Marilyn Manson(マリリン・マンソン)入門編【おすすめ楽曲・アルバム】

メタル
画像出典:Marilyn Manson HOME | Facebook
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世紀末に生まれたアンチクライスト・スーパースター!!

俺が国をダメにしたんじゃない。

ダメな国が俺を生んだんだ。

マリリン・マンソン

1990年代、おどろおどろしいファッションとメイクをし、周りから「アンチクライスト・スーパースター」と呼ばれ、過激な内容の音楽物議を呼ぶ派手なパフォーマンスで世間に衝撃を与えたミュージシャン...

その名もMarilyn Manson(マリリン・マンソン)

セックスシンボルであるマリリン・モンロー

アメリカの犯罪史に残るカルト指導者であり凶悪犯、チャールズ・マンソン

相対する二つのシンボルを組み合わせた芸名である。

人々がマリリン・マンソンに熱狂した理由...

それはおそらく彼自身の哲学とそのカリスマ性に魅かれたからだろう。

そんなマリリン・マンソンという人物を彼の名曲と共に紹介していく。

マリリン・マンソンとは

反キリスト主義

マリリン・マンソンの音楽のメッセージの中で反キリスト主義が多い理由。

その答えは彼の生い立ちの中にある。

マリリン・マンソンの本名はブライアン・ヒュー・ワーナー

1969年1月5日アメリカのオハイオ州で生まれる。

彼は幼少期に厳格なカトリック教徒の父米国聖公会の教会員である母に育てられ、厳しいカトリックの教えを受けて育った。

またカトリック系の私立中学校に入学させられたとき、学校の教育は彼にとって苦痛でしかなかった。

使用していたノートに、「こんな生活は嫌だ」との一文を何度も繰り返し書き続けたらしく、そのノートを見た親や教師に幾度も殴られたという。

このような経験から彼はキリスト教を批判する歌を書くようになった。

ただ一つ勘違いしてほしくないのは彼は神そのものを批判したことはなく、批判しているのは宗教家や宗教を理由に他人を傷つけるような人たちである。

俺は本当の神を憎んだことは一度もない

人々が信じる神は大嫌いだ。

マリリン・マンソンの楽曲「Disposable Teens」の歌詞の一部の和訳

このように彼は宗教周辺の人々を憎んでいる。

音楽性

マリリン・マンソンの音楽的影響は多岐にわたる。

彼は幼少期にKISSにハマりロックミュージックを聴くようになる。

その後いわゆる過激な内容を歌うアリス・クーパーブラックサバスオジーオズボーンなどを聴くようになった。

そして彼が一番影響を受けた人物として挙げているのがデヴィッド・ボウイ

彼がアルバムやツアーごとに音楽性、ファッション、メイクを変更するのはデヴィッド・ボウイからの影響であると考えられる。

他のメタル系アーティストとは違う点を挙げるなら、彼はイギリスのシンセポップゴシックロック系のバンドを好んでいたことだと思う。

彼はThe CureDepeche Modeなどのアーティストからの影響を公言しており、そのようなアーティストの名曲をカバーしている。

『Personal Jesus』 by Depeche Mode

『Tainted Love』 by Soft Cell

コロンバイン高校銃乱射事件を巡って

1999年4月20日に『コロンバイン高校銃乱射事件』という痛ましい事件が起こった。

コロンバイン高校の生徒であるエリックデュランという2人の男子生徒が12名の生徒と1名の教師を射殺し、両名は自殺した。重軽傷者は24名にのぼる

エリックデュランの犯行動機は2人がずっといじめのターゲットになっていたことが最有力である。

この事件は全世界で話題となり、アメリカではテレビ番組映画アニメゲーム音楽などのせいでこの事件が起こったなど根拠もない責任の押し付け合いが行われるようになった。


その中で保守系のメディアは「事件の犯人2人はマリリン・マンソンのファンであった。マリリン・マンソンの音楽が彼らの犯罪を助長させた!」という内容を報じ始めた。

後に2人がマリリン・マンソンのファンであることがデマだと判明したが、その後もマリリン・マンソンに対する誹謗中傷や抗議運動が後を絶たなかった。

このような事態に対しマリリン・マンソンはこの事件を取り扱ったドキュメンタリー映画『ボウリング・フォー・コロンバイン』で次のようなコメントを残した。

なぜ俺を責めるのかはわかるよ、テレビで標的にするのが簡単だからだ。

ある意味俺が恐怖をまき散らしている。

みんなが恐れていることを象徴しているんだ、言いたいこともズバズバいうしな。

マリリン・マンソン/映画『ボウリング・フォー・コロンバイン』

マリリン・マンソンは理知的で物事を俯瞰的に見ていることが分かる。

またマスコミ自体を批判するのではなく、人間として自然なことなんだとある意味達観して語ったように思える。

特に次のセリフはマリリン・マンソンの人柄を象徴する言葉だと思う。

(「コロンバインを襲撃した犯人の高校生に言いたいことは?」と訊かれて)

何も言わないで黙って2人の話を聞くね。

誰一人それをやらなかった。

マリリン・マンソン/映画『ボウリング・フォー・コロンバイン』

何かを押し付けるのではなく、相手の望みや考えをまず聞くことから始める。

マリリン・マンソンの生い立ちを考えると、本当に追い詰められている人に対して一番必要なことが分かるのだろう。

このシーンが好きで何度もこの映画を見ているような気がする。

また『サウスパーク』の作者マット・ストーンも同映画内でこの事件に対してコメントを残しているので是非映画を見てほしい!

おすすめ曲

Sweet Dreams (Are Made Of This)

EP『Smells Like Children』収録曲であり、シングルカット曲。

イギリスのシンセポップバンドであるEurythmics(ユーリズミックス)の名曲Sweet Dreams (Are Made Of This) のカバーであり、マリリン・マンソンの初ヒットシングル。

怖すぎるミュージックビデオとして全米で話題となり、MTVで繰り返し放送されるようになる。

このヒットがきっかけとなってマリリン・マンソンの名が知られるようになった。

この曲はUSメインストリームロックチャート31を記録!

またUSオルタナティブエアプレイでも26を記録した。

ビルボードが選ぶ『最も怖いミュージックビデオベスト15』にて第3位にランクインした!

The Beautiful People

2ndアルバム『ANTICHRIST SUPERSTAR』収録曲、シングルカット曲。

初めて聞く人にはおすすめの曲!

マリリン・マンソンにとって初めてヒットしたオリジナルの曲。

美しさの絶対的価値観をもとにそうではないものを駆逐していく世界の醜さや不自由さを訴えた曲。

この曲はUSメインストリームロックチャート29位を記録!

またUSオルタナティブエアプレイでも26を記録した。

The Dope Show

3rdアルバム『Mechanical Animals』収録曲、シングルカット曲。

スローテンポで重さ重視のグラムロックソング!

薬物乱用を批判した楽曲。

何よりもミュージックビデオが衝撃的で、マリリン・マンソンが特殊メイクによって両性具有のエイリアン”オメガ”を演じている。

ミュージックビデオの中でマリリン・マンソンが自分に似た模型を壊していくシーンがあるが、これは映画『ホーリーマウンテン』のパロディだと考えられる。

彼の奇妙なヴィジュアルは当時話題となり、1999年のMTVビデオミュージックアワードにてベストシネマトグラフィー部門を受賞した!

この曲はUSメインストリームロックチャート12位を記録!

またUSオルタナティブエアプレイでも15位を記録した。

またこの曲は1999年に行われた第41回グラミー賞最優秀ハードロックパフォーマンス部門ノミネートされた!

Rock Is Dead

3rdアルバム『Mechanical Animals』収録曲、シングルカット曲。

初めて聞く人にはおすすめの曲!

過激さと歌メロのポップさが両立した代表曲!

曲の中で歌われる「Rock is Dead(ロックは死んだ!)」は2通りの解釈が可能。

マリリン・マンソン自身が正直に「今のロックが聞くに堪えない」と思っているのか?

それとも「ロックが死んだ」とバカ騒ぎするメディアやリスナーを揶揄しているのか?

真相はまだ定かではない。

映画『マトリックス』サウンドトラックにこの楽曲が収録されている。

この曲はUSメインストリームロックチャート28位を記録!

またUSオルタナティブエアプレイでも30位を記録した。

The Fight Song

4thアルバム『HOLY WOOD(IN THE SHADOW OF THE VALLEY OF DEATH)』収録曲、シングルカット曲。

歌詞の中に「俺たちは存在しない神の奴隷じゃない、俺たちはクソみたいな社会の奴隷じゃない」という一節がある。

勝手に作られた権威や暗黙のルールなど一切気にせず、みんな戦えばいいんだという熱いメッセージを感じる!

グラムロック的でありながらモダンヘヴィネスのようなリズムを感じる。

mOBSCENE

5thアルバム『The Golden Age of Grotesque』収録曲、シングルカット曲。

タイトルの「モブシーン(mOBSCENE)」とは、映画などで群集(mob) が出てくる場面(Scene) を指しており、そこに「Obscene」(=猥褻な、卑猥な) という言葉を掛け合わせた洒落。

ミュージックビデオは少し演劇的なものになっている。

この曲はUSメインストリームロックチャート18位を記録!

またUSオルタナティブエアプレイでも26位を記録した。

またこの曲は2004年に行われた第46回グラミー賞最優秀メタルパフォーマンス部門ノミネートされた!

This Is The New Shit

5thアルバム『The Golden Age of Grotesque』収録曲、シングルカット曲。

ヒップホップのリズムとビートに傾倒した楽曲。

またエレクトロニックなリフに彩られている。

ミュージックビデオの中でマリリン・マンソンミッキーマウスのような被り物を着けて歌っているシーンがある。

これは皮肉でもなんでもなく単純にマリリン・マンソンディズニーが大好きゆえにしている演出である。

映画『マトリックス・リローデッド』サウンドトラックにこの楽曲が収録されている。

UKシングルチャート28位を記録した。

またマリリン・マンソン自身がこの曲をお気に入りの曲の一つであることを公言している。

おすすめアルバム

『ANTICHRIST SUPERSTAR』(2ndアルバム/1996年)

初のヒットアルバムにして「終末3部作」の完結編

時系列的に言うとこのアルバムが「終末3部作」で一番最初に発売されたアルバムだがコンセプトでいうと完結編

わかりやすく言うと映画『スターウォーズ』シリーズがエピソード4、5、6と発表され、その後エピソード1、2、3と発表していったシステムであると思ってほしい。

このアルバムは「黙示録を始めるためにマリリン・マンソンが人類からすべての力を奪う超自然的な存在となる」という一つの物語を表現しているオペラ的なアルバム。

1971年にブロードウェイで発表されたロックミュージカル『ジーザス・クライスト・スーパースター』のパロディでもある。

主にインダストリアルロックデスメタル的なサウンドにプログレッシブロック・ゴシックロック的歌詞を載せている感じ。

アメリカのUSビルボード200にて3位にランクインされた!

このアルバムは世界中で700万以上の売り上げを記録した!

また批評家たちからの評価も高く、ローリングストーン誌が選ぶ『90年代を代表するアルバムベスト100』にて第84位に選ばれる。

『MECHANICAL ANIMALS』(3rdアルバム/1998年)

「終末3部作」の続編にして全米1位に輝いたアルバム

タイトルの『MECHANICAL ANIMALS(メカニカル・アニマルズ)』というのは、異星から来た架空のロックバンドの名前。

今回マリリン・マンソンはこのメカニカル・アニマルズのボーカルであり性別不詳の生物オメガに扮して制作したとのこと。

このアルバムもロックオペラ的なコンセプトを持っており、オメガが地球でバンド活動をしていく中でアルファと呼ばれる新たな人格が目覚めるというもの。

(※こういう設定を楽しめない人は読んでいて苦しいと思うが、僕はプロレスとか中2チックなものが好きなのでかなりのめり込んでしまう...)

音楽性で言えば実験的なものであり、70年代のグラムロックインダストリアルロックエレクトロニックの融合という画期的なもの。

またこのアルバムでは非公式であるがThe Smashing Pumpkinsのフロントマンであるビリー・コーガンが音楽コンサルトてき役割を務めており、アルバム制作のアドバイスを行っていた。

アメリカのUSビルボード200にて1位にランクインされた!

『HOLY WOOD(IN THE SHADOW OF THE VALLEY OF DEATH)』(4thアルバム/2000年)

「終末3部作」の序章にして最高傑作と名高いアルバム

このアルバムのコンセプトは「宣戦布告」

1999年4月20日に起きた『コロンバイン高校銃乱射事件』をきっかけに、マリリン・マンソンは「アメリカ政府・文化の不完全さの風刺」をこのアルバムで表現する。

「銃、神、政府」というフレーズがよく出てくるのは、これらが暴力・悲劇の元であることを主張している。

『コロンバイン高校銃乱射事件』において保守派メディアがマリリン・マンソンをバッシングしたことに対しての反論のようなメッセージを感じる。

音楽的には主にハードロック的アプローチが重点的に取られており、マリリン・マンソンのキャリアの中でも最も激しく重いサウンドになっている。

アメリカのUSビルボード200にて13位にランクインされた!

上記で触れた「コロンバイン高校銃乱射事件」でのバッシングによりマーケティングが上手くいかず商業的には前作を下回ることとなった。

だが専門家によってはこのアルバムをマリリン・マンソンの最高傑作であると評することが多い。

外部リンク

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