変則チューニングによるクリーンでメロディアスな曲調でミッドウェスト・エモというジャンルを世に広めたバンド!
1990年代前半、アメリカ中西部のイリノイ州でCap’n Jazz(キャプテン・ジャズ)というバンドがミッドウエスト・エモというジャンルを確立させた。
しかしそのジャンルをさらに世に広めたのはバンドは他にいる。
それはCap’n Jazzのドラマーであるマイク・キンセラが中心となって結成したバンド、American Football(アメリカン・フットボール)!!
マイク・キンセラはCap’n Jazzのリーダーでありボーカルのティム・キンセラの弟。
Cap’n Jazzが1995年に解散した後、マイク・キンセラは自身がギターボーカルを務めるバンドAmerican Footballを結成した。
結成当時のメンバーはスティーブ・ホームズ(ギタリスト)とスティーブ・ラモス(ドラマー)
ベースはレコーディング時にマイク・キンセラが担当していた。
このAmerican Footballは人前で演奏するのでなく、スタジオで録音するのがメインのバンドだった。
彼らは1999年に1stアルバム『American Football』をリリースしてすぐ解散した。
しかしこのアルバムは時を経るにつれて評価が高くなり、多くのエモ好きのリスナーたちからエモというジャンルを代表するような名盤と呼ばれるようになった。
そして2014年にAmerican Footballは再結成!
ベースにマイク・キンセラの従弟のネイト・キンセラが加わり、現在も精力的に活動している!
そんなAmerican Footballの名曲・名盤を今回は紹介!!
おすすめ曲
Never Meant
『American Football』(1stアルバム/1999年)、収録曲。
史上最高のエモソングの一つと称される名曲中の名曲!
一度聞いたら忘れない10代の頃の憂鬱でノスタルジックなギターリフ!
このたった3小節のギターリフだけでエモの歴史を変えたと言っても過言ではないほどの名フレーズ!
彼ら以前のエモというジャンルは激しい叫び声のような歌声とディストーションの深くかかったギターの轟音で感情的な情緒を表現してきた。
しかしこの曲では静かで複雑なメロディを中心にしたことで嬉しさや悲しさやあらゆる感情を包み込んだメロディの表現を可能にした。
このようなアプローチは後のエモ・リバイバルブームに登場したバンドの
- Algernon Cadwallader(アルジャーノン・キャドウォーター)
- This Town Needs Guns(ディス・タウン・ニーズ・ガンズ)
- Snowing(スノーイング)
などに多大な影響を与えた。
Vultureが発表した『史上最高のエモソング100』で第1位にランクイン!
The Summer Ends
『American Football』(1stアルバム/1999年)、収録曲。
色んなアーティストが夏の終わりを感じさせてくれる楽曲を世に出してきたが、この曲が一番夏の終わりというテーマを的確に表現していると思う。
スローなテンポと優しいギターのメロディから始まり、弱弱しいトランペットの音色が加わる。
この曲2通りの聴き方がある。
1つは夏に楽しいことばかりだった人が夏の終わり頃に「これくらい楽しい日々でも終わりがある。楽しいことは永遠に続かない」とメランコリックになる聴き方。
もう一つは夏の思い出にろくなことが無かった人が夏の終わりに「散々だった夏の思い出を振り返るけど、嫌なことはずっと続かないし前向きに次の季節を生きよう」というポジティブな聴き方。
色んな人に対してそれに合った入口を提示してくれる優しい楽曲。
My Instincts Are The Enemy
『American Football(LP2)』(2ndアルバム/2016年)、収録曲。
シングルカットされている。
17年ぶりに発表したバンドの新曲であるが、当時のキラキラしたギターサウンドは健在であり、テンポや抑揚に落ち着きが感じられ大人なエモソングとなっている。
またMVのロケ地はほとんど日本で行われていおり、東京都・名古屋・松本市の3つで行われている。
日本のバンドマンがいたり、女性ダンサーが街を踊りながら歩いたり、おじいちゃんがボウリングをしたり、松本城が映ったり・・・
結構カオスな内容だがYouTubeのコメントに松本市を褒める内容が散見されたので、こういうPR方法があるんだとちょっと驚いた。
Silhouettes
『American Football(LP3)』(3rdアルバム/2019年)、収録曲。
イントロのグロッケン(鉄琴の一種)の音が心地よいが、音数がどんどん増えていき緊張感が高まっていく。
MVを見る感じだと彼らの初期の名曲「Never Meant」は10代や大学生の失恋を表現しているのに対して、この「Silhouettes」では中年夫婦の離婚を表現しているように感じる。
人生においてどんなタイミングでも恋愛の別れを経験する切なさや悲しみがあることをAmerican Footballが教えてくれるし、同時にそんな体験をしても感傷的になって過ごしてもよいことも教えてくれる。
Uncomfortably Numb
『American Football(LP3)』(3rdアルバム/2019年)、収録曲。
タイトルの「Uncomfortably Numb(不快な麻痺)」はPink Floyd(ピンク・フロイド)の名曲である「Comfortably Numb」のパロディ。
ドリームポップ的楽曲であり、美しいストリングスの音色を土台に彼らの持ち味のギターサウンドを響かせる。
コーラスにParamore(パラモア)のボーカル、ヘイリー・ウィリアムスが参加している。
それが理由かどうかはわからないが、ローファイっぽさは全くなくサウンドが上質になっている気がする。
またこの曲のMVにはアメリカのXゲーム大会で4つも金メダルを獲得しているプロスケートボーダーのポール・ロドリゲスが出演している。
Bad Moons
『American Football(LP4)』(4thアルバム/2026年)、収録曲。
American Footballの楽曲は夏を感じさせてくれるものが多いが、この曲は冬を感じさせてくれる楽曲。
MVもちょうど雪が積もった住宅街をモノクロで映している。
タイトルの「Bad Moons」というのは悪い環境の暗喩だと思われる。
Trafffic(トラフィック)の楽曲に「Paper Sun」というものがあり、Paper Sun(紙で出来た太陽)を張りぼてであり偽りの幸せや愛という意味で表現したのでそれと類似すると思える。
この曲の歌詞はとにかく陰鬱・・・
冬の寒さを人生の苦難として描き、幼少期での経験のせいであらゆる闇を抱えて生きている男の人生を歌っている。
今までのAmerican Footballにはなかった一面を感じられる新曲。
おすすめアルバム
『American Football』(1stアルバム/1999年)
史上最も重要なエモアルバムの一つに数えられる名盤!
従来のエモの音楽性にジャズやマスロックというジャンルの技術的アプローチを加えることで、新しいエモの形を確立したエモの歴史に残るアルバム。
このような音楽性になったきっかけは、マイク・キンセラ曰くDrive Like Jehu(ドライブ・ライク・ジェフ)のラストアルバム『Yank Crime』であった。
彼はDrive Like Jehuが大好きで、このバンド以上にシャウトを中心にしたマスロックバンドはいないと思い、彼らとは逆で静かなサウンドで構造の似た音楽を始めようとしたためである。
またスローで静かな曲を作りにあたって、ニック・ドレイクやRed House Painters(レッド・ハウス・ペインターズ)を参考にしたのだという。
また作詞に関してはThe CureやThe Sundaysなどのメランコリックな世界観を参考にしたのだという。
このアルバムをリリースした直後にAmerican Footballは解散したが、このアルバムはカレッジラジオを中心に人気を博しインターネットによる口コミで大きな話題を呼んだ。
その結果American Footballの音楽に多大な影響を受けたバンドたちが再びエモシーンを盛り上げ、エモ・リバイバルブームのきっかけとなった。
ローリングストーン誌が発表した「史上最高のエモアルバム・トップ40」にて第6位に選ばれた!
またアルバムジャケットの写真の家はメンバーが通っていたイリノイ大学の近くにある家であり、マイク・キンセラ曰く「友達の友達の家」らしい。
しかしこの家は現在ミッドウエスト・エモの聖地のように扱われていおり、様々なエモロックのファンがこの家で写真を撮っているらしい。
『American Football(LP2)』(2ndアルバム/2016年)
前作から17年の時を経て満を持してリリースされたアルバム!
そもそもAmerican Footballが解散した理由、それはメンバーのほとんどが大学卒業を機に別の街に引っ越すことになったため。
そして2014年、メンバー全員30代半ばを過ぎているなかでAmerican Footballを再結成!
この年にシカゴとニューヨークでライブを行い、更に海を渡りイギリスでもライブを敢行!
そして2016年には新作のアルバムを発表した。
あいかわらずジャズやマスロック的なエモスタイルは健在で、さらにアレンジが重厚になった。
まるでドリームポップやアンビエント・ミュージックのような癒されるようなサウンドが加わり、大人なエモソングが多いイメージ。















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