Wu-Tang Clan(ウータン・クラン)入門編【おすすめ曲・アルバム】

ヒップホップ
画像出典:Wu-Tan Clan HOME | Facebook

ヒップホップ×カンフー×大所帯の奇抜なスタイルで、時代経過とともに評価を上げ続けるニューヨークヒップホップグループ!

芸術の世界において評価が遅れることがある。

ゴッホの絵が評価されるようになったのは、彼がこの世を去った後だったり

Daft Punk(ダフトパンク)でも2001年でアルバム『Discovery』でブレイクしたが、当時の評価はそこそこだった。

しかし2010年代後半からEDMが盛り上がり、ダフトパンクの音楽やライブパフォーマンスがEDMに多大な影響を与えていたことが明らかになり『Discovery』の評価がさらに上がった。

ヒップホップ界でも遅れて評価される現象がある。

その有名な一例が今回紹介するWu-Tang Clan(ウータン・クラン)だと思う。


ウータン・クランが結成された1992年。

当時ヒップホップ界では主にニューヨークを拠点とするイーストコースト・ラップとロサンゼルスを拠点とするウエストコースト・ラップで対立していた。

そしてそのときは西高東低であり、イーストコースト勢は窮地に立っていた。

そんなイーストコーストを再度盛り上げたグループの1つがウータン・クラン

メンバーは

  • RZA(レザ)
  • GZA(ジザ)
  • Ol’ Dirty Bastard(オール・ダーティー・バスタード )
  • Method Man(メソッド・マン )
  • ReakWon(レイクウォン )
  • Ghostface Killah(ゴーストフェイス・キラー)
  • inspectah deck(インスペクター・デック)
  • Masta Killa(マスタ・キラ)
  • U-God(ユーゴッド)
  • Cappadonna(カパドンナ)

10人の大所帯!(当時の通常のヒップホップ・グループの人数は多くても6人くらいだった)

10人はそれぞれ違った歌詞・歌い方・芸術性で勝負を仕掛けてくる!

またグループ名のWu-Tang(ウータン)はカンフー映画『少林寺武者房(英題:Shaolin and Wu Tang)』から引用している。

そのため彼らの楽曲にはカンフー映画の効果音やセリフをサンプリングとして用いることが多い。

当時のヒップホップ界全体で黒人としてのルーツに基づいた表現が当たり前であったため、他の文化から引用するのは非常に稀なことであった。

さらに音楽性も革新的!

  • 敢えてサウンドをざらつかせる(ローファイ)にすることで荒々しさを強調させる
  • ボーカルにエフェクトを加える
  • サンプリング率を20~25%と低く抑えて、自作のビートを使用

と当時としては奇抜な手法が多かった。

またリーダーのRZA(レザ)はテレビゲームが好きで1999年に自分たちが登場するアクションゲーム『Wu-Tang: Shaolin Style』をプレイステーションで発売するほどだった。

上記の特徴から彼らの評価は高かったものの、それはあくまでキワモノとしての評価だった。

しかし時代を経てカニエ・ウエストをはじめとした様々なアーティストたちが彼らからの影響を口にしたため当時よりも高く評価されるようになった!

そんなヒップホップ界の奇抜集団Wu-Tang Clan(ウータン・クラン)の名曲・名盤を紹介!

おすすめ曲

Da Mystery Of Chessboxin’ 

『Enter the Wu-Tang (36 Chambers)』(1stアルバム/1993年)、収録曲。

曲の最初にカンフー映画『少林寺武者房(英題:Shaolin and Wu Tang)』のセリフのサンプリングが流れる。

メンバーのU-Godはこの曲のレコーディング中の1992年に武器の密輸と麻薬所持で有罪判決を受けており、この曲と『Protect Ya Neck』しか参加できなかった。

しかしU-Godが1993年1月に仮釈放された際、この曲がカルト的人気を集めていたことに驚いたという。

C.R.E.A.M.

『Enter the Wu-Tang (36 Chambers)』(1stアルバム/1993年)、収録曲。

この曲は「Cash Rules Everything Around Me俺の周りは全部金で支配されている)」の頭文字をとったもの。

(意訳として「俺だけは金で支配されない」という説もある。)

またこの曲がブレイクしたことでヒップホップ界で「C.R.E.A.M.」のことを指す隠語として使用されるようになった。

ローリングストーン誌が2020年に発表した『史上最高の曲200』にて第107位にランクインした!

また同誌が2012年に発表した『史上最高のヒップホップソング50』にて第11位にランクイン!

また公式で日本語訳バージョンを挙げてくれている!!

Method Man

『Enter the Wu-Tang (36 Chambers)』(1stアルバム/1993年)、収録曲。

シングルカット曲。

トラックには不協和音が特徴的なピアノフレーズを使っているが、それにもかかわらず縦ノリで心地よく聞ける楽曲!

マイケル・ジャクソン『Come Together』(ビートルズのカバー)を聴いて、この曲を作ったという。

USビルボードホット100にて69位にランクイン。

Protect Ya Neck

『Enter the Wu-Tang (36 Chambers)』(1stアルバム/1993年)、収録曲。

彼らのデビューシングル!

初めて聴く方におすすめ!

メンバーの内4対4に分かれて自由連想的なバトルラップを繰り広げる!

この大人数が短いスパンでかわりがわりにラップをするスタイルは当時のヒップホップ界に衝撃を与えた!

ハードコアヒップホップの荒々しさが詰まったような作品!

ピッチフォークが発表した『90年代のトップ200トラック』にて、第5位にランクインした!

また公式で日本語訳バージョンを挙げてくれている!!

ありがたい!!

Triumph

『Wu-Tang Forever』(2ndアルバム/1997年)、収録曲。

曲名を直訳すると『勝利・征服

この曲名通りウータン・クランは音楽業界を自分たちの才能で支配していくような快進撃を見せていた。

MVもカッコよくて、MV内で彼らが勝利・征服の象徴として選んだ生物・・・

それはキラー・ビー(アフリカナイズドミツバチ)

殺人蜂と呼ばれるくらい凶暴、1匹1匹が強力なのにそれらが集団で襲ってくる!

まさにウータン・クランそのものだ!

また歌詞の中で「Shogun(将軍)」「Shinobi(忍)」など日本の文化に対する言及もある。

Gravel Pit

『The W』(3rdアルバム/2000年)、収録曲。

この曲は本来アリーヤのために書き下ろした曲であったが、当時彼女が飛行機事故により若くしてこの世から去ったため自分たちでリリースした。

サンプルはウータン・クランの中でも珍しくファンク系を多用している。

またPVは彼らのコミカルさをこれでもかというほど発揮している。

タイムマシンに乗って紀元前2000年前に行くつもりが、間違って紀元前200万年に行くという内容!

紀元前200万年原始家族フリントストーンのような世界が広がっていた!

恐竜や原始人が出てくるが、なぜか忍者まで出てくる?!

好きなものを入れ過ぎている・・・

おすすめアルバム

『Enter the Wu-Tang (36 Chambers)』(1stアルバム/1993年)

彼らのデビューアルバムにして最高傑作とも名高い名盤

タイトルの「Enter the Wu-Tang (36 Chambers)」とは

カンフー映画の名作である

  • 『燃えよドラゴン(英題:Enter The Dragon)』(1973年)
  • 『少林寺三十六房(英題:The 36th Chamber of Shaolin)』(1978年)

から引用している。

邦題は『燃えよウータン』

このアルバムのテーマは

  • カンフー映画
  • 東洋哲学
  • Five Percent Nation(ファイブ・パーセント・ネイション)
  • コミックブック

の4つで構成されている。

Five Percent Nation(ファイブ・パーセント・ネイション)・・・1960年代に誕生したクラレンス13Xが唱えた思想。世界は10%のエリートと85%の無知のまま支配されている人、残り5%の自分たちが85%の無知たちに世界の真実を啓蒙していくという考え。

このアルバムは低予算ながらとにかく画期的なアイディアがたくさん散りばめられていた。

  • 敢えてサウンドをざらつかせる(ローファイ)にすることで荒々しさを強調させる
  • カンフー映画の効果音やセリフをサンプリングする。
  • ユーモラスで自由連想的な歌詞
  • 個性あふれる9人のメンバーによるラップ

サウンドも歌詞も何もかもが当時主流のヒップホップのスタイルから逸脱しており、当時盛り上がっていた西海岸のヒップホップ界隈へのカウンターパンチ的作品であった。

そのことから東海岸のヒップホップ界隈が再び盛り上がるきっかけとなり、NasJay-ZノトーリアスB.I.G.などの実力者が注目されるようになった。

このように音楽的にも文化的にも絶大な影響力をもったアルバムなため、2022年アメリカ議会図書館により国立録音登録簿への保存対象に選ばれた。

ローリングストーン誌が選ぶ「The 500 Greatest Albums of All Time」(2020年版)では27位にランクインしている。

『Wu-Tang Forever』(2ndアルバム/1997年)

前作で衝撃を与えた彼らが次に出した2枚組の大作!!

前作ではローファイな録音環境やサウンドを基調としていたが、本作ではストリングスやシンセサイザーを使った重厚なサウンドが特徴的!

さらにソウルのサンプル音源を切り刻んでスピードアップさせて異常に高いピッチにするというテクニック、通称チップマンク・ソウルという技を発明した!

この技術は後にカニエ・ウエストに多大な影響を与えている。

USビルボード200にて第1位にランクイン!

USビルボード・ヒップホップ/R&Bチャートでも第1位にランクイン!

  • サウンドのクオリティ
  • 音楽的発明
  • 商業的成功

この3つを同時に達成した名盤!

空耳アワーのスペシャリスト!?

やはり日本においてウータン・クランを紹介するにあたって避けて通れない話題がこの空耳アワーでの彼らの名作率!

空耳アワーとは1982年から2023年まで放送されていた番組『タモリ俱楽部』の人気コーナー。

主に洋楽の中で日本語のように聞こえるところを視聴者が投稿して、投稿作品の面白さによって番組特製グッズが貰える。

普通な場合は手ぬぐい

ちょっと面白いときは耳かき

かなり面白い場合はTシャツ

大傑作にはジャンパーが貰える。

この空耳アワーは毎回貰えるのはほぼ手ぬぐい、Tシャツを貰えるのが稀、ましてやジャンパーは稀中の稀!

しかしウータン・クランは過去に12作品投稿されたが、

  • ジャンパー・・・1作品
  • Tシャツ・・・4作品
  • 耳かき・・・2作品
  • 手ぬぐい・・・5作品

と名作率がかなり高い!

上記の中でも個人的に好きな空耳作品を紹介!

よ よ 嫁! ホラホラ 嫁! フマキラー付いてるよ

『Enter the Wu-Tang (36 Chambers)』(1stアルバム/1993年)、収録曲である「Wu-Tang: 7th Chamber」の空耳。

元の歌詞は

Yo, Meth.. hold up! Hold up!
Yo, Meth, where my Killer tape at, God?

だが、どうしても「よ よ 嫁! ホラホラ 嫁! フマキラー付いてるよ」にしか聞こえない。

ウソッ 釈放?

『Enter the Wu-Tang (36 Chambers)』(1stアルバム/1993年)、収録曲である「Da Mystery Of Chessboxin’ 」の空耳。

元の歌詞は

RZA Shaquan

だが、どうしても「ウソ!?釈放?!」にしか聞こえない。

お茶 お茶がうめー‼ おい母ちゃん! おい母ちゃんメロンだ! うぉー‼ メロン!メロン美味しい‼

『Enter the Wu-Tang (36 Chambers)』(1stアルバム/1993年)、収録曲である「Tearz」の空耳。

元の歌詞は

WATCH OUT WATCH OUT MOVE BACK DON'T TOUCH HIM DON'T TOUCH HIM MAN DON'T TOUCH AAAAHHH NO NO OH SHIT

これが「お茶 お茶がうめー‼ おい母ちゃん! おい母ちゃんメロンだ! うぉー‼ メロン!メロン美味しい‼」にしか聞こえない。

長文ながら見事な空耳!

外部リンク

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