映画『ロボコップ』SFアクションヒーロー物の皮を被ったグロテスク&ブラックコメディ!?

SF
画像出典:Robocop HOME | Facebook
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低予算ながら80年代を代表するSF映画の一つとなった異色のヒーローアクション映画!!

恥ずかしながら僕が80年代のSF映画の名作である映画『ロボコップ』を視聴したのは最近のことだった。

長年見るのを躊躇した理由はロボコップのビジュアルが日本の特撮番組の『メタルヒーローシリーズ』に似ていたため、映画の内容も子供向けアクションシーンを重視した単純な勧善懲悪物語だと思い込んでいたからだ。

※実際ロボコップのデザインはメタルヒーローシリーズ第一弾の『宇宙刑事ギャバン』をモデルにしたと言われている↓


しかし実際視聴してみると全く子供向きではなかった!!

むしろ子供のときに見ないで良かったと思えるほど肉体的にも心理的にも残虐な描写が多く、もし子供のときに『ロボコップ』を観ていたらショックであらゆるヒーロー物を見れなくなってたと思う。

キャラクター設定・舞台設定・テーマ、どれをとっても当時のSF映画群に比べて非凡であることから高い人気を博し、『ロボコップ2』『ロボコップ3』と続編が制作されて、2014年にはリメイクもされている。

今回はSF映画の中でも異色な『ロボコップ』の魅力を伝えていく!!

あらすじ

舞台は近未来のアメリカのデトロイト。

未来では警察という職業は民営化されており、デトロイト市警察は担当地区の治安の悪さから過酷な勤務を強いられ、ストライキを起こそうとの機運すら高まっていた。

そこでデトロイト市警察を運営している巨大コングロマリット企業「オムニ・コンシューマ・プロダクツ」(OCP、通称オムニ社)は警察をロボットにする計画を進めていた。


ある日、主人公のアレックス・マーフィ巡査は女性警官のアン・ルイス巡査と共に、大勢の警官殺しで指名手配中のマフィア「クラレンス一味」を追っていた。

2人はクラレンス一味をアジトまで追跡したがマーフィ巡査は至近距離から一斉射撃を浴びて瀕死の重体に!

マーフィ巡査は薄れゆく意識の中手術室に運ばれていく...


一方オムニ社は人型の警察ロボット「ロボコップ」を開発。

ロボコップは早速警察官として働くのだが、アン・ルイス巡査はこのロボコップの正体に疑念を抱く。

実はこのロボコップ殉職したはずのマーフィ巡査の遺体を部品にして完成されたものであった。

最初はプログラム通りの行動しかできないロボコップだったが、生前の記憶が断片的に蘇ったりアン・ルイス巡査から「貴方はマーフィなの?」と問いかけられた事がきっかけとなり、マーフィ巡査としての人格が復活する!

人としての人格をもつロボコップの運命はいかに!?

見どころ

主人公の残酷な境遇・・・

『ロボコップ』が他のSFアクションヒーローものと一線を画す理由、それはロボコップというのは巨大企業による宣伝材料でしかない存在だったことだ。

表向きはデトロイトの治安を守るヒーロー的存在であり、ロボットではあるが人型に近いビジュアルゆえの親しみやすさであるため市民からも支持されている。

しかしその実態は人間の遺体を必要とするロボットであり、プログラム通りにしか動けない、法的には死体であり人権のない存在である。

これだけでも悲しい存在なのだが、さらに残酷なのは偶然にも生前の意識が蘇ってしまったこと

中でも残酷なのが瀕死の重体であるマーフィ巡査をロボコップへと改造するシーン

映像は全てマーフィ巡査視点で映し出されて、自分がリアルタイムで改造されていく様子を嫌でも見ないといけない状況を表現していた。

科学者たちが「腕は機械で代用するから切ってしまおう」「検体の同意書にはサインしてもらっているし、法的には死んでいる、死体をどうしようが勝手だよ」などの会話も聞こえてしまう。

特に「言っていることは(マーフィ巡査)に聞こえているのか?」「ご心配なく、記憶は全て消しますので。」という会話は一番ゾッとした。

同時期に公開されていた『ターミネーター』(1984年)は第3者視点から見たサイボーグの怖さを描いていたが、本作では自分視点でのサイボーグの怖さも描いていた。

ブラックユーモアあふれる未来の描写

SF映画の醍醐味の一つで「ブレードランナー」のような高層ビルが並ぶ未来都市や「スターウォーズ」シリーズのようなあらゆる惑星の未来都市などの描写にワクワクするというものがある。

しかし『ロボコップ』ではそんな未来の描写を描かない・・・描くのは資本主義偏重の倫理観が失われた世界

本作では近未来のニュース映像やCMなどが流れている描写が多々あり、それらのほとんどがブラックジョークに溢れている。

映画の冒頭ではニュース映像が流れて「南アフリカでの人種間戦争が激化して、白人側が核兵器の使用を検討している」「宇宙ステーションで大統領記者会見をしようとしたら宇宙ステーションが停電。重力発生装置が停まって大統領と閣僚は文字通り浮いている。」など笑顔でキャスターが言っている。

CMではリアルな国家間戦争が出来るゲームをファミリー向けゲームとして宣伝して、「やられる前にやれ!」と宣伝文句を使っている。

つまり「面白ければ他は大した問題じゃない!」を地でいってしまう世の中を描いている。

この世界観と現実世界との距離がどのSF映画が描く世界観よりも近くに感じるのがちょっとゾッとする...

低予算故の苦労

ちなみにこの映画は低予算映画であり、それゆえに撮影中問題が多発した。

中でも主演ピーター・ウェラーが演じるロボコップの演技だ。

ピーター・ウェラーは本作の主役に抜擢されたことでロボットの動きが出来るようにパントマイムを習得していたが、実際ロボットスーツを着用したところ重さが12キロあることから思うように演技が出来なかった。

この事実にピーター・ウェラーは放心、監督のポール・バーホーベンに役から降ろしてほしいと懇願した。

しかしロボットスーツはピーターの体格に合わせて作成していたことから、低予算ゆえにスーツの作り直しが不可能であり代役を探しも難しいことから、ピーター・ウェラーはそのまま主役となった。

また名門ジュリアード音楽院でダンスやパントマイムを研究するモニ・ヤキム教授がピーターにパントマイムを教えることとなった。

だがさらに大変なのが危険なアクションをするシーン。

通常スタントマンが演技すればよいのだが、たとえピーターとほぼ同じ体格のスタントマンがいたとしてもロボットスーツを着てロボットの演技ができる人がいなかったため、ピーター・マーフィーがほとんどのアクションシーンを担当した!

『ロボコップ』は計り知れない主人公の苦労で成り立っているのであった。

視聴するには?

『ロボコップ』Amazon Primeで視聴可能!!

またDVD・BDも発売しているので是非見てほしい!!



外部リンク

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