Built to Spill(ビルト・トゥ・スピル) 入門編【おすすめ曲・アルバム】

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画像出典:Official Facebook Page for Built to Spill
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USインディーの至宝!あらゆるインディーロックの良さを詰め合わせたような奇跡のような楽曲を世に放ち続ける孤高の存在!

ロックスターと呼ばれる人々は世間から注目されその期待にいつも応える最高のエンターテイナーを想像する。

だがインディーロックスターは?

主流から外れたところにいるスターはいつもひねくれて逆に人々の期待通りに動かない存在なのでは?

インディーロックスターがそのような定義ならば、Built to Spill(ビルト・トゥ・スピル) の中心人物ダグ・マーシュはまさしくインディーロックスターだと思う。


彼は1992年に結成されて、1997年にメジャーレビューしたものの、「偶然ヒット曲を作ってしまうと、自分たちの音楽が人々の顔に無理やり押しつけるような状況になる。」と危惧して敢えてアルバム全曲複雑で分かりにくいものにして作った。

他にも新作アルバムをリリースしたあとのライブでは通常のバンドだと新作アルバムの曲から中心に演奏するが、Built To Spill「何を演奏するか予想できるとつまらない」と思って新作アルバムにすら入っていない新曲とバンドとは関係ないソロで発表した曲、他のアーティストのカバー曲ばかりを演奏する。

こんな感じで大衆はおろか自分たちのファンに対しても決して期待に応えない。

後者の行動に関してはBuilt To Spillを尊敬しているベン・ギバードDeath Cab for Cutie(デス・キャブ・フォー・キューティ))ですら苦言を呈している。

そんなBuilt To Spillはもう30年以上アメリカのインディーギターロックの雄として活躍し続けている。

30年もひねくれものであり続けたが、反面素晴らしい曲ばかり発表し続けるBuilt To Spillを今回紹介!!

メンバー

Built To Spillダグ・マーシュの実質ソロプロジェクトであり、彼についてのみ言及!

ダグ・マーシュ

ボーカル/ギター。

Built To Spillの中心人物であり、ほとんどの作詞作曲を手掛ける。

1969年にアイダホ州で生まれ育ち、10代の頃にFarm Days(ファーム・デイズ)Treepeople(ツリー・ピープル)などバンドを組んで活動していた。

そして1992年にBuilt To Spillを結成し、成長が凄まじく1995年に当時アメリカで最大の規模のロックフェス「ロラパルーザ」に出演した。

彼は繊細な歌声と卓越したギタープレイが持ち味であり、クリーントーンでもディストーションサウンドでもそれぞれ味のあるギタープレイを使い分ける。

また影響を受けたアーティストは数多くおり、Dinosaur Jr.ニールヤングPavementジミ・ヘンドリクスから影響を受けている。

また彼は大の飛行機恐怖症であり、まだ一度も来日をしていない...生で見たいならアメリカへ行くしかないのだ。

彼を尊敬しているアーティストは多く、The Strokes、Modest Mouse、Death Cab for Cutie等も彼からの影響を公言している。

あと『スラムダンク』の作者である井上雄彦先生もおそらくBuilt To Spillのファンのようである。

『スラムダンク』の作中、山王戦の観客の中でBuilt To SpillのTシャツを着ているモブが出てくる。(あとSebadohのシャツを着たモブも、探してみよう!!)

おすすめ曲

Car

『There’s Nothing Wrong with Love 』(2ndアルバム/1994年)、収録曲。

USインディー界でトップクラスの名曲!

ダグ・マーシュの青臭いファズギターソロがたまらない!

Dinosaur Jr.からの影響は感じるものの、Built to Spillの方が歌メロに比重が置かれている。

歌詞の内容は自分と仲間たちに車があれば世界の広さを知れる希望を描いたもの。

アコースティックな雰囲気から始まって、最後にはストレングスも加わった壮大な締めくくりで幕を閉じる。

Twin Falls

『There’s Nothing Wrong with Love 』(2ndアルバム/1994年)、収録曲。

ダグ・マーシュの幼少期の思い出を曲にしたアコースティック・バラード。

たった2分足らずの曲だが、非常に印象に残る楽曲。

タイトルの『Twin Falls』とはアイダホ州の町の名前でダグが幼少期に慣れ親しんだ街でもある。

ダグは初恋の少女と7 up(トランプのゲーム)をしていた時に少女の親指に触れたことや、年月が過ぎてその少女は双子か3人の子持ちになっていたことを知るという歌詞の内容。

素敵な思い出が素敵なままで残したい小さな希望が何とも言えない感情の奥底をくすぐる。

Carry The Zero

『Keep It Like a Secret』(4thアルバム/1999年)、収録曲。

バンド中期の傑作、この曲をバンドの最高傑作に挙げる人が多い

メジャーデビュー後の楽曲で作曲センスそのままで音質も向上している。

出だしはコードをかき鳴らしているだけなのに、エモーショナルな疾走感が感じられ名曲の匂いがする。

この曲は今でもインディーミュージック・シーンに強い影響力を与えており、インディーポップ・ミュージシャンのFrances Quinlanは2020年のアルバム『Likewise』でこの曲をカバーした。

またJapanese Breakfastのギターボーカルのミシェル・ザウナーは始めてギターを手にしたときにこの曲を練習したそうだ。

Strange

『Ancient Melodies of the Future』(5thアルバム/2001年)、収録曲。

スローテンポで重たいけど夢見心地なファズギターサウンドが特徴の曲。

歌詞の内容はこの世のすべてが不可解なものであると困惑している様子を描いている、ダグ・マーシュの厭世観を感じる歌詞。

この時期のBuilt to Spillのギターの多重録音は凄まじく、インディーロックでありながら荘厳なサウンドを感じる。

Fly Around My Pretty Little Miss

『Ancient Melodies of the Future』(5thアルバム/2001年)、収録曲。

アコースティックギターのような軽さを感じるポップで軽快な名曲!

アコースティックな響きを感じるが、一つもアコースティックギターを使用していない!

短めのエコーやリバーブを効果的に使用することで、跳ねるようなギターサウンドを表現しており、素朴なサウンドが一切使われていない。

しかし曲調はアコースティックな雰囲気・・・

この曲こそ『Strange』(不可解)な感じである。

Conventional Wisdom

『You in Reverse』(6thアルバム/2006年)、収録曲。

爽やかかつ疾走感あふれるBuilt to Spillの新境地!!

この曲のMVは非常にユニークで、中性ヨーロッパが好きで当時の格好や生活を好きでやっているコミュニティをひたすら映すという内容。

しかしこの映像は歌の内容と非常にマッチしている。

この曲のタイトルを直訳すると「常識」。

でもMVでは常識とはかけ離れた趣味を持つ人たち。

この曲の歌詞は、そんな彼らを称えている。

They don’t know they’re wrong
彼らは自分たちが間違っていることを知らない

But you know that they never can see that
ご存じの通り彼らがそのことに気づくことは一切ない

That’s what makes them strong
しかしそれが彼らを強くする

That they know that we’ll never see
またそのことに彼らは気づいてもないが

常識はずれな人たちは自分でも気づかないうちに、その生き方が人生を豊かにすることがある。

そんなメッセージ性を感じられて非常に好きな楽曲。

おすすめアルバム

『There’s Nothing Wrong with Love 』(2ndアルバム/1994年)

USインディーロック史に残るポップで愛らしい名盤!

初心者におすすめ!

曲時間が短いかつポップで聴きやすいインディーロックの珠玉の名曲が盛りだくさん!!

このアルバムのテーマはダグ・マーシュ自身の成長!

彼が生まれ育ったアイダホ州での思い出を中心に歌われた曲が収録されている。

子供時代にありがちな夢見心地な感情、自身の脆弱性、果てが見えない世界像などを控えめで愛らしいファズギターで奏でる。

このアルバムではダグ・マーシュのソングライティング能力の高さをインディー界隈に轟かせ、後続のバンドであるモデストマウスDeath Cab for Cutie等に影響を与えたと言われている。

ピッチフォークが選ぶ『1990年代のベストアルバム100』にて第24位に選出された。

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『Keep It Like a Secret』(4thアルバム/1999年)

ポップさと少しの実験性が混じった聞きやすいアルバム!

このアルバムはメジャー移籍して以降、2作目に作られたアルバム。

前作のメジャーデビューアルバム『Perfect From Now On』は1曲1曲が長く、テーマも哲学性溢れるものだった超実験的アルバムであった!

そのためダグ・マーシュは創作の疲れが出てしまい、本作では原点回帰として短い曲時間であるポップな歌を作るようにしたという。

ただ実験的要素は無くなったわけでなく、本作収録の「You Were Right」という楽曲はローリングストーンズボブ・ディランドアーズボブ・マーリーなどのレジェンド歌手たちの楽曲の歌詞をコラージュして作られた楽曲もある。

曲調は先ほど紹介した『There’s Nothing Wrong with Love 』(2ndアルバム/1994年)に近いが、本作はメジャーレーベルで制作されている分サウンド面では豪華なつくりとなっている。

ピッチフォークが選ぶ『1990年代のベストアルバム100』にて第41位に選出された。

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『Ancient Melodies of the Future』(5thアルバム/2001年)

よりアコースティックなサウンドに傾倒したバンドの新境地!

タイトルを直訳すると「未来の古代風メロディ」

矛盾しているように思ったが、温故知新的な意味だと一度解釈した。

しかしアルバムを一通り聞いてみた後、このアルバムは温故知新というより「未来に残したい古き良きサウンド」というイメージが強かった。

アコースティックギターを中心として楽曲が多く、またそれらのアンサンブルが巧みに絡み合っているのもポイント!

アコースティックギター以外にもメロトロンといったアナログな楽器も効果的に使用している。

バンドの中では珍しくビルボードチャートにランクインしており、最大91位にランクインした。

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