年半もの時間が費やされて、スタジオを19部屋、サウンドエンジニアを最終的に45人も雇うという大掛かりなプロジェクトであった。

しかしこのアルバムの制作費は25万ポンド(日本円で約6,000万円)にも上り、明らかにインディレーベルであるクリエーション・レコードの手におえる額ではなかった。

このアルバムが原因でクリエーション・レコード財政難に陥り、結果として1999年に倒産してしまう。

だがこの名盤は英米のあらゆる音楽批評メディアから絶賛の嵐を巻き起こす。

ローリングストーン誌が選ぶ「The 500 Greatest Albums of All Time」(2020年版)では73位にランクインしている。

またNMEが発表した『史上最高のアルバム500枚』にて第18位にランクイン!!

辛口評価で有名なピッチフォークがこのアルバムを10点満点中10点をつける!

同じくピッチフォークが2003年に選出した「1990年代のトップ100アルバム」では2位にランクイン!

(※ちなみにこのランキングの1位Radiohead『OK Computer』

さらにピッチフォークが2016年に選出した『史上最高のシューゲイザーアルバム50枚』にて第1位に輝く。

外部リンク

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