カナダ発!エレクトロとインダストリアルを融合させ、過激すぎるパフォーマンスでカルト的人気を誇る奇才集団!
カナダという土地にはあらゆる音楽ジャンルの奇才が現れる。
ポップ界隈ではアラニス・モリセット
フォーク界隈ではニール・ヤングやジョニ・ミッチェル
プログレッシブロック界隈ではRush(ラッシュ)!
パンク・ハードコア界隈ではNo Means No(ノー・ミーンズ・ノー)
そしてエレクトロ・インダストリアル界隈では今回紹介するSkinny Puppy(スキニー・パピー)がいる!
Skinny Puppyは1982年に結成され、2023年に解散。
彼らはエレクトロポップやシンセポップにインダストリアルの要素を取り入れた音楽でアンダーグラウンド音楽界に衝撃を与えた!
音楽性だけでなく、彼らのライブパフォーマンスはゴシックかつホラー映画さながらの過激な演出で注目を浴びた!
上記の音楽性とライブパフォーマンスは後の世代の
- Nine Inch Nails(ナイン・インチ・ネイルズ)
- Marilyn Manson(マリリン・マンソン)
- Linkin Park(リンキンパーク)
などのバンドに多大な影響を与えた!
そんな彼らの偉大な功績を彼らの楽曲・アルバムと共に紹介!
警察沙汰の過激すぎるパフォーマンス?!
そもそもNine Inch NailsやMarilyn Mansonに影響を与えるような彼らがなぜそれほど有名にならなかったのか?
理由は過激すぎるパフォーマンスにあったと思う。
彼らは常に動物愛護、環境保護、薬物、戦争に関するメッセージを掲げて、それらに基づいた過激なライブパフォーマンスをする。
- リアルすぎる犬の人形を作ってステージ上で解剖する
- 絞首刑で実際に使う縄を使って遊ぶ
- 電動丸ノコで遊ぶ
- ジョージ・W・ブッシュ大統領の模擬斬首刑
などキリがない・・・
特にリアルすぎる犬の人形の解剖パフォーマンスは、当時観客の一人が本物だと勘違いして警察に通報!
偽物だったのにもかかわらず治安紊乱(ぶんらん)行為でメンバー全員逮捕された!
※治安紊乱(ぶんらん)行為・・・公の秩序や風紀を乱す軽微な違法行為
それゆえ主要メディアに露出することが難しくなり、カルト的な人気にとどまったと思える。
メンバー
ニヴェック・オーガ
ボーカル。
唸るような歌声とグロテスクなライブパフォーマンス、ゴシックファッションでインダストリアル界隈でカリスマ的存在のアーティスト。
幼少期は内向的な性格でH.P.ラブクラフトやエドガー・アラン・ポーなどのホラーファンタジー小説とホラー映画ばかり見ていた。
またマジックが大好きで国際マジシャン協会(IBM)にも加入している。
音楽的には
- The Cureの『Pornograghy』
- David Bowieの『Scary Monsters (and Super Creeps)』
- Orchestral Manoeuvres in the Darkの『Organisation』
から強い影響を受けたという。
彼は偽血に含まれる食用色素のアレルギーであるのにもかかわらず、ステージでは大量の偽血を浴びて圧巻のパフォーマンスをする!
そのようなステージパフォーマンスはインダストリアルロック界に多大な影響を与えた。
ニヴェックがステージで大きい竹馬で移動するパフォーマンスをするが、これをのちにMarilyn Mansonが行ったこともある。
ケヴィン・キー
シンセサイザー。
バンドのほとんどの楽曲制作を行っている。
音楽的影響としてインダストリアルの黎明期のバンド
- Throbbing Gristle(スロッビング・グリッスル)
- Cabaret Voltaire(キャバレー・ヴォルテール)
を挙げている。
幼少期はバンクーバーで過ごしていたが、家庭環境がよくなく高校生の頃に日本に養子に出され、これを機に彼は日本語を学んだ。
20歳のころケヴィンが東京のラジオ局で働こうとしていたところ、カナダのニューウェーブバンド、Images in Vogueのメンバーにスカウトされて同バンドに加入。
Images in VogueはDepeche ModeやRoxy Musicの前座をするほどのバンドであったが、ケヴィン自身はバンドがポップすぎることに不満を抱いていた。
そのころとあるパーティーでニヴェック・オーガと知り合い意気投合、彼とサイドプロジェクトとしてSkinny Puppyを始めた。
このSkinny Puppyがうまくいったため元いたImages in Vogueを脱退して、Skinny Puppyを活動の中心に据えた。
おすすめ曲
Dig It
『Mind: The Perpetual Intercourse』(2ndアルバム/1986年)、収録曲。
80年代のインダストリアルの傑作!
シングル曲であり、アメリカ進出のきっかけとなった楽曲。
またこの曲ではMVが作られており、内容はモノクロの映像で心臓発作で倒れたサラリーマンを墓場に埋めて「execute economic slave.(経済奴隷を処刑せよ)」という謳うというもの。
このMVはMTVで頻繁に放映されており、当時Nine Inch Nailsのトレント・レズナーはこの曲に触発されて「Down in it」という曲を作ったという。
楽曲もMVの雰囲気も似ているので見比べてほしい!
Stairs and Flowers
『Mind: The Perpetual Intercourse』(2ndアルバム/1986年)、収録曲。
ゴシックとインダストリアルを掛け合わせたような楽曲!
画期的なのはサンプリングの材料としてラジオドラマの語りを使用したところ。
1984年に『The Cabinet of Dr. Fritz(フリッツ博士のキャビネット)』というホラーラジオドラマ番組があり、その中の「Sticks(棒切れ)」という話の語りをサンプリングで使用した。
※またこの番組ではスティーブン・キングの傑作『ミスト』のラジオドラマとして放送していた。
ベースシンセのリフが癖になる曲!
Testure
『VIVIsectVI』(4thアルバム/1988年)、収録曲。
彼らのヒット曲であり、過激なMVにより物議を醸した怪作!
タイトルの「Testure」とは造語であり、「test(テスト)」と「torture(拷問)」を掛け合わせた言葉であり、動物実験のことを指していると思われる。
動物実験の残酷さをひたすら訴えた楽曲。
本当は8分34秒もある曲であるが、ラジオ放送用に4分4秒バージョンに短縮されている。
MVは犬を虐待していた男が怪人のような外科医に捕まえられて、檻に入れられたり実験材料にされるという内容。
このMVは過激すぎることを理由にカナダ国内では放映中止となった。
USビルボードのダンスクラブソングにて、19位にランクイン!
Worlock
90年代インダストリアルサウンドの礎となるような楽曲。
無機質さとどろどろした狂気が入り混じったようなサウンドだが自然と首を上下してしまう。
サンプリングの材料として、Beatlesの「Helter Skelter」のギターフレーズとアメリカ犯罪史に残る大犯罪者チャールズ・マンソンの歌声を使用した。
※チャールズ・マンソンはBeatlesの「Helter Skelter」を独自解釈し、自分の信者の洗脳に利用したため、最悪の組み合わせだとも言える。
またこの曲のMVもかなり過激で、あらゆるホラー映画のグロテスクなシーンを組み合わせた内容となっている。
主にダリオ・アルジェント監督の作品が多く
- 『サスペリア』
- 『フェノミナ』
- 『デモンズ』
- 『オペラ座の怪人』
- 『ヘルレイザー』
などの映像が使用されたが、現在は視聴不可となっている。
Spasmolytic
『Too Dark Park』(6thアルバム/1990年)、収録曲。
アップテンポで攻撃的なサウンドが特徴的であるが、聞きやすい楽曲。
タイトルの「Spasmolytic」は鎮痙剤のことで、ヘロイン使用による自己破壊的な悪循環について歌った曲。
歌詞は自由連想的な歌詞であり、薬物中毒者が薬を断っているときの焦燥感や不安感をアップテンポなリズムとともに感じさせる。
この曲のMVもまたグロテスク・・・
髪が栗色の女性があらゆる場面で主人公を手招きするが、この女性は麻薬のメタファーだと言われている。
おすすめアルバム
『VIVIsectVI』(4thアルバム/1988年)
荒々しい機械的サウンドを前面に押し出し動物実験を厳しく非難した代表作!
バンド初期の集大成的アルバムであり、インダストリアル特有の無機質さと彼らの持ち味であるドロドロした不気味さと恐ろしさが融合した作品。
また彼らは以前から社会問題をテーマに作曲を行っていたが、このアルバムからは動物実験やエイズの流行、イラン・イラク戦争で使用された化学兵器などより具体的な事象を取り上げるようになった。
またサンプリングを積極的に活用し、主にホラー映画の音をサンプリングに使用していた。
インダストリアル、エレクトロミュージックの両方の側面で重要な作品。
TREBLEが発表した『必聴のインダストリアル・アルバム 10選』に本作が選出されている。
『Too Dark Park』(6thアルバム/1990年)
初期のダークエレクトラ要素を復活させたバンド史上最も暗くて重厚なアルバム!
前作の『Rabies』(5thアルバム/1989年)はインダストリアル色が強く、同時期に活躍していたインダストリアルバンドのMinistryと似たサウンドであったため、本作では原点回帰している。
シンセサイザーの音色を以前よりもヘヴィなものにしたり、シンセ・ギターリフを中心にすることでダンス的要素を強めた。
インダストリアルさを追求するのでなく、Skinny Puppyらしさというものを追求したアルバム。
それゆえこのアルバムを最高傑作に上げる人が多い。
Pitchforkが発表した『史上最も偉大なインダストリアルアルバム・ベスト33』にて、第16位に選出された。


















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