おすすめ曲
White Riot
1stアルバム『The Clash』(1977年)、収録曲。
バンド初のシングル。
タイトルは直訳すると白の暴動、または白人の暴動。
最初この曲は人種間の闘争を煽っているとの批判があったが、内容に関しては全くそんなことはない。
この曲は若い黒人と警官の暴動を目のあたりにしたジョー・ストラマーとポール・シムノンの体験をもとにしたもので、黒人たちが力を合わせて行動しているのだから白人にもそれが出来るはずだと政治に対する姿勢を呼びかける歌である。
たった2分間でRamonesを彷彿させるような疾走感のある曲。
初めて聞く方におすすめなシンプルなパンクロックソング。
UKシングルチャートにて38位を記録。
Tommy Gun
2ndアルバム『Give ‘Em Enough Rope』(1978年)、収録曲。
タイトルは銃の種類のことでトンプソン・サブマシンガンという1919年に有名ななった短機関銃。
歌詞の前半はまるでテロリストを称賛するかのような内容(ほめ殺し)だが、後半になるとそれらが皮肉でしかないことがわかる構成になっている。
テロという行為は世界をゲームのように考える浅はかな人間がやる行為で、無実の人の命を脅かし命というものを安っぽくすることを端的に批判している。
今のご時世だからこそ広めたい曲...
UKシングルチャートで19位を記録した。
I Fought the Law
EP『The Cost of Living』(1979年)、収録曲。または1stアルバム『The Clash』(アメリカ版)にも収録されている。
この曲は1960年にリリースされたThe Cricketsというバンドのヒット曲のカバー。
(The Cricketsとは元々バディ・ホリーが結成したバンド、しかしこの曲がヒットした頃彼は既に脱退している。)
元々はポップロック的な曲であるが、歌詞はかなりパンクなのでThe Clashがカバーするにあたりなにも不自然なことはなかった。
初心者におすすめの楽曲!
UKシングルチャートで29位を記録した。
あのGreen Dayもこの曲をカバーしている。
Green Day Ver.
London Calling
3rdアルバム『London Calling』(1979年)、収録曲。
バンドを代表する名曲であり、パンクロックという枠組みを超えた、またはその領域を広げた傑作。
パンクソングになかった短調の曲であり、レゲエのリズムを中心に作曲している。
この曲は1979年にアメリカで起きたスリーマイル島原子力発電所事故についての歌。
タイトルのロンドンコーリングとはBBC(イギリスの公共放送局) が第2次大戦中に占領地向けの放送で使用した言葉「This Is London Calling」(こちらロンドン) からとられたもの。
戦争や環境問題・警察の横暴などの社会問題について触れながら、その被害が下層階級にのみいく構造を批判した内容。
当時明確な社会問題に対しる姿勢を示す曲はかなり斬新なものであった。
UKシングルチャートで11位を記録した。
ローリング・ストーン誌が選ぶ『オールタイム・グレイテスト・ソング500』(2004年版)では15位にランクイン。
また2022年のロシアのウクライナ侵攻を受けて、ウクライナのバンドBetonが本曲の替え歌「キエフ・コーリング」をリリース。
またミック・ジョーンズはこの曲に関してウクライナ防衛のためのチャリティーに寄付することを条件に替え歌をすることを許可した。
Train in Vain
3rdアルバム『London Calling』(1979年)、収録曲。
バンドを代表する名曲であり、パンクロックという枠組みを超えた、またはその領域を広げた傑作
この曲はアルバムのトラックリストにないのにもかかわらず入っていたので、隠しトラック扱いであった。(これは意図的なものではなく、ジャケット制作に入ってからこの曲の収録が決まったからそうなったのだ。)
この曲は純粋でポップなラブソング。
UKシングルチャートで4位を記録した。
USビルボードホットチャート100にて23位を記録。
ローリング・ストーン誌が選ぶ『オールタイム・グレイテスト・ソング500』(2004年版)では298位にランクイン。
またこの曲はファンとアーティストの間で人気が高く、アニー・レノックスやManic Street Preachers、Third Eye Blindなどの有名ミュージシャンたちがカバーしている。
アニー・レノックス Ver.
Manic Street Preachers Ver.
Third Eye Blind Ver.
Rock the Casbah
5thアルバム『Combat Rock』(1982年)、収録曲。
バンドで唯一全米シングルチャートのトップ10にランクイン!
ホメイニ政権下のイランでロックが禁止されていたことに影響を受けて作曲したという説がある。
曲の内容は物語調である国の王がロックを聴いている市民を嫌い、空軍パイロットに市民への爆撃を命じるが、パイロットは命令を受診する無線を切ってロックのラジオを聞くという話。
まさしくコメディチックなプロテストソング。
しかし1991年の湾岸戦争でアメリカ軍がイラクで使用したミサイルの名前がこの曲にあやかって「ロック・ザ・カスバ」と名付けていたが、この事実を知ったジョー・ストラマーは大変悲しんだと言われている。
UKシングルチャートで33位を記録した。
USビルボードホットチャート100にて8位を記録。
Should I Stay or Should I Go?
5thアルバム『Combat Rock』(1982年)、収録曲。
バンドで唯一全米シングルチャートのトップ10にランクイン!
ホメイニ政権下のイランでロックが禁止されていたことに影響を受けて作曲したという説がある。
この曲はギタリストのミック・ジョーンズがメインボーカルを務めている。
曲調はギターポップ的であり、内容は優柔不断ソング。
当時ミック・ジョーンズがバンドを去るかどうかの瀬戸際にいたことが影響していたと思われる。
初めて聴く方におすすめ!
UKシングルチャートで17位を記録した。
USビルボードホットチャート100にて45位を記録。
ローリング・ストーン誌が選ぶ『オールタイム・グレイテスト・ソング500』(2004年版)では228位にランクイン。
またOne Directionのヒット曲「Live While We’re Young」のイントロギターリフがこの曲のギターリフにそっくりなことが当時指摘されていた。
おすすめアルバム
『The Clash(白い暴動)』(1stアルバム/1977年)
明確な政治的テーマを掲げたスタイルはデビューから解散まで変わらなかった!初期の傑作!!
彼らのデビューアルバムであり、この頃から批評家たちから絶賛されていた。
この頃はRamonesを彷彿させるような初期衝動的パンクソングが多いが、数曲ほどはレゲエに傾倒しているものがある。
内容に関しては官僚、警察、大企業、特にレコード会社に対する批判・問題提起が多い。
またイギリス版とアメリカ版の2ヴァージョンがあり、収録曲がかなり違う。
UKアルバムチャートで12位を記録。
ローリングストーン誌が選ぶ「The 500 Greatest Albums of All Time」(2020年版)では102位にランクインしている。
『London Calling』(3rdアルバム/1979年)
深刻な政治的テーマをパンクを超えた幅広い音楽で表現・提示したパンク史に永遠に残り続けるであろう大名盤!!
このアルバムが発売された1979年はあのセックスピストルズが解散しパンクブームの終焉を迎えた時期。
時代はもはや新たな音楽を求めていた、だがパンクロックが伝えてきたメッセージが途絶えることも心苦しい...
でもこの『London Calling』は上記二つの要望に完璧に答えた、というよりも答え以上のものを表現してくれたというのが正しい!
The Clashはパンクの初期衝動という特徴を薄くして、レゲエ・スカ、または短調の曲を多くした。
歌詞のテーマは政治的・社会的テーマのみならずジェンダー・人種・アイデンティティ形成の危機など幅が広い。
雑多なイメージになるが、そのすべては今を生きる若者が現状と戦ってほしいということに集約している。
パンクの意義・騒がしさ・美しさ・怒り・未来への姿勢、それらすべてがこのアルバムの中にある。
パンクと言う枠を超えてロック界で最も重要なアルバムの一つであることは間違いない。
UKアルバムチャートで9位を記録。
USビルボード200では27位を記録!
ローリングストーン誌が選ぶ「The 500 Greatest Albums of All Time」(2020年版)では16位にランクインしている。
『Combat Rock』(5thアルバム/1982年)
ポストパンク・ニューウェーブに接近した新境地に達した挑戦的なアルバム!
The Clashは「出来るだけ多くの曲をみんなに届けたい」という信念のもと今まで2枚組または3枚組アルバムをリリースしていたが、このアルバムは1枚組。
内容もパンクとレゲエ・スカ以外にもギターポップ・ニューウェーブ・ポストパンク的なアプローチが見られる。
政治に対する姿勢はそのままで、音楽性は比較的ポップな仕上がりになっているので初めて聞くにはおすすめのアルバムである。
UKアルバムチャートで2位を記録。
USビルボード200では7位を記録!
ローリングストーン誌が選ぶ「The 500 Greatest Albums of All Time」(2020年版)では16位にランクインしている。
またNirvanaのカート・コバーンが選ぶお気に入りの名盤50選においても本アルバムが選ばれている。
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